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ベテラン特養ほど経営が厳しい

ベテランの職員が集まっている老舗の特養ほど経営が厳しいという話を耳にする。

大きな報酬改定の中で、介護報酬が微減傾向にある中で、ベテランの職員の給与は過去と比較をして上げ続けていために、収入と支出(人件費)が反転してしまう。

一方で新規の職員採用は思うようにいかない中、採用コストは膨らむ。

採用できたとしても、スキルが不足していた場合には、1:3という最低の人員配置基準よりも、手厚い配置が必要になる。

手厚い配置は、当然収支のバランスを取ることを難しくする。

老舗の特養の場合、以前から利用者への手厚いサービスを実現するために、手厚い配置をしている場合も少なくない。

このような経営状況の中で、「生産性向上ガイドライン」が作られ、文書量の削減や、ICT・ロボットを活用した、生産性の向上が求められる。

介護人材不足を解消するため、という観点から、もちろん生産性向上が求められるのは自然な流れ。

なによりも生産性向上が実現できるのは、1人の職員が支えられる利用者の数を増やすことである。

直接的な表現で言えば、同じ介護報酬は維持しつつ(微減傾向ではあるものの)、人件費を抑える。

目的は、そもそも人材不足なので、少ない人員で多くの利用者を支えられる工夫が必要、ということではあるが、

それが実現できれば、実は収支の状況も良くなる。

収支の状況が良くなるためには、売上(介護報酬)を上げるという方向性もあるものの、

施設から在宅へ

という方向性の中で、なかなか、施設の介護報酬が上がることに期待はできない。

施設の場合、定員という利用者数の上限があるため、やはり収支を改善するためには、

・人件費を抑えるか
・介護報酬を増やすか

介護報酬を増やすためには、報酬改定に期待をするか(働きかけをするか)、利用者単価(入所している利用者の平均要介護)を上げるか。

このような頭打ちな状況の中で、多くの特養が、定員(天井)のない在宅への注力、シフトチェンジをするのは、いたって自然な流れである。

施設から在宅へ

という大きな潮流にも乗っているし、なにより利用者の

「自宅で最期まで暮らしたい」

という希望を叶えることができる。

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