アルコール依存症とセルフネグレクト

重度アルコール依存症の kiyopi です。

アルコール依存症にはセルフネグレクトの人も多いと言われます。
僕もその一人です。

今回はセルフネグレクト当時の僕の状態も含め、アルコール依存症とセルフネグレクトの関係についても説明したいと思います。



セルフネグレクトとは?

簡単に言えば日常生活がまともに出来なくなってしまった人が陥る状態の事です。
アルコール依存症に限らず、鬱を代表として各種精神疾患、先天的疾患であるADHDやASDの人が陥る可能性があるものです。

実際にどんなものかと言うと
・仕事は行けていたとしても、買い物や外出が出来ない。

・しないといけない手続きや申し込み、書類の書き込みや提出が出来ない。

・部屋の片づけ、掃除、ゴミ出し、洗濯が出来ない。
結果、ゴミに埋もれた部屋となり、服も生活用品もゴミに埋もれていく。洗濯しても干しっぱなし、服を着れば着っぱなし、服がないため干したものと着てるものでインターバルするか着潰して買い替える。

・お風呂、歯磨きが出来ない。

・料理が出来なくなる。
結果、まともに食事を摂れない。
買ってくるか?カップ麺か?という人が多い。
人間不信や対人恐怖になっている人も多いうえ、風呂や歯磨きが出来ないので外食は怖くて出来なかったりする。

はっきり言って廃人の状態です。

一般的な人の『面倒くさい』というレベルではなく、『面倒くさいのもあるけど、そもそもこなすだけの気力がなく、どうしても出来ない』状態なので自己嫌悪や絶望感や無力感が強く、生きる事にも未来にも希望も意味も持てない・見出せない精神状態なので自殺願望・希死念慮を抱えている人も多く、陥った事のない人では決して理解できない状態です。


僕自身はどんな状態だったのか?


僕は当時も今も実家暮らしですが、家族から責められる事でどんどん悪化しました。

上記した全てが出来なくなりました。

風呂は丸一年ちょっと入れず、歯磨きは2年以上せず、パンツですら破れて履けなくなるまで着潰して新品に変える状態。

酒・たばこを買うとき以外、気力がなく外出はとても出来ませんでした。
アルバイト時代はコンビニの店員だったので買い物は全てそこ、前職時は職場のすぐ近くにコンビニがったので、全ての買い物が常に一店のコンビニでした。
ただ、バイト時代は給料は全て取り上げで、税金・年金・保険料・車検代・携帯代のみ必要な時に親に土下座してどうにか貰う状態だったので、服も下着も親が買ってきたものしか身に付けていませんでした。

前職当時は月曜から土曜まで作業着も靴下も着っぱなしで、何とか洗濯しても自分で干せず、何時までも洗濯機に入っているためにイラついた父母が洗濯機の外に投げ出してあるのが常で、それでも干す気力もなく、月曜には乾いてなくてもカビが生えてしまっていても床の埃やこぼれた洗剤で汚れていても、いつもそのまま皺だらけでまた着て出勤といった状態でした。
今思えば、何故その時にパンツも変えなかったのだろう?と思いますが、当時はそれですら気力が保てず出来ませんでした。

僕は嗅覚がないので自分では臭いが分かりません。
家族に臭いと言われた事もなければ、聞いても「アンタは昔から、どんなに汗かいても、風邪ひいて何日もお風呂入ってなくても体臭無かったから」と言われるだけでしたが、臭く思われたり指摘されるかもしれない恐怖心は何時もありました。
当時、会社で同僚に聞いても顔を近づけて臭いを嗅がれて「ちょっとオナラ臭いかも」と言われる程度でしたが、実際どうだったのかは分かりません。

