地域と映画の可能性。『スイッチバック』について

画像1 映画「スイッチバック」をご存じでしょうか。愛知県大府市の50周年映画として作られたこの作品。まだ映画館での上映はないのです。新しい編集となり、今回愛媛県新居浜市で上映されたバージョンがこれから世界へと羽ばたいていきます。中学時代の大人でも子供でもないようなうな時期を見事に映画に収めています。少なくとも私は、当時の自分を振り返ることになりました。なんとも言えない、言葉にならない不思議な感情です。
画像2 映画のHPより「大人が与える道を進むのか、それとも、未来はその手で選び取るのか」。 多様な環境で育った子どもたちが、積極的に未来を描けるよう応援するために。 そして、大人中心で事が進む現代社会へのアンチテーゼとして。 「スイッチバック」は、愛知県大府市内外のクリエイターたちのプロジェクト・FCPが手がける長編映画です。 大府のまちを舞台に、様々な経験を通して描かれる中学生たちの気づきと葛藤、選択と不安。そしてまっすぐな熱量がスクリーンを埋め尽くし、観る者の心に深く、強く、呼びかけます。
画像3 いわゆる周年の記念映画とは一線を画しています。今回、あかがねミュージアムで行われたトークイベント。岩田隼之介監督の視点の面白さ。自分たちに矛先が向くような子どもたちに作品を通じて大人たちの振る舞いを問うような作品。しかも出演者は演技経験がない大府に住んでいる人たちが主に演技をしています。どんどん後半に行くにつれて俳優のレベルがあがっているのもわかる。不思議な作りの映画。実際に中学生にとっての数か月というのは成長著しい時期。主人公のアルハンくんは、どんどん演技も人間としても成長していくのがわかります。
画像4 コーディネーターの山田さん。キャスティングにはこの山田さんが関わっています。教育に関わるお仕事をしている山田さんは地元の子どもたちとのネットワークがありました。外国人労働者が多い街である大府。この作品を見れば、大府市にまるで実際に何か月か暮らしたのか?というくらいの何かを植え付けられます。これは観ていただかないとわからない空気感。僕の専門は演劇ですが、こういった映画が評価される映画界であればいいなと願います。
画像5 スイッチバックとは、急勾配を伴う地形における折り返し式(ジグザグ運転を伴う)鉄道線路。このタイトルも秀逸だと思います。出来る限りネタバレにならないようにと思い、感想を書きました。この映画の作り方自体がまっすぐスイスイではなく、スイッチバック方式で遠回りのようでいて、しっかりと進んでいる、力強さを持っていると感じました。私は豪快な辻プロデューサーの人間性にも惚れました。こんな風に純粋にいい映画を撮るために挑戦できるチームって素敵だなと思いました。愛媛県の片隅からこのスイッチバックという映画を応援しています。

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