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虹ってなに?という子供の疑問と世界の見え方

なぜなぜ期の子供

どうして虹ってできるの?虹って何?
と子供に聞かれてすぐに答えられなかった。
目に映るもの、自分の周りの事象すべてが気になるようだ。
なぜなぜ期の子供の知的好奇心は素晴らしい。
なぜなぜと分析する姿はまるでトヨタ生産方式にかぶれた上司みたいだ

大人になると"そういうもの”として受け入れがちだと思うけれど、やはり本質を知ろうとする姿勢はいい。
人間は、本来知的好奇心にあふれた生き物だと思う。
それが成長していく過程で薄れていくのかなあ、と思ったり。
好奇心が薄れていく前に、私はなるべくその疑問に答えてあげたい。

虹のメカニズムを簡潔に説明するのは難しい

虹の見えるメカニズムを説明しようと私も調べてみた。

太陽が発する光は、様々な波長の光が重なり合ったものだ。
この光が水滴に入射して屈折・反射する。
水滴内で屈折、反射する際、光は波長(色)によってその角度が異なるため、水滴を抜けるときに色が分かれた状態で目に入ってくる。

波長とか、屈折とか、反射とか、どう考えても3歳児には伝わらない…
これらをさらにかみ砕くには、と考えていくとさらにかみ砕く必要のある言葉が出てきて…
無限ループになりそうだ。

説明するなら太陽の光が水玉の中を通るときに七つの色に分かれるんだよ、レベルかな。

そもそも虹の色って本当に七色だろうか

虹は何色に見える?
一般的には七色と言われる。

これは私たちがそう認識しているだけで、国によって虹が何色あるかという認識が異なる。見えているものは同じなのにこれだけ違うのだ。
虹は、実際に色が区切られているわけではなく、それを見ている我々の脳で色分けしているだけだ。私がもし"赤色"という概念を知らなければきっと虹の一番外側は橙色だと表現するだろう。

ウェザーニュース(https://weathernews.jp/s/topics/201710/310135/)

こんな風に、同じ事象を見たときにそれをどこまで分解できるか、つまり分解能は自身の語彙、知識に依る。
昔、ヨビノリのたくみさんがそういう講演をされていて共感した記憶がある。

ある現象を科学的に説明しようとすれば、当然物理の知識や化学などの知識が必要になる。
これが分からなければ、"Xを入力したらYが出力されるブラックボックスがある"レベルの理解になってしまうだろう。解像度が高ければ、中身が分かり、その人の人生は豊かになる。

感情表現で考えると

外部の事象に限った話ではない。自分の感情を表現しようとすれば、その感情に合わせた語彙が必要だ。
ほとんどの感情は「やばい」「エモい」みたいなもので表現できるかもしれないけれど、実際はもっと細かく形容できるはずだ。
しかし、それを表す言葉を知らなければその感情を形容できないし、そもそもその感情に気づくことはできない。
("赤"というものを知らなければ赤と認識できないように)

形容できないものは表現できないし、他者とのコミュニケーションにも影響がある。
相手の赤色は自分の赤色と微妙に違うかもしれないし、先の例でいえば黄色のことを赤と表現しているかもしれない。食い違うにきまっている。

同じ世界を生きていても、自身の認識の仕方によって世界の見え方や表現の仕方はいくらでも変わってくる。
私の子供には、解像度の高い世界を生きてもらいたい。こういう話を理解できる人間になってもらいたい。

感情はグラデーションだと思う

自分の中に生じる気持ち。それを感じ取って表現する。
これはつまり、その色(感情)に最も近いと思われる表現を割り当てる行為である。

人の文章を読んでいても、ある感情に対してその人はどういう色を持ってくるのか、どういう引き出しがあるのか、そういうところをつい見てしまう。

虹を表現するとき、七色だという話をした。これも乱暴な話だ。
青と一言でいっても水色、青色、群青色みたいに様々な色が含まれている。
緑が混じっている色、藍色が混じっている色、すべてまとめて"青"と表現してしまっている。

感情も虹と同様に、一つの言葉でまとめられていても、その中には濃淡や色相の違いがある。別の色とまじりあっている部分もある。
そういうものを一つの色で表現することは本当は無理があるかもしれない。

人間も同じ

よく見ると全然違う色同士がひとつにまとめられていないだろうか。
そもそも虹って人間の可視光線だけが見えているものである。
赤色の外側には赤外線、紫の外側には紫外線がある。
人間には見えていないだけで、そこには"別の色"がある。
グラデーションであり、赤と紫の外側にも色がある。
カラスは紫外線が見えるし、蛇は赤外線を見ることができる。
見えなくても存在している。
人間には見えない世界だけれど、もしそれらが見えたら世界がどう見えるか、想像することはできる。

グラデーションな世界。
私も結構カテゴライズするのが好きなのだけれどつい思う。
それらしい色でひとまとめにすることに意味はあるのかな。

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