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Anthro Vision

アンソロビジョン。がとても面白かった。
なので、慣れないNOTEを書いてみようとおもう。
人類学を英語では、Anthoropologyという。だからAnthro Vision。人類学的な視点という意味のタイトル。学生時代に人類学を専攻し、中央アジアで研究していた英国経済史の記者が、主にビジネス界を人類学的視点をもって取材していくと、さまざまな発見があった。という本だった。

何が面白かったかというと、同僚上司の価値観、身近な家族の価値観、知っているようで、実は知らないことって多いのでは?と気付かされたことだ。(書籍では、第二章のタイトルが、「身近なものを未知なるものに変える」なのだけど、まさにそのとおり。)いつも顔を合わせているけど、その奥深くの価値観や積み上げてきた経験値からくる言動の源泉は、意外に知らなかったりする。そんなことに気づいた。
あ、そうか。と。
「なんであの人は、この説明じゃわからないのかな。」「あの人は中国人と思えばいいんだ」(中国人に失礼か。ごめんなさい)なんて悩みを抱えることもあったのだけど、多分そんな悩みがあったのは、どこかで自分と同じ価値観を持っているのだろうという淡い期待を持っていたことなのかもしれない、と思わされた。
いや、身近にはいるけれど、それは未知じゃない?とか、実は同じような年齢育ち方日本人だけど、未知じゃない?という視点で見つめると、なんというか他人もメタ認知できるのだ。人類学的な思考を身につけると、イチイチ違いに悩み、打ちのめされる必要がないとでもいうのかもしれない。
「日本人は〜だよねー」と一括りにする言葉も使ったりするが、実は違う価値観を見つけるチャンスを失っているという現実にも気付かされたりする。

「興味深い」というパワーワードで幸せになる。
なので、この本を読んでから、よくわからない言動に出会うことがすこし楽しくなった。「ん〜なるほど、それは興味深い。」と捉えるようになったのだ。それまでは、「なんで通じないんだ?ん〜理解不能!」となんらかのストレスを感じていたのだけれど、「興味深いなぁ」と思った瞬間に、「興味の対象」に昇華されるようになった。
人類学というと、例えばポリネシアの奥地に住む住民たちに入り込んで生活する「参与観察」という手法を用いて、その人々の「価値観」「文化」を明らかにする。ざっくり言えばそんな学問。
ポリネシア人の不思議な価値観に出会っても、それに悩み、打ちのめされることはない。だから、人類学的な視点を持つというのは、究極のDIversityな視点をもつということでもあるのだと思う。簡単にいえば、十人十色だよね、ということだ。
「興味深い」の一言で、その違いが興味の対象に昇華されるようになると、あとは、愛を持って、興味深い内容を、なるほどなるほど、どうしてそんなふうに考えるの?と目をキラキラでもさせて聞いていけば、多分価値観が出てきたりする。それこそ、LISTENだし、1on1といった対話なのかもしれない。人への解像度をあげる。虫の目になる。そんな言い方かもしれないけれど、身近にいる人を本当に理解するようになると、言動にも共感できるようになったりするなと思った。それは、違うんだよな、ということを心の底からわかる事であり、わかるとストレスはなくなるので、幸せになる。という事なんだと思う。

ということで、あらゆる人々にアンソロビジョンが身につくと、人は幸せになるんじゃないかなぁと思った。という話でした。


余談。デザイン思考にも必要とされる。
すでに定番化したデザイン思考のスタートポイントEmphasize(共感!)を得るには、Observation(観察)から始まったりもする。
観察の技術こそ、参与観察を基本スキルとする人類学と相性がピッタリだし、サービスのタネになるんだよな、と思っている。まぁよく知られている事ですね。

余談2。他企業への出向は、つまり参与観察。
TCL多摩美クリエイティブリーダーシップコースの授業で、最も面白かった講義の一つが人類学企業"メッシュワーク"比嘉さんの授業だった。その講義中に「実は他社への出向なんかは、人類学になるんですね」なんて気づきを友人が言っていた。
いやぁ、まさにそれはその通りな気がしている。
アンソロビジョンで出てきた例えとして、金融業界で使われる専門用語は、他の業界の人が聞くと、何を意味さすのかわからない。むしろ業界の中であっても専門的すぎて全体像がわかっている人はいないことがあった。なんて書かれていた。
人類学の視点で手法で解き明かす事で、無意識な価値観や全体像が見えてくる。
企業が違えば、風土も違うし価値観も違うわけで、出向はポリネシアに行くことと変わらないんだなぁと。

ということで、ビジネスパーソンにとっても、人間関係に悩む人々にも役立つんだろうなぁというのが、人類学的思考なんだとおもう。
まぁ、しらんけど。

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