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アメリカでデスメタルをする話⑥ 〜え!?今日ココでライブすんの?〜

なぜか一部界隈で異常な視聴率を稼いでいるこのコラム
最近ライブに「このコラムを読んできました!」みたいな人たちも現れ始め、まぁ書いてみてよかったなと
なんか武勇伝書くみたいで嫌やったんやけどね笑
みんな読んでくれてありがとう

このコラム長らく書いてないうちに色々な変化があった
まずはヒロシ(ex-Arise in stability, Cyclamen)がWEMに加入した

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加入してもらった決め手は人間性だ(ウソ)
誰も不快な気分にならない程度のちょうどいい湯加減の下ネタでいい感じに会話を回してくれるところが俺は好きだ
あとついでにベースが死ぬほどうまい
が、実は伊達メガネらしい。それに関しては関東っぽくてかなりウザい


そしてインドネシアで行われるアジア最大のメタルフェス「Hammersonic」への出演が決まった

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すごいメンツだ。楽しみやね


あとは...12月に2ndアルバム出します
みんなCDで買ってよ!USE MY KNIFEに続いてかっこいいジャケ用意してるからさ!


ピ!(最近会う人会う人にこれの意味を聞かれる)


じゃあ今回のコラムの本題いっちゃいますか

アメリカでバンドやってツアーやってると、マジで色んなことが起こる
そこはやっぱね、アメリカって広いし、色んな人種の色んな人がいるし、1つの国の中にいっぱい国があるようなもんやからね
日本も地方ごとに特色はあるけどまぁだいたい一緒やん。人も街も

あ、ごめん。今日そういう話じゃないわ

今日は、え〜っと...
アメリカってツアー延々としてると
まぁ〜初場所が多いのよ

日本で何年かバンド活動してると「あ〜今日、大阪?の〇〇って箱?あそこか〜」とか「あ〜今日は福岡だから...〇〇でしょ」とか、まぁだいたい昔に一度出演したことある箱だったり、名前は聞いたことがあるライブ会場なことがほとんどやん?

けどアメリカって「ん?明日アリゾナのXXXXってとこでライブ?どこやねんそれ.....」みたいなのが多いのよ

で、実際行ってみたらこれライブハウス違うやん!ただの体育館やんwwww!イベンターしばくぞ!みたいな笑

今日はそんな「到着してみたら驚いた!今日ここでライブっすか!!?」体験をお話をします

​1. 廃ボーリング場

その名の通りもう閉鎖されたボーリング場です
これはテキサスだったかな
アンプとかスピーカーとかPA卓とか全部主催者が持ち込んでやる感じ
そんな感じだからもう、返しとかまったく聞こえない笑
まぁ返しが聞こえないというのはアメリカでは日常茶飯事なことなんだけども。自分の声なんか一切返ってこないよ笑。自分がどんな声出てるかとか一切わからない
閉鎖されてだいぶ経ってたけどレーンのオイルがかなり残ってたのか、サークルピットでちょっとレーンに入っちゃった奴らが全員おもいっきり将棋倒しでコケてた
けど、客めちゃくちゃ入ってたなぁ...300人くらいはいたと思うw

2.コンプトン、他人の家の庭、夜中2時

これは俺、Twitterとかでも呟いたことあるから知ってる人もいるだろうけど

このライブの俺なんかツルっとしてるねw

夜中の2時コンプトン
誰かの家の裏庭ですね。誰のかは知らん
コンプトンでライブって結構やったんだけど、毎回違うやつの裏庭だったなぁ〜笑
コンプトンって多分日本ではヤンチャな人達の憧れやんな笑
俺そういうの知らなくて、日本帰ってきた時にアウトロー系雑誌に「コンプトンはヤバイ」「絶対行っちゃダメ」「コンプトンに行ってきて危ない目にあった(ドヤ)」みたいなのが書いてあって
いや、俺夜中の2時にコンプトンでライブしまくってたけど問題なかったよって思ったな
隣の家の黒人が突然飛び出てきて、うるさい!!って空中に発砲した回とか、突然警察が乱入してきて、俺たち全員ボコボコにされて連行された回とかもあったりしたけど
俺はまぁアメリカだからかなって思ってた
ちなみにその警察にボコボコにされて警察署に連行されたとき、俺なぜかwaterweedのTシャツ着てたな。それめっちゃ覚えてるわ
血まみれになったから警察署に置いて帰ったけども
なので大賀さん、これ読んでたらもう1枚ください...

