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『こどもチェンバロ』の優しい音色の秘密

 先日私の住んでいる山里は、緊急事態宣言解除になりましたが、4月以降コンサートの予定が全く無くなった夫ハルさん(渡辺敏晴)は、楽器作りに精を出し、小さな小さなチェンバロを完成させました。

『こどもチェンバロ』は、我らがアトリエ玉手箱のオリジナルチェンバロです。名前に『こども』と入っていますが、小さいだけで本格的なチェンバロです。すでに何台か販売していますが、毎回工夫を重ねてバージョンアップ?しています。


たくさんのパーツと部品

こどもチェンバロはこんなたくさんのパーツからできています。

全体図

そして細かい部品。。

部品

弦以外は、全て手作り。

柾目の板を貼り付けて製材したり、鍵盤一本一本切り出したり、ブリッジを曲げたり、、、と気の遠くなる作業。。。木工職人さんが「そんなことやってられない、、」と関心&呆れるぐらいです。

私のお気に入りは、部品の左の方にある、ヘニョッ曲がった引っ掛ける部品。ワイヤーを形作ってからハンマーで平たく叩く、、、買えばいいじゃんって思う部品ですが、このなんとも手作り感が私は愛しい。。

Instagramで制作過程を紹介しています。


カラスの羽で音を出すこだわり

演奏家なので音にこだわります。ハルさんのチェンバロは全て、ジャック(音を出す部分)についているプレクトラム(弦を弾く部分)に、カラスの羽の軸を使っています。

これがジャック。8cm。

ジャック1

横から見て、飛び出ているところが、プレクトラム

ジャック2

このジャックが、鍵盤一本一本の上に載っていて、鍵盤を押すとジャックが上がって、弦を弾く構造になっています。

現在、プレクトラムはプラスチック加工品が販売されています。

でも、チェンバロが活躍していた400年前バロック時代、プラスチックはありません。当時の曲を弾くのなら、当時の音色にこだわりたい。
その頃使われていたのはワタリガラスや猛禽類の羽。色々な鳥を試した結果、やっぱりカラス!ということになりました。


え?カラスの羽、どこから手に入れるのって?



もらうんです。。


全国、コンサートに行った先々でカラスの話をしてくるので、全国の皆さんがカラスの羽を見つけて拾っては送って下さいます。ありがたいありがたい。


完成した作品。音色もどうぞ。

1ヶ月ちょっとかけて出来上がった『こどもチェンバロ』はこちら。

画像2

今回は、開閉式の蓋が譜面台になる仕様です。この写真では、まだ弦が貼り終わってません。弦はドイツから購入したブロンズ製。ジャックが入る部分がよく見えます。

絵は、ハルさんのリクエストでシンプルに、イチゴの花をそこに置いたようなデザインです。


そして、お待たせしました。
その音色がこちら。

弦が張りたてのため、1ヶ月ぐらいで音色が安定するそうですが、とても澄んだ音。曲は「はじまり」「めぐるこころ」「小さなチェンバロ」の3曲。この楽器の為に作ったハルさんの曲です。


小さな小さなチェンバロ。

自分のために、大事な誰かのために、

やさしい愛しい音がします。





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