見出し画像

中二のきよしくん

中学生の頃、学校までの3km弱の道のり(ほぼ人や車に会わない)をどれだけ雪が降っても自転車で行く、ということに自分の価値を見出していました。
  
ライバルは他にもいて、学校に到着すると自転車置き場ではなんとなく「おお、お前もなかなかやるな」という目でお互いを見ていたように思います。気のせいかもしれません。
 
雪が何日も降り続いてライバルが1人、また1人と減っていく中で勝負の日はやってきました。
今日こそは自分だけだろうという雪の降り具合。
気合を入れて自転車に跨がり、吹雪く中を頑張ってペダルを漕ぐ。
今振り返ると頑張るところを間違えていたなと思うけど、漫画とテレビゲーム以外に好きな物がなかった中二のきよしくんにはそれが生き甲斐だったのです。たぶん。
 
学校に到着すると自転車置き場には自分のを含め数台。
とうとうオレもベスト10に入った!!!
と意気揚々と教室に入り、朝礼が始まったところで担任に叱られました。当たり前ですね。

かといって雪道を歩くとなると1時間ぐらい掛かってしまうので、それでもめげずにほどほどな雪の時は自転車で登校していました。道路交通法的にはアウトです。

ある日、中二のきよしくんは閃きました。
凍りついた水溜りの上でブレーキをかけたらアイススケートみたいに自転車がスィーっと滑っていくんじゃないか?
帰り道、その仮説を確かめたくて凍った水溜りのある場所へ(毎日通るのでどこが凍るか知っている)。

いざ実証実験!! 
どんどん、どんどん加速します。親が見たら泣くほどのスピードが出ていたと思います。
そして夢と希望のスケートリンクに差し掛かったところでフルブレーキ!!
ブベボバァ!!!!

気がついたら道路に転がって空を見ていました。
中二のきよしくんが氷の摩擦係数の低さを身を以て学んだ日でした。

画像1

今朝の福岡市内は例年になく雪が多く降り、道路には水を含んだ雪がところどころ溜まっていたり、一度溶けた雪がアイスバーンになったり。

歩いている時、なんとなく信号待ちしている車を見ると結構な割合でノーマルタイヤ着用。しかも凍りついたところを自転車で走って来る人も。
中二か!!
福岡に移り住んで7回目の冬。
思わぬところで14歳の頃の自分と再会を果たしました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?