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あなたを好きな僕が好き




あなたを好きな僕が好き


あなたを好きでいる自分が好きっていうのは
なんだか違う気がしてた。

そう思ったことはなかったけれど
言われてみたら
そうだったのかもしれない。

張り裂けそうになった胸を
どうにか抑え込んで
あなたに勘付かれないように
ふにゃりと笑った。

でも、あなたにだけは言われたくなかった。

だって、本当に好いていたから。




溶けて甘くなった


長い時間を共に過ごせば
いつか愛せるかなって信じていた。

SNSにそんな言葉が転がっていて
ああ、これだって
とっても半信半疑で。

でも、凝り固まった不安たちは
砂糖が溶けていくみたいに
ほろほろと崩れていった。

これが愛なのか同情なのか分からないけれど
とても、とても愛しているよ。

ねぇ、本当だからね?




タイムトラベラー


ナポリタンを食べていたら
スパゲッティが楽しげに弾け飛んで
真っ白なTシャツに色を残した。

筆を振って飛び散った絵の具のようなそれは
洗っても洗っても
意固地になって落ちてくれなくて。

あなたの脳裏にも僕のかけらが
ぽつぽつと意地悪に絡み付いていたならって
執着が粘っこく張り付いている。

あなたの現在いまに、未来に
僕と笑った過去が
滲んでいてくれたら。

伝えられなかった愛のささやきは
タイムカプセルにしまっておくよ。




身悶えexcuse


職場に知らない外国人がやって来て
ふわりと漂うその香りが
あなたによく似ていた。

寝耳に水どころか、ハイドロポンプ。

忘れかけていたところだったのに、と
デスクに顔を沈めて
ゆらゆらと心が揺れた。

うそ
ただ、香りのせいにしただけ。


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