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スライドを使ったふりかえりのススメ

こんにちは、株式会社with QA エンジニアの 杞憂(@Kiyou77) です!

先日、自チーム内で Google スライドを使ってふりかえりを行いました。

ホワイトボードツールの代わりの選択肢として Google スライドがある、というのは自分にとってはかなり盲点でした。同じように困っている方もいるかな~と思うので、紹介させていただきます。

ホワイトボードツールを使いたい! でも使えない……

みなさん FigJam や Miro のようなホワイトボードツールは使っていますか? 自分はホワイトボードツールがとても好きで、MTG やふりかえりで可能であれば使いたいと常々思っています。

会社によってはホワイトボードツールを使う文化がなく、契約していないために使えない……という方もいらっしゃるのではないでしょうか? 実のところ弊社がまさにそうです。Figma 自体は契約しているものの、編集権限はデザイナーなどの一部のメンバーに限られており、FigJam の使用権限についても同様のため、QAエンジニアである自分は自由に使うことができません。

正規に契約していないサービスを使ってよいかどうかは会社によると思いますが、ここでは使えない前提で考えています。弊社は Google Workspace を利用しているため、先日のホワイトボード機能のアップデートで Jamboard を FigJam に移行する、という発表があった際には大喜びしたのものですが、ふたを開けてみると「Google Workspace for Education のユーザーに」ということで、我々一般ユーザーは使えないということが判明し、ぬか喜びとなってしまいました。

Jamboard はまだ使えますが、サ終となるくらいですのでそれほど使いやすいツールにはなっておらず、弊社では KPT のようなふりかえりはスプレッドシートで行っていました。前々職でもKPTにスプレッドシートが使われていたので、そういう現場は多いのかなと思われます。

しかし、チームでのふりかえりのファシリテーションを自分が行うことになり、「なんとかホワイトボードを使ってふりかえりをやりたい!」との思いで方法を探していたところ、Google スライドをホワイトボードっぽく使うというやり方を見つけました。

Google スライドを使ってふりかえりをする方法

Google スライドをホワイトボードっぽく使うといっても、特に変わったことや凝ったことをするでもなく、「それぞれの意見を付箋に書いて貼っていく」という一番シンプルな使い方が実現できればよいと考えました。

そのため、ふりかえりの準備として次のようなスライドを用意しました。

右側にある画像は弊社プロダクトで使われているアイコン。上から「わかる!」「いいね!」「スペシャルいいね!」

スライドの左側に付箋代わりの図形を、右側にリアクション用の画像を配置してあります。それぞれコピーして使ってもらう形です。付箋はふりかえりのはじめにひとり1色選んで、名前を書いてもらいました。

また、今回はチームで継続的に行っていくふりかえりの初回だったため、これからのふりかえりの進め方を話すための時間と定義して行ったのですが、それにあたって「今回の時間でどんなことを行いたいか」の説明スライドを作りました。

こういった説明をスライド上で作って、メンバーと目線合わせを行いつつ、同じファイル上でそのままふりかえりを行えるというのは、スライドならではの良さだな~と感じました。

もちろんホワイトボードツールでも同じように説明を書きこんでおくことは出来ますが、サイズ感のコントロールや見る順番のディレクションはスライドのほうがずっとやりやすいです。

そして、実際にワークを行ったときの様子がコチラ。

短めのワークだったのでそのままにしているが、関連する付箋を近くに寄せるなどの整理をするともっと見やすくなる

スライドごとのお題に対して 5 分程度でそれぞれの考えを付箋に書いてもらいつつ、他の人が書いた付箋に用意した画像を使ってリアクションしてもらいました。

ふりかえりをやっていると「全員の意見を尊重しようと、全ての付箋を読み上げているうちに議論の時間が無くなってしまう」ということがよく起こるのですが、並行してリアクションしてもらうことで、リアクションの多い意見を中心に見る、という進め方ができるので効率の良いことを発見しました。

(もちろんリアクションが少ない意見の中にも重要な意見があれば、別途取り上げるのが良さそうです。その辺はファシリの技術かなと思われました)

純正のホワイトボードツールのように無限大のキャンバスではないですが、付箋やキャンバスのサイズを変えて大きく使うこともできます。今回はスライド1枚に1テーマという形で使いましたが、ラインを引いてテーマ別に区分けするなど、いろんな使い方ができると思います。

