茨城県は、一昨日、東海第二原発の苛酷事故時における放射性物質拡散シミュレーション結果を公表、原発の苛酷事故時広域避難実施では、避難開始には、人手と時間がかかり、私の静岡県防災・原子力学術会議原子力分科会委員として、静岡県広域避難訓練参加経験に拠れば、次のような手順で進められ、確実に助かるには、事故情報をえたならば、即刻、風の方向と直角の方向へ逃げることであり、必要とされる距離は、5-10 kmくらい、健康な人であれば、走って逃げることもできる

茨城県は、一昨日、東海第二原発の苛酷事故時における放射性物質拡散シミュレーションの結果を公表しましたが、原発の苛酷事故時の広域避難実施では、避難開始には、人手と時間がかかり、簡単には行かず、私の静岡県防災・原子力学術会議原子力分科会委員として、静岡県広域避難訓練参加経験に拠れば(note本欄バックナンバー記事・写真参照)、次のような手順で進められ、
・静岡県は、知事命令により、牧之原原子力防災センターに、対策本部を設置、
・中部電力本店と浜岡サイトの緊急時対応本部の技術幹部から対策本部に事故概要報告、対策本部にも中部電力技術幹部が参加、
・静岡県危機管理部は、PCにインストールされた簡易放射性物質拡散計算コード(三次元詳細放射性物質シミュレーション計算コードSPEEDIも利用できるようになっている)でシミュレーション計算の準備を開始しますが、計算には、計算モデルと地形と気象条件(風速、風向、快晴か雨か雪かなど)と原発からの放射能情報(放射能強度と核種、確定するには1時間以上もかかる)が必要になり、上記事項のすべては、計算入力にダミーとして、事前に用意されており、実際の事故に合わせ、部分的に入力を修正し、予備計算を実施し、数値を吟味し、計算が妥当であることを確認後、対策本部と原発半径30 km圏内の各自治体に報告、
・各自治体は、入手した計算結果を基に、住民に的確な避難指示、
・住民は、用意された移動手段(バスなど)により、定められた30 km以上離れた位置に設置された放射能検査所・県外避難指定所で指示に従う、
ですが、問題は、当日の気象条件にもよりますが、晴れで風速数mであれば、放射性物質は、くさび形地形内に、一時間で、20 kmまで拡散してしまい、それに対し、線源確定に一時間、シミュレーション計算結果の確定に一時間、各自治体が計算結果を入手し、住民に避難指示するのに30分と仮定すれば、住民が避難開始する頃には、放射能を含む空気に覆われており、被曝しつつ、避難指示を待つような状態になり、すべて、後手後手になり、さらに、当日発生する想定外の出来事など(事故が深夜発生し、全体的に、対応が大幅に遅れることも含む)、図上訓練の時間間隔と避難には、大きな不確実さが推定され(少なくても30-50 %)、世の中で、一部の党派性の高い反原発の人が要求しているような、高い確度(accuracy)は、期待できません。
確実に助かるには、事故情報をえたならば、即刻、風の方向と直角の方向へ逃げることであり、放射能拡散の様子を考慮すれば、放射能流れから脱出できる距離は、5-10 kmくらいですから、健康な人であれば(問題は世の中に歩くことも走ることのできない人がいること)、たとえ、指定バスや自家用車がなくても、走って逃げることもでき、行政の指示に従うと、多く被曝しますから、各自、どちらを選択したら良いか、考えてください。
私ならば、自身の知識を基に、自己責任で、必要最少限の物資を詰めたザックを背負い、スタスタと走ります(無能な行政を信用したならば、どうなる)。
以上、静岡県を茨城県に置き換えれば、そのまま成立します。

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