食事も、実家暮らしならまともと思うでしょうが、用意はしてくれても僕に対する不満の文句だけでなく他人の愚痴や夫婦間の文句と愚痴が止まない父母の愚痴に耐えられずパニック状態になり、もらうのを諦めて部屋に逃げたり、僕・父・他人・知り合いへの不満・文句・愚痴・怒りが収まらない母の何時間もの話を聞き切れない事でお預けくらったり、手を付ける前に下げられたりで、家ではまともに食べる事ももらうことも出来ませんでした。
唯一の食事が、コンビニ時代は廃棄品が多い時にもらえる廃棄品、前職時は仕事の時の弁当でした。
母は弁当は入院する一年前までは作ってくれました。
『ちゃんと息子の弁当を作る母』という承認欲求が自分でも他人からも評価され満たされる材料であったからなのですが、入院一年前に上司から「精神状態がおかしい」と電話があったらしいのですが、それ以来「上司にも心配させて迷惑かけて、もうこれ以上面倒見切れない!」と言われ、なくなりました。
以後は入院するまで、ラップにふりかけ振ってご飯包んで持って行くだけで精一杯でした。
それでもお腹が空いた時は、お酒とタバコを買いに行ったついでに弁当や惣菜を買ってきてましたが、ゴミが纏められない・片付けられないので、当然酷いゴミ部屋でした。
僕はそんな感じでした。


どうしてセルフネグレクトになるのか?

かつて、TVでゴミ屋敷の話題がよく上がっていた時期がありましたが、その時は年寄りにフォーカスした内容でしたが、伴侶を失った強い喪失感と子供にも相手にされず友達もいない孤独感を埋めようとする心理が、捨てられないのではなく捨てない・とにかく集めるといった行動を引き起こしていました。

家にある物を捨てない・ゴミを集めるというのは、強い喪失感や寂しさを埋めようとする心理の投影行動です。
TVでやっていると、そうなるのがセルフネグレクトであるかのような報道の仕方をしていたり、それっぽいコメントをする専門外や知識外・タレントのコメンテーターばかりなので「そうなのだ」と思いがちですが、ゴミを集めるタイプのセルフネグレクトは極めて稀なケースで、生きる事に対する執着や、死への恐怖も無くしていないのが特徴です。

僕としては、ゴミを捨てずにゴミを集めるのはセルフネグレクトというより喪失症(現在そんな病名はありません)的な症状として別物として考えています。

基本的なセルフネグレクトは、精神の疲れすぎ、気力の枯渇から起こる状態です。
ゴミ集めするタイプと違って、『しない』のではなく『出来ない』状態です。

生きる事や未来に何の希望も意味も持てない精神状態になると陥る状態だからです。
鬱の症状の一環として捉えられていますが、全くその通りで精神疾患とは深い関係性があるのです。


アルコール依存症者のセルフネグレクト

アルコール依存症で言えば、コントロール障害の人はセルフネグレクトになる事は、まずありません。
生や健康に執着があり恐怖もあるからです。
それでもセルフネグレクトになってしまう人は、他人にしてもらう依存心(甘え)の強い人であったり、強い面倒くさがりではないでしょうか?
僕の知っている限りですが、甘やかしで育ち、元より自分でしない・したことがない、自分では決断しない・言われないとしない人達、又は他責思考の強い人でした。

対し、重度アルコール依存症の人は多分ほとんどの人がセルフネグレクトに陥った経験があると思います。
気力・精神力が枯渇するまで努力し頑張った、でも変わらなかったし変われなかった、だから生きる事にも未来にも希望もなければ執着も無くなってしまった、その結果行き着いたのがアルコール依存症ではないでしょうか?

僕もそうでしたが重度アルコール依存症になる人は、アルコール依存症になる前にセルフネグレクトが発症しだします。
その後にアルコール依存状態になっていき、セルフネグレクトも悪化していきます。
問題は飲酒じゃありません。
セルフネグレクトになるまで苦しんできた問題、その一つ一つです。

そこと向き合っていくのが回復への道です。

こちらの記事で僕がしてきた方法を紹介しています。
自分でも出来る範囲で向き合ってみてほしいと思います。


今回は以上です。
参考にして頂けたら幸いです。

あなたの断酒が楽になりますように。
ご家族様の消えない苦しみが少しでも軽くなりますように。

最後まで読んで頂き有難うございました。

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