感じたことの共有は大事なこと、でもだからこそ難しい

ついでに、ホワイトボードツールがなぜ良いのか? という自分の考えを書いておきたいと思います。特にチームでのふりかえりのような場としては、ホワイトボードツールは最適だと考えています。

ふりかえりとはそもそも、それぞれの思ったことや感じたこと、気づいたことを共有し合う中で、チームが抱える課題を発見し、改善のためのアクションにつなげる場だと自分は考えます。その点で、自分が思ったことや感じたことをしっかりと言語化し共有するということが重要になります。

しかし、感じたことを共有するというのは簡単なことではありません。

まず、人によって得意不得意があります。言語化が苦手な人もいれば、言語化自体はできても積極的に発言していくのが苦手な人もいます。そうでなかったとしても、複雑で難しい問題や小さく見えづらい問題だと、懸念を感じ取っていたとしても、わざわざ言語化せずに心に留めておこう……としてしまう経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

自分の意見なんて、まとまってない意見なんて、こんな小さな意見なんて……と自分で価値判断をし、発言を控えはじめると、時間とともにどんどん発言の心理的ハードルが上がってしまい、さらに発言しづらくなる負のスパイラルに陥ります。

もちろん時間は有限ですから、問題にもならない問題に多くの時間を割くわけにいかない、というのは事実でしょう。しかし、それが時間をかける価値のある問題かどうかは他の人に共有しなければ分からないので、自分で価値判断してしまい内に閉じこもることは健全ではありません。

非言語コミュニケーションツールとしてのホワイトボード

そのような負のスパイラルに陥らせず、チームの中で「どんな小さなものでも発言して大丈夫!」と心理的安全性を高めるために非言語でのコミュニケーションがとても有効に働きます。

ここでいう非言語でのコミュニケーションとは、ホワイトボードツールでいうところのリアクションやスタンプのようなものです。自分の感じているものに近い画像で自分の気持ちを表現するというのは、言語化するよりもずっとハードルが低く、どんな人でも気軽に発信できます。

そして、それ自体が小さな発信である非言語のコミュニケーションが、「場を賑やかす」というポジティブな影響をチームに与えることを通して、自分の小さな意見であっても発信してよいのかもしれない、という安心感の醸成に繋がります。

参加者のカーソルの動きでも非言語コミュニケーションが起こる。カーソルが近くにあると「みんなと一緒にいるな」という感覚を持てる。

あるいは逆に、「言語しかない」という状況を想像してみてください。それは例えば、Slack や Teams のようなチャットツールに絵文字機能がないような状況です。同じ内容のやりとりだとしても、絵文字がないというだけでやりとりが殺伐に見えてしまう、ということはイメージができるのではないでしょうか。

そして殺伐に見えてしまうということが、実際は見え方の問題に留まらず、やりとりの内容にまでネガティブな影響を与えはじめます。

本来的に人間同士のコミュニケーションは、話される言葉の意味内容だけでなく、表情や声色、身振り手振りのような非言語も使って多くの情報を交わしています。オンラインになった途端に非言語を使わなくてよいとしてしまうのは、純粋に交わせる情報が乏しくなってしまうという意味でちょっともったいないなと思います。

ホワイトボードツールは、非言語を交えてコミュニケーションするツールとしてとても優秀です。FigJam や Miro のような純正のホワイトボードツールを使うのがベストではありますが、それらが使えなかったとしても、今回ご紹介したように Google スライドを擬似的なホワイトボードとして使うことができます。ふりかえりの進め方によって適切なツールは変わってくるものの、KPT のようなシンプルなフレームワークの場合には今回の方法は有効に思われました。


というわけで、今回は Google スライドを使ってのふりかえりのすすめでした。

ホワイトボードツールといえば Miro か FigJam か、Google Workspace で使えるものとしては Jamboard か……? と思っていたところ、Google スライドでやっちゃえばよい! というのは正直かなり盲点でした。

スライドを使ってのふりかえりは、単に良いのでおすすめというのもありますが、スライドをホワイトボード代わりに使った実績を作ることで「スプシじゃ足りない! ホワイトボードを使わせてください!」という上申の説得力を高められるのが良いと思っています。

特に理由なくスプレッドシートでふりかえりをやっている方はもちろん、ホワイトボードツールを使いたい! けど使えない! という方は、ぜひ一度スライドを使ってふりかえりを行ってみてください!

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