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『僕が君にできたこと』

出来ることは全部、
やったつもりでいた。
嘘も我が儘も聞いてきたんだ。
知らない振りだってしたし。
待ち合わせも、時間なんていくらでも待てた。

誓いは叶わずに
ふたりは離れた。
悪戯に「もう、ダメだね」と
よく言ってたけど...

問い質す言葉に
意味を求めたってきっと
仕方がないから
ただ「そうかもね」って。

君の見ていた夢を嘲笑う、
すべてのものから守りたかった。
その輝きが好きだった、
住み慣れた街を捨てるのも 怖くない程に。
乗り越した駅で、居場所なんかないのに。

最後は笑顔でさ、
「いつかまた会おうね。」
そんな約束、口だけでして。
綺麗なままで。

どんな祈りが空模様を
塗り替えることが出来たとしても。
もういいや、終わりにしましょうか。

知らない道を選んで帰る、
たどり着けるかなんてどうでもいいや。
思い描く先に何も無くても。
真っ白か真っ黒な世界でどうにか、
爪痕を削って残せばいいや。

置き去りにした自転車を
誰かがその手を無邪気な罪に染めて
また何処かへと乗り捨てて行く。
君と出会い愛したことは
それとよく似た出来事で
いつか記憶の深くに埋れてしまうんだろう。

ただ、それでも僕は、

出来ることは全部、
やったつもりでいた。
嘘も我が儘も聞いてきたんだ。
知らない振りだってしたし。
待ち合わせも、時間なんていくらでも待てた。


***


そう思うような、

そう胸を張れるような、

そんな出会いがあったということで

本当は十分なのかもね。

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