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心底愛する“髙橋海人の演技”を信じるしかなかった── ※映画「Dr.コトー診療所」ネタバレあり※

映画「Dr.コトー診療所」を初日、初回に観てきた。
こちら、キンプリのヲタク…箱推しながら「髙橋海人の演技の強火担」なので観に行ったきっかけは言うまでもない。

どれくらい強火かというと、「中原くんからリアタイしてます」と言えばいいだろうか。それとも「作品は全部リアタイしていてほぼBlu-rayで持ってます」と言えば伝わるだろうか。

2022年末、きっとティアラ(キンプリのファンの名称)は一生忘れられない年末なのだが、それとは逆、いい意味で髙橋海人演技強火担としても忘れられない一年だった。

今年は、テレ朝ドラマ「未来への10カウント」で高校生役からはじまり、

次に、撮影は2021年だが映画「アキラとあきら」で堕ちていく若社長でキーマンを演じた。

そして、初主演のテレ朝「ボーイフレンド降臨」で、ラブコメの割に難しい1人二役(三役と言ってもいいのでは)のアサヒ/澄人。

そしてそして、今日公開になった映画「Dr.コトー診療所」、唯一の島部外者でもある医師・織田判斗(29歳)役である。

正直、噂があったとはいえ、この映画への参加が公式発表された時、「…ひっ…」と悲鳴にも似た声が出た(気がする)。

Dr.コトーといえば…私の世代は誰もが知っているドラマだし、ドラマとして世界観が完全に出来上がっていてファンも多い。そもそも新キャストが受け入れにくい世界観に「ジャニーズ」というだけで懸念する人たちが一定数いるだろう(そして実際いた)。

非常に悔しい書き込みも何度も見た。反論したいけれどそうすると髙橋海人の名前に傷がつく。ヲタクはそうやって堪えるしかない。

どうやったら髙橋海人の良さが伝わるだろうか……なんて私が苦悶しても仕方がない。私は、私が心底愛する髙橋海人の演技を信じるしかなかった。

映画がスタートしてわずか10分、周囲には誰も泣いている人はいないようだったが、私は既にマスクが濡れるほど泣いてしまっていた。

髙橋海人は雑誌のインタビューで「(Dr.コトーに)自分の中のお芝居において第一章完結の意気込みで学んできたすべてを出そう」と語り、結果彼の中で「(Dr.コトーの俳優、スタッフの)この熱意を継いでいける代表格になりたい」とまで語っていた(共にBARFOUT!より抜粋)。まさに、その熱い意気込みと熱い想いの丈がこの作品に顕著に表れていた。

たった、10分でこの映像の中にいるのは、髙橋海人ではなく「織田判斗」なのだ──

ハラハラとハラハラと涙がこぼれる。
私は彼の演技にショックを受けたのだ。この4年見てきた中でも、群を抜いて彼が彼でない姿でスクリーンに立っている。
2年前のドラマ「姉ちゃんの恋人」の時は、あののびのびしていた彼の演技から「迷い」が見え始め、彼が何かの壁にぶつかっていたのを感じた。

今年公開の映画「アキラとあきら」はちょうど1年前の彼の演技で、まだその迷いがどこかに残っている状態だった。

思えば、今年のドラマ「未来への10カウント」ではその迷いが消えて、ひとつ何か階段を上がったんだと感じていたが、まさかここまで昇華していると思っていなかった。

大御所でもあるDr.コトーの面々の胸を借りて、高橋海人がまさに「この4年のスキルをすべてぶつけて」演じたのを目の当りにした134分だった。

【以後ネタバレあり】

この、織田判斗という役は、都会の病院の御曹司…と言いながらも自ら「落ちこぼれだから島流しにあった」という29歳。その判斗先生は、自己紹介の時に「織田先生」ではなく「判斗」と呼ばれることにこだわっていた。

彼にとって「織田先生」という呼び名はきっと医師である父親であって、そう呼ばれることに抵抗があったのだろう。

島唯一「部外者」であり、そして「現実主義者」であり、映画を観劇している「視聴者の視点」という正真正銘のキーマンである。

彼の視点を借りて、この島の医療が都会に住む者から見ると「いかに浮世離れしている状態で保たれているのか」を表面化する大事な役どころだった。

現実主義を突き付け「ほれ見てみろ」と言わんばかりの状況に陥った島の医療において、それでも「命を見捨てない」という仲間意識と信念で、2人の命が助かる。それを目の当りにした判斗は、ただただコトーに頭を下げていた。

彼は現実を突きつけたつもりが「現状、島の医療は理屈でなんとかなるものではない」という更なる上の現実を見せられてしまったのだ。

そして小手先の医療ではなく、「命を見捨てない」という信念が「人の命を救う」のだということも。

ラストに、彼の笑顔が現れた時、ああ判斗先生はコトー先生が倒れて戻ってくるまでの1年ちょっと(赤ん坊が歩きはじめたので大体1年強)をこの診療所を守るために残っていたのかと知った。

そして、そのコトー先生の信念を受けたもう一人、医師の道をあきらめた剛洋(たけひろ)もまた一から出直し医学生になっていた。

テレビドラマから16年後のコトー先生は、若い医師たちの道しるべとして、その背中を生き様を見せたという圧巻のラスト。まさに「完結編」としてふさわしい。

コトーこと吉岡秀隆さんの言葉を借りれば「Dr.判斗物語がみたい」

そう、私も思う。あの物語の続きを見るならば、コトー先生の背中を見てあの島で学んだことを「織田判斗」はどう活かしてどんな医師になっていくのか──それが見たい。

今や都心の病院でも、課題は山積みだ。島で「1人1人の心に寄り添う医療」を知った判斗先生が、大病院で待ち受ける壁にどう立ち向かっていくのか、それが見たくて仕方なくなった。(フジテレビならできるのでは?)

髙橋海人の演技は、その役のスピンオフが必ず見たくなる。

2023年、ティアラとしては迎えるのが怖い年だ。
だが、私は生きる。
髙橋海人の次の演技を見るまで長生きせねばならぬ。
大げさと言われようとも、私は彼の演技をこれからも見続けたいのだ。



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