見出し画像

「足るを知る」

老子の言葉で、
「足るを知る」という言葉があります。

皆さんも、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

世間でよく言われる「足るを知る」は、「贅沢出来なくても満足しろ」というような意味合いで使われたりすることが多いと思います。

少なくとも、僕がこれまで見聞きした状況では、そのように使われてると感じました。

ですが、老子が伝えたかったことは、そういうことではなかったと思うんです。

というのも、そもそも、もっと長いんですね。
以下に、書き下し文と、現代語訳を載せます。

書き下し文
人を知る者は智、自ら知る者は明(めい)なり。人に勝つ者は力有り、自ら勝つ者は強し。足るを知る者は富み、強(つと)めて行なう者は志有り。その所を失わざる者は久し。死して而(しか)も亡びざる者は寿(いのちなが)し。
現代語訳
他人を理解する事は普通の知恵のはたらきであるが、自分自身を理解する事はさらに優れた明らかな知恵のはたらきである。他人に勝つには力が必要だが、自分自身に打ち勝つには本当の強さが必要だ。満足する事を知っている人間が本当に豊かな人間で、努力を続ける人間はそれだけで既に目的を果たしている。自分本来のあり方を忘れないのが長続きをするコツである。死にとらわれず、「道」に沿ってありのままの自分を受け入れる事が本当の長生きである。

「足るを知る」の部分だけが使われるため、老子の伝えたかった内容とは少しズレて解釈されてることが分かると思います。

贅沢をすること=悪
貧困でも満足すべ

と言うようなことを伝えたいわけではないんですね。そもそも、「お金」などに限定された話ではないんです。

「満足する事を知っている人間が本当に豊かな人間で、努力を続ける人間はそれだけで既に目的を果たしている

自分よりもお金持ちの人や、生まれながらに豊かな家に育った人、スポーツや、音楽などの芸術的才能のある人など、他人と比べたらいつまでもキリがありません。

そもそも、他人と比較すること自体、意味がないんです。

大事なのは、自分自身に勝って努力が出来るかどうかで、その、努力している(出来ている)時に一番の意味があるんです。

部活や大会で優勝したり、受験や資格試験に合格したり、大きなプロジェクトが成功したり、結婚や、出世したりなど、人生には色々なことがあると思いますが、「結果」自体に、感じられる幸福や達成感はたった一瞬です。

振り返るとその「結果」を得るまでの努力していた時が、一番財産になってることって多いと思います。

自分の置かれた状況に不満を垂らしたり、他人と比較して羨ましがるのではなくて、今ある現状を受け入れ(満足し)、目標に向かって努力を継続する。

老子は、こういう心のあり方こそが重要であると言いたかったのではないかな、と思います。

現代は、SNSなどの発達により、他者と比較することが必要以上に多くなっていると思います。
承認欲求なんていう言葉も、SNSの台頭と共に認知されてきました。

そういう現代人にこそ、本当の意味での「足るを知る」は大切な考えなのだと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?