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「結婚」という存在が私たちを苦しめる

結婚」という言葉の威力は大きい。

  結婚=幸せ、安定、選ばれた人、社会的信頼...

  独身=孤独、人間的に問題がある、無責任...

既婚者の「独身の方が気楽でいいよ」という言葉が皮肉に聞こえてしまうのは気のせいだろうか。心の底から結婚しなければよかったと思っている人も中にはいるだろうが、多かれ少なかれ、既婚者は「結婚している」というステータスに助けられていると思う。今の社会では、なぜか「結婚している」ことにものすごく価値が見いだされている。


子供が欲しい。温かい家庭を築きたい。いざという時に頼れるパートナーが欲しい。老後を一人で生きるのは寂しい。

こんな風に、純粋な自分の意志で婚活をしている人はどのくらいいるのだろうか?逆に、義務感や焦りを感じなければ、婚活をしなかった人はどのくらいいるのだろうか?

周りの友達が結婚して、一緒に遊べなくなって孤独感を感じたり。親には「いい人はいないの?」と聞かれたり。結婚するのがさも当然、という感じで世の中は動いている。


性の多様性という概念も広まりつつあるから、ゲイやレズビアンのカップルに対しては「同性婚が認められるといいですね」とエールを送ったり、一人で生きていくことを決めたアセクシュアルには「そういう生き方も素敵だよ」と尊重したり、理解を示してくれる人は次第に増えているかもしれない。

でも、どう頑張ったって「異性愛規範から外れたマイノリティ」と位置付けられてしまう。

「性のあり方は十人十色だから私たちはセクシュアルマイノリティなんかじゃない!」と主張することが今回のテーマではない。私はセクシュアルマジョリティの皆さんにお聞きしたいのです。男性と女性が結婚することが当たり前の世の中で本当に生きやすいですか?

女性の方で、今は仕事に集中したいから結婚はしたくなかったのに、この機会を逃すわけにはいかないからと仕事を諦めた人はいませんか?婚活のために、好きでもない料理を練習している人はいませんか?

男性の方で、周りの人が結婚してメンツが保てなくなって、慌てて彼女を作ろうとした人はいませんか? 自分一人なら生活できるけど、結婚して子供を育てるほどの収入はないと悩んだ人はいませんか?

結婚するためには、仕方のない悩みや諦めなんでしょうか。じゃあ、どうしてそんな思いをしてまであなたは結婚したいんですか?

ワイドショーの街頭インタビューで、妻が旦那の悪口を話す企画を何度も目にしたことがある。夫婦3組のうち1組は離婚するという話だってある。結婚って、好きな人同士が永遠の愛を誓い合ってするものじゃないんですか?え???


もしあなたたち2人が役所に婚姻届を出しに行って、「すみません、今日から新たな婚姻届は受理できないことになりました」と言われたとして、不当だと裁判を起こしますか? 実際にアクションを起こせる男女カップルが一体どのくらいいるのだろう。そういう決まりになったのであれば諦めるか、と考える人もかなりいるんじゃないかなと個人的には予想する。

そんなの理不尽だ、ありえない、と怒れる人以外は、制度があるなら利用しようとか、結婚するのが当たり前だと思っていた、という感じではないだろうか。

なぜ結婚生活がこんなにも難しいのか。不倫がなくならないのか(お互いに合意を得ているポリアモリーとは区別してます)。離婚してしまうのか。

結婚生活を長く続けている人は、「旦那は奥さんの言いなりになってた方がいいんだよ」とか、「嫌なところも大目に見るのが家族」だとか、「我慢が肝心」「尊敬の気持ちを忘れない」などなど、独自の精神論を繰り広げる。そりゃもう、素晴らしいことだと思う。でも、みんなが実践できることではないし、強制できることでもないと私は考えている。DVとかモラハラとかは別として、普通に暮らしている多くの人にとっても、結婚生活を維持することはかなり難しいと思う。普通に生活していても多くの人が壁にぶち当たってしまうほど、婚姻制度は私たちに無理難題を強いているということである。

夫婦同姓、同居・扶助義務、貞操義務ーー日本の家父長制に基づく婚姻制度は、資本主義社会にとってとても効率が良い。男性が仕事・女性が子育てをすることで、言葉を選ばずに言えば、安定的に次世代の労働力が供給される。だから、明治時代に生まれた前時代的な制度が今でもずっと維持され続けているのだ。結婚は、大切な人の病院面会を断られないようにするための制度なんかではない。

しかし、本気で少子化問題を解決するために行うべきことは、人々を無理やり婚姻制度に押し込めようとすることではない。保育園を増やしてほしい。事実婚でも共同親権を認めてほしい。どう考えても、夫婦同姓や異性婚にこだわっている場合ではない。むしろ逆効果である。


同性婚を合法化させようと頑張っている方々からは、とても強くて純粋な気持ちを感じる。同性愛だけ権利が認められていないというのは明らかに差別だから、私もすごく応援しているし、一刻も早い法制化を望んでいる。

ただ、今の婚姻制度に苦しめられているのは、同性カップルだけではない。

結婚していない人に結婚を急かすのはやめようよ。結婚していないだけで、人として問題があるのかな?と思われるのは辛いよ。今の社会では、結婚できないこと、結婚したくないこと、なんにもおかしなことではない。色眼鏡で見る前に、プレッシャーに押し潰される前に、当たり前だと思っていることを一度疑ってみてほしいと思う。

◆日本の結婚制度について考えるきっかけになる記事◆

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恋愛しない人が浮かない世の中に変える活動をするために使います。エッセイ以外にも小説を書いたり、歌も作っています。