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病みそうになったら社用携帯の着信音を変えたほうがいい

今日、オフィスに出入りしている業者さんの携帯が鳴った。
その瞬間、心臓をつかまれるような感覚がした。
ぎゅっとなってバクバクするあの感覚。

私の嫌いな着信音

ふと聞こえてきた音。
前職で使っていた携帯電話の着信音と同じ音だった。
当時は電話が鳴るのがイヤでしかたなかった。

前職を辞めていまの会社に転職して3年くらい経つがいまは平穏である。
当時の会社は中小企業だった。いわゆる経営層との距離が近い会社。金払いはいいが、中身は結構ブラック。さらにワンマン社長。

社長はブルドーザーみたいな人だった。
周りの意見もほとんど聞かず、自分が正しいと思ったことをやる。
ダメだと思ったら切り捨て。
自分の都合のいいことしか覚えていない。
良い面も悪い面もあると思う。一代で会社を大きくするならこういうタイプが向いているのだろうなと思う。
論理的に説明しても、社長の感情ひとつですべてひっくり返る。
社長の指示で動いていたのに「なんでそんなことやってるの」などと言われたこともある。
一貫性はないし論理は通じない、私には対極にいるようなタイプなので
私はもう一緒に働きたくはない。

いま振り返っても当時の私はけっこう頑張っていたと思う。
毎日、日付が変わるまで働いていたし、土日も働いていた。web会議も深夜だろうがおかまいなく開かれていた。でも労働に見合う給与が出ていたし、仕事内容が私の目指すキャリアと合致していたのでそれは平気だった。私と会社の利害関係が一致していた。

自分の目的に沿っていたので頑張れた。
そこがずれたら?
当然ながらそこで働く意義がなくなる。
働くうちにだんだん私の目指すものと会社が私にやらせたい仕事がずれてきた。
年に何回かある社長との面談。転職の面接のときに話したことと違う。入社のときキャリアビジョンについて話したのに、どうもそれは叶わなそうだということを察した。

意義のないところで働くのはつらかった。
社長の厳しい言動や指導もいままでは我慢できたが、こうなってしまうとただのパワハラであった。リモートだったがそんな電話がいつでもかかってきた。

やりたくてやっていたことが、ただの苦痛になった。
そうして惰性で働いていたところ、体重は10kg近く落ち自律神経がおかしくなったので転職をした。
あの音はなんとか生き延びようとしていた頃に使っていた着信音なのだ。

外界からの入力と身体の反応

おもしろいもので(おもしろくないけど)、こういうのは先に身体が反応する。

外界からの刺激

身体の反応

記憶がよみがえる

光が先に見えて音が後から聞こえてくるような、花火みたいだなと思った。
最悪な花火で、できればもう見たくない。
見たくないのだけれど、あの着信音はデフォルトの音だからたまに遭遇してしまうのだ。

ブラック企業に勤める皆様は、
携帯電話の着信音をデフォルトにしておくのは避けた方がよい。

他の人が使わなそうなものにしておいた方が遭遇率が下がる。

音と記憶の結びつき

何かのきっかけに記憶が呼び出される感覚。
音だけでなく音楽や映像でもそういったことがある。
呼び出される記憶が悪いものばかりとは限らない。
昔の楽しかった思い出だってある。

高校時代の学校生活を思い出すことはできないが、当時よく聴いていた曲をあらためて聴くと断片的な記憶が見える。

自分の人生のタイミング毎に主題歌みたいなものがあり、それらを聴くと当時の記憶がよみがえる。
大学時代に部室でヘビロテしていた曲。
仕事帰りに車内で流していた曲。
失恋したときに聴いていた曲。
といっても目の前に映像ががよみがえってくる感じではなく、思い出を構成する景色が瞬間的にが浮かび上がっては消えていくような感覚だ。こういうときに使える表現か分からないが、走馬灯のような。

外界からの情報で楽しいことも苦しいことも想起される。
外から入ってくる情報を遮断することは難しい。耳と目を閉じて、何も考えないことなんて不可能だ。
私が思い出せないだけで身体が反応してしまう要素はもっとたくさんあるかもしれない。そもそもの話、すでに私が把握しているものを除いて何が私の苦しい記憶に結びついているか分からない以上、避ければいいものが何か分からない。

苦しい記憶だけ消したいと思っても、そういうものに限って心に深く刻まれてしまう。忘れようと思って忘れられるものではないし。

入ってくる刺激を避けられないなら、せめて日常でよく聞くような音と苦しい記憶が結びついてしまうのを避けよう。
いや、そうなる前に辞めろ。

以上、ブラック企業ライフハック。

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