私の気持ちに呼応するようにバスは着実に進む【Joshimath→Delhi→Chennai】
2024/06/27
いつも通りの目覚め方だった。
つまり、私の部屋の外で誰かが叫んでいて、その声で起きた。
時刻は午前5時。
6時にアラームをセットしていたので二度寝しようと思ったが、一度冴えてしまった頭はもう眠れそうになかった。
私は身支度を整えて、ゲストハウスをチェックアウトした。
外は小雨が降っていた。
外に出ると、ちょうどゲストハウスに前にバスが止まっていた。
早朝から斜向かいの食堂が営業を開始していて、そこでドライバーと乗客がチャイを飲んでいるのだった。
乗客の一人にどこ行きのバスか尋ねると、ハリドワール(Haridwar)だと言う。
ちょうど良い。
私はこのバスに乗ることにした。
昨日、ハリドワール行きのバスに乗るにはどこで待てばいいのか、何人かの町人に聞いてみたが、みんな言うことがバラバラで困っていた。
だから、たまたまバスがゲストハウスの前に停車していたというのは非常に幸運である。
アラーム通り6時に起床していたらこのバスはすでに行ってしまっていたので、あの時刻に部屋の外で叫んでいた人のおかげである。
まあ今回は許してやろう、と思った。
道中、デヴプラヤーグという場所を通る。
ガンガーが生まれる場所だ。
ガンガーは上流付近ではバギラティ川と呼ばれている。
それがこのデヴプラヤーグでアラクナンダー川と合流し、ここで初めてガンガーの名前を与えられるのだ。
窓から吹き込む風が熱を帯び、険しい山道がなだらかになってきたころ、ガンガーでリフティングを楽しむレジャー客の姿が現れ始める。
そろそろリシケシ(Rishikesh)に到着だ。
午後3時、街の中心まで続く一本道の激しい渋滞を抜け、リシケシに到着。
乗客を何人か入れ替えて、ハリドワールへ向かう。
ハリドワールに着いたのが午後4時。
ジョシマートから10時間かかった。
ここで宿泊しようか迷ったが、気持ちは早く南インドに帰りたがっていた。
今デリー行きのバスに乗れれば、深夜のフライトでチェンナイに帰れるかもしれない。
バスターミナルでデリー行きのバスを探すと、すぐに見つかった。
午後5時、デリー行きのバスが出発。
私の気持ちに呼応するようにバスは着実に進む。
バスの中で、飛行機の運航表を調べる。
このまま順調にいけば、デリーに着くのは午後10時くらいだろう。
そうすると、午前2時半発のフライトに乗ることができる。
いや、長時間のバス移動で腰とお尻が痛い。
デリーで1泊してから、明日の昼頃のフライトで帰ろうか。
いやいや、旅行者にとってトラブルの多いデリーで1泊するくらいなら、さっさとチェンナイに帰って自宅でのんびりした方が良い……。
わたしはいろいろ迷った末、午前2時半発のフライトを予約した。
予定通り午後10時、デリーのカシミリ・ゲート(Kashmiri Gate)に到着。
ここからメトロで空港へ移動する。
ここから先はとんとん拍子で進む。
快適なメトロでスムーズに空港まで移動し、カウンターで荷物を預け、手荷物検査。
定刻より30分遅れの午前3時に離陸。
夜が明け、街が動き始めた午前6時にチェンナイ到着。
メトロとバスとオートリクシャを乗り継いで、無事に自宅まで帰ってきた。
昼過ぎに自宅のソファでくつろいでいたところ、早朝の豪雨の影響でデリー空港国内線ターミナルの屋根が崩落したというニュースを目にする。
間一髪だった。
「ヒンドゥー聖地巡礼旅」完
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