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【大河ドラマ】鎌倉殿の13人 第9回「決戦前夜」感想

おはようございます。
第9回感想です。
これまでの感想は下記よりどうぞ。

第9回のメインは富士川の戦いでしたね。
アニメ『平家物語』6話の感想と解説でこの戦いについては十分に書いたので詳しくはそちらの記事をお読みください。

アニメ『平家物語』との最大の違いは武田信義ら「武田の党」の扱いでしょう。
『平家物語』では富士川で平維盛と対陣したのは頼朝であり、武田の党の存在が語られることはありませんでした。
しかし、『鎌倉殿の13人』では武田信義が頼朝を出し抜き、平家と合戦に臨んだという展開でした。
おそらく史実の富士川の戦いは『鎌倉殿の13人』で描かれたとおりであり、武田信義は源頼朝の配下として戦いに臨んだのではなく、頼朝とは無関係な自らの意思であったでしょう。
両者の関係は主従ではなく、不戦条約を結んだ対等の関係と見るべきです。
武田信義はこの時点では頼朝と対等かつ源氏の棟梁の地位を争う強力なライバルでした。

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今後、この武田がどのように鎌倉幕府に組み込まれていくのかも注目して見ていきたいポイントです。
武田が独立勢力としては描かれることで物語に深みが出ると感じます。

さて、水鳥の羽音を夜襲と勘違いして平家方が逃亡したという有名な戦いの決着ですが、ドラマでも採用されました。
これを「『平家物語』の創作だ」と語る見解がtwitterでいくつか見られました。

ブックエンド9月領収書
史1月書籍領収書

しかし、水鳥の話は公卿・中山忠親の日記である『山槐記』にも見られますので、『平家物語』の創作ではありません。
勿論、中山忠親も戦場で見たわけではなく、伝聞を日記として書き留めているわけですので、『山槐記』に書いてあるから史実とは断定できませんが、『平家物語』が成立する以前にこの話が少なくとも貴族社会では知られた話であったことは間違いないと思われます。

水鳥の羽音で兵が逃げ出したなんて話は確かに出来過ぎた話でいかにもフィクションっぽい印象は自分にもありますが、ただ我々は現在進行形で「原発を砲撃」、「戦略核部隊が戦闘態勢」といった嘘のような戦争の現実を見せつけられているわけで、安易に自分なりの「常識」とやらでありえないと判断するべきではないと思います。
信じられないようなことが起こるのが戦争なんだと思います。

平家の追討軍の撤退により、頼朝は追撃して上洛することを望みますが、配下の坂東武者たちはこれに反対。
三浦義澄が語った通り、彼らの気持ちは「所領を守るために立ち上がった。平家を倒すのは二の次」ということでした。
ここで一刻も早く上洛したい思いが強い頼朝は、坂東武者とのズレから自身が孤独であることを感じるわけですが、そこでタイミングよく登場する源義経!

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再会に涙し、「父上の敵を討ちたい」と語る義経を「よく来てくれた」と抱きしめる頼朝。
先週の義経を見て、頼朝はどういった経緯で信頼するに至るのかと思いましたが、ここは見事な脚本でした。
また、坂東武者たちの所領への強い思いは鎌倉幕府の基本原理である「御恩と奉公」の伏線なのでしょうね。

武田信義と源義経が面白いキャラクターなので、同じ源氏の木曾義仲と源範頼の登場も楽しみです。

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