3. 廃立体パーキング

これは本当に色んな意味で危なかった
立体駐車場の2Fか3Fなんだけど周りの外壁が全部ぶっ壊れてたからピットとかで弾き飛ばされたやつは下に落下してもおかしくなかったw
ライブ中にそういう物理的に危ないってのもあったんだけど、そんなことより印象深いのがこのライブが行われた地域
LAのサウスセントラルってとこなんだけど、ここは本当に治安が悪い
コンプトンもよくわからなかった俺だけどサウスセントラルはとんでもねぇ治安の悪さだって俺は知ってた...

なぜなら俺19歳の時住んでたからだ!
当時、一度隣の家で揉め事があって、アホがバコバコ発砲しやがって俺の部屋を銃弾が1発突き抜けていったことがある

しかしこのライブをやった時、俺はもうすでに27歳か28歳でオレンジカウンティーというハイソな地域で海を感じてのんびり生きていたので、夜にサウスセントラルまでライブしに行くのがマジで苦痛だった

が、そこは俺も流石にN.W.A(Nishihara With Attitude)

他のメンバーはLA近郊に住んでいたので俺は1人、車でサウスセントラルに向かった
アメリカのこの辺り(に限らず大部分)は基本、路駐だ
時間帯によって例外が発生するが全然違法ではない
俺はライブが行われる廃立体パーキングの1本隣の筋の道路に駐車スポットを発見し、華麗に駐車した
エンジンを切りガサゴソ荷物を整理していざ車から出ようとしたその時、2つくらい前に駐車してあった車から全盛期のNELLYのような、背は低いが一目でギャングスタだとわかる黒人男性が降りてきた(夜10時くらい。あたりは真っ暗で誰もいません)
それを見計らったかのように俺の車の後ろにスッと車が停まった....
で、その車からはシュグ・ナイトみたいなとんでもねぇ黒人男性が出てきた
俺はとっさに車の座席の下に身を隠した
終わった。マジで死んだと思った
彼らは俺の車の真横で2〜3分ほど会話をし、去って行った...
多分なんか悪い話をしてたんだと思う
見つかってたら俺、高確率で死んでたと思う

4. カラオケバー

普通のカラオケバー笑
アリゾナだったかな
アリゾナはなんか俺の中で特殊な州だった
州を跨ぐのに検問があるのよ。いろんな州に行ったけどいちいち検問通らないといけないのはアリゾナだけだった気がするなぁ

会場入りしたら普通に老人たちがカラオケしてたw
今は知らんけどもアメリカでカラオケって言ったら、日本のカラオケとはだいぶ違ってて、個室なんかないのよ
ステージが1つあってカラオケがあって、見ず知らずの者同士が順番にステージに上がってみんなの前で歌うのよ
まぁ〜アメリカらしい文化ですよね

俺は何度も「今日のライブさすがにここじゃなくないか!?」って確認したけど、そのうちどっからどう見てもデスメタル野郎なイベンターが登場して「ああ...俺今日マジでここでライブすんだな」と観念したものであります
俺が会場入りした時、上品そうな白人のおばあちゃまが俺のTOXIC HOLOCAUSTのTシャツを見て「私、あなたのTシャツは好きじゃないわ」って言ってきたんだけど
その時デスメタルシーンは空前のCephalotripsyの「Uterovaginal Insertion of Extirpated Anomalies」ジャケTシャツブーム
俺は「おばあちゃま!この後もっととんでもないアホなTシャツ着た奴らが現れますよ!!早く逃げてください!」と進言したがまるで聞き入れられなかった

*Cephalotripsyの「Uterovaginal Insertion of Extirpated Anomalies」を知ってる人は引用リツイートで画像添付をお願いします
知らない人は各自調査

5.インディアン居住区

やはりこれですね
俺的今日ここでライブするんかい!?ランキング第1位

ニューメキシコのインディアン居住区
*インディアン=ネイティヴアメリカンのことです。念の為

俺は子供の時からthe X-filesの大大大大大ファンだ
(俺の感性はthe X-filesと水木しげる作品によって構築されたと言い切れる)
X-filesにはインディアンを題材にしたエピソードが結構ある
俺にとってインディアンカルチャーというのは漫画以上だ
漫画以上にフィクションで漫画以上に現実離れしていて漫画以上に神秘的だ

入る時ちゃんとゲートがあった
俺たちがゲートを通過した時、遠くで狼が鳴いた....気がした

マジで厳格で
マジで居住区内は空気が違った
スピリチュアルなイキフンをビンビン感じた
俺は思わず感涙してしまった
生きながら、この肉体のまま、こんな経験ができるものなのかと

ライブはね
客全員インディアンでインディアンがフルモッシュしてたよw
前座のローカルバンド(もちろんインディアン)はMetallicaのカバーをやってた
ドラムがめっちゃおじさんだなと思ったら、ボーカルのやつのお父さんだったらしい。思わずニッコリ

昔のPC探したら会場の写真があったので貼っておきます

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やばいやろ?

俺たちは愚かな俗物なので、インディアン居住区に酒を持ち込み、俺も先ほどの感涙はどこ行ったんだ?くらいの鯨飲をかましてしまったんだけども
そして俺はあろうことかライブ会場の横で立ちションをしてしまった...
用を足した俺が振り返るとそこには一人の年老いたインディアンが立っていた。俺はその瞬間一気に酔いが覚めた。俺は聖域でなんてことをしてしまったんだと!
しかしその年老いたインディアンは俺の肩に手を置き、静かに一言

「白蛇が見ているぞ...」

とだけ言い残し去って行った....



やべぇ

独特の表現すぎてまったく訳がわからない!!

あれから10年近く経っているがまったくもって元気なので、まぁ大丈夫でしょう。脅かしやがって

と、まぁね
他にも色々あるんやけど
ツアーっていいよ
最高だ
俺にとっては人生の醍醐味だったな

ツアーで一回モンタナ州に行った時にね、モンタナ州って時期にもよるんやろうけど夜9時でも昼みたいに明るい時があるのよ
不思議だなぁと思いながら散歩してたら丘に差し掛かった時になんと
バッファローの群れと遭遇したんですよね
群れって言ってもあれよ
100匹以上いたよ
俺から100mくらい離れてたけどバーーーって走ってた
俺はその時思ったね
大阪で普通に生まれた普通の俺が
こんな素敵な人生歩めるものなのかね!って

思い返すと色んな場所に行って色んな人達とライブした
たまに人生思う通りに行かないなぁなんて思う時もあるけど、俺はもうなんていうか俺の人生の器のキャパをはるかに上回る様々な経験をして、もうある程度人生の冒険はクリアして今は強くてニューゲームをやってるような気分にもなる
これ以上を人生に求めるのはやり過ぎだなぁとさえ思うね
かつてやったツアーライフが、そんな満足感を今でも俺に与えてくれる

音楽やって成功する必要なんて一切ないと俺は思うのよ
ここまで俺のコラム読んでくれた人ならわかるはず
音楽なんてのは、バンドなんてのは、人生を楽しくするためのツールの1つに過ぎない
俺はこのツールを使って、自分自身を色んなとこに連れて行って、色んな人に出会わせて、色んな景色を見せて、色んな気分にしてきた

まぁ音楽じゃなくても、たとえ成功してなくても、そういうツールを持つことが人生で一番大事だと思うね

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