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江戸の啖呵に憧れて

啖呵(たんか)を切る。
喧嘩や口論の時、相手に向かって言う威勢のいい、鋭い言葉や品物を売る時の口上など。
淀みなく流れるようなコトバを聴いていると、ニヤッとしてしまう。そして拍手したくなる。内容は、文句だから拍手なんておかしいけど、音楽のようでキモチがスッとする。

たんか【啖呵】
鋭くて歯切れのよいことば。また威勢よくまくし立てる江戸っ子弁をいう。とくに「啖呵を切る」という成語で用いられることが多く、胸のすくような、鋭く、歯切れのよい口調で相手にまくし立てることをいう。
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説より抜粋

寅さんの口上なんかも、ほろっときてホントに惚れる。ワタシはほとんど知らないけど、こんなの教えてもらって前後の文脈もあまり知らないのに、この世のすべてが詰まっている気がした。


寅さんのリリーへ捧げる口上

「ああ 俺にふんだんに金があったらなぁ
リリーの夢を叶えてやるのよ
例えばどこかの一流劇場 なっ 歌舞伎座とか国際劇場とか
そんな所を一日中借り切ってよ
アイツに好きなだけ歌を歌わせてやりてぇのよ」やがてリリーの歌が始まる
♪ひ~とり~さかばで~の~むさ~けは~   ってねぇ
客席はシーンとして水を打ったようだよ みんな聞き入っているからなぁ
お客は泣いていますよ 
リリーの歌は哀しいもんねぇ         やがて歌が終る 
花束 テープ 紙吹雪  わぁ~っと 割れるような拍手喝采だよ
アイツはきっと泣くな  あの大きな目に涙がいっぱいたまってよ
いくら気の強いアイツだって   きっと泣くよ


落語なら「大工調べ」と「五人廻し」の啖呵が、ワタシはスキだ。

ぶわぁーっと溢れ出るコトバが、どんどんズレていって、もう言い放ってる江戸っ子も自分で何のコトを言ってるか定かでなくなっていく憑依感。意味が曖昧になっていって、「唄い調子」の領域になっていくと、お客から自ずと拍手が起きる。啖呵は、言っている内容が浄化して名曲なっていくんだと思う。

んーやっぱり、江戸の啖呵には痺れるなぁ。


「唄い調子」って誉め言葉らしく、テンポがいいとか、リズムがいいっていう意味です。





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