6/15 天空の湖パンゴン・ツォへ行く
パンゴン・ツォ(Pangong Tso)行きのバスに乗るため、6時半にバスターミナルへ行く。パンゴン・ツォ行きのバスは、月・水・金曜日のみの発車。
今日乗るバスのチケットは、月曜日のうちに購入しておいた。
レーは標高が高いので、早朝5時には朝日が顔を出し、19時半になってようやく日が沈む。
だから、朝の6時半でも外は十分に明るい。
バスが出発したのは午前7時。
チケットを買った時に、「バスの出発は7時だけど、6時半にはバスターミナルに来てね」と言われていた。
(6時半に集まる意味あるのか…?)と思いつつも、小心者なのでしっかり時間通りにバスターミナルへ行く。
結局バスが発車したのは定刻の7時で、ほとんどの人がギリギリの時刻に来ていたので、6時半にバスターミナルに行く意味はなかった。
バスはこまめに小休止を挟みながら、ひたすら細い坂道を登っていく。
車1台しか通れないような道が多いので、大型バスやトラックが鉢合わせしてしまうと、ちょっとした渋滞が発生する。
正午前に、標高5,391mのチャンラ(Changla)を通過。車が往来する道路としては世界で2番目に高い、というのがインド側の主張だが、事実かどうかは怪しいらしい。
朝に服用しておいた予防薬のおかげか、高山病の症状は一切あらわれなかった。
道中の車内において、ムンバイでITエンジニアをしているという青年、ラジャスタンで学校を経営しているという初老の夫婦、カシミール出身の若い女性2人組と仲良くなる。一人は癌の専門医、もう一人は会社経営をしているという才媛コンビなのだった。
以降は、ぼくを含めた6人で一緒に行動することになる。
というより、ぼくが金魚の糞のようにくっついて行った。
14時半、ついにパンゴン・ツォに到着。
大型バスで7時間半なので、小回りの効く乗用車なら5〜6時間で着くだろう。
バスが停車したところの近くのゲストハウスにチェックイン。
先ほど登場したインド人たちが、宿の主人と値段交渉をしてくれた。
ぼくは周りで彼らの様子をぼーっと眺めていた。
2部屋予約し、女性と男性に別れて宿泊することになった。
エンジニアの青年は体調が優れないようで、部屋に入るなり布団に潜ってしまったので、残りの5人でパンゴン・ツォ観光をすることに。
↑2:35で一瞬だけ写っている。
パンゴン・ツォは確かに美しい湖なのだが、決して長時間いるような場所ではない。
高い標高に加えて、雪山から吹き付ける冷たい風の影響で、湖畔は非常に寒いのだ。
しかし、陽気なインド人たちが簡単にホテルに帰るわけもなく、一緒にいろいろなポーズで写真やビデオを撮影した。
インド人も浮かれまくっている。
小金持ち風のおじさんインド人で、人生を楽しんでいない人を見たことがない。
湖畔にはパンゴン・ツォを有名にした『3 idiots』のセットも置いてある。
映画の主題歌にちなんで、あちこちから「オール・イーズ・ウェール!」という声が聞こえてくる。
結局、湖には2時間ほどいた。
寒いのには辟易したが、一人だとここまで楽しむことはできないので、彼らと一緒に行動できたのは良い思い出になった。
ところで彼らは、パンゴン・ツォからヌブラ渓谷まで直接行きたいという話をしていた。
パンゴン・ツォとヌブラ渓谷、レーは位置関係的に三角形を描いているのだが、ローカルバスは全てレーのバススタンドを発着している。
つまり、移動にローカルバスを使用する限り、一旦レーに戻らないといけないわけで、ぼくはそのつもりでいた。
しかし、パンゴン・ツォからヌブラ渓谷に直接向かいたい人が集まったことで、シェアジープという選択肢が出てきたのである。
車を1台チャーターすると高額になるが、それを何人かでシェアすると1人あたりの運賃は現実的になる。
初老夫婦と才媛コンビは非常に頼り甲斐があり、どこからかシェアジープの運転手を連れてきて、激しい交渉の末、一人2,000ルピーで連れて行ってくれることになった。
ローカルバスと比べると割高であるのは否めないが、レーに帰るバス賃、レーでの宿泊費、レーからヌブラ渓谷へのバス賃を考えると、悪い金額ではない。
話を詰めていくと、彼らは日帰りでヌブラ渓谷を観光し、その日のうちにレーに帰る予定でいることがわかった。
しかし、ぼくはヌブラ渓谷で3日くらいは滞在するつもりだったので、そのことを伝えると、再び運転手と掛け合ってくれた。
最終的に、ぼくは途中下車するので、1,000ルピーで良いということになった。
おんぶに抱っこで申し訳ないのだが、非常にありがたい話だ。
観光中、彼らはやりたい放題だった。
初老夫婦のおじさんは、かっこいいバイクを見かけると、手当たり次第に運転手に声をかけ、バイクにまたがらせてもらっていた。
おばさんの方は、写真撮影をしているカップルを見つけるや否や、「こういうポーズがいいