デミロマンティックは恋愛経験が少ないことをカモフラージュする言葉ではない｜デミロマンティックの私に見える世界

LGBTQ+をマンガで分かりやすく伝える「パレットーク」さんが、デミロマンティックを取り上げてくださった。

デミロマンティックという言葉にしっくり来た私の話 #パレットーク pic.twitter.com/nnjiwjzlpV

— 漫画でわかるLGBTQ+ / パレットーク (@palettalk_) May 27, 2021

とても影響力のあるアカウントのため、パレットークさんの発信によって、初めて言葉を知った人、自分も当てはまると感じた人が多くいらっしゃると思う。私がnoteで文章を書いているのは、デミロマンティックの認知度を上げるためだから、とても嬉しいことだ。

一方で、リプライや引用RTを見ていると、批判的な投稿があることも知った。

デミロマンティックに対する偏見

デミロマンティック(特に女性)の人の感覚って普通なのではないか？

セクシュアリティの分類が細かすぎる。名前をつけて、自分が特別だと思いたいだけでは？

たくさんの人と恋をしている人の方が少数派では？

まさにこれである。デミロマンティックをカミングアウトしづらいのは、こんな風に思われてしまうのではないかという不安があるから。

同性が好き、性別関係なく好き、全く恋愛感情を抱かない…(理解のされやすさはさておき)説明すれば意味はわかると思う。でも、デミロマンティックは、そもそも説明することすら難しい。的確にデミロマンティックの感覚を表現してくれたパレットークさんの投稿でさえ、「それって普通じゃない？」というコメントがきてしまう。

恋愛経験が少ない≠デミロマンティック

恋愛経験が2回しかないって普通だよ？たくさん恋愛している人なんて一握りだよ。

デミロマンティックの恋愛経験はたしかに平均と比べると少ないかもしれない。ただ、デミロマンティックを自認するのに、正直恋愛の数は関係ない。

デミロマンティックは、恋愛経験が少ないこと、モテないことを言い訳している言葉にすぎないと思われることもある。

でも、「いろいろな人から告白されてもどうしても受け入れられなくて恋人を作らなかった人」、「よく知らない人からのアプローチが苦手でそのようなシチュエーションをそもそも避けてきた人」とか、デミロマンティックにもさまざまなパターンがある。逆に、モテなくても、自分からデートに誘ったり恋愛に積極的な人だっている。

デミロマンティックをカミングアウトできないのは、「モテない言い訳をしていると思われたらどうしよう」という不安があるからだ（結果的に恋愛経験が少ない場合が多いので、世間からはモテない人と捉えられる可能性がある）。

困っている人がいるから「デミロマンティック」という分類が必要

カミングアウトはとても勇気のいることだ。特に、恋愛への関心がそもそも低めなデミロマンティックであれば、自分の恋愛の話なんて黙っていられるのならそれが一番楽だ。

自分が特別だと思われたいーーそんな理由でデミロマンティックを自認するわけがない。

このnoteでも書いたけど、デミロマンティックという言葉に辿り着く人は、恋愛に対する違和感や困りごとがある人だと思う。

言葉で説明すれば「普通」だと思われてしまうかもしれないけど、当事者としては、周りの恋愛のペースはとてつもなく早いものに感じられる。

デミロマンティックという概念をなかったことにしてほしくないから、私はこれからも書くことを続けたい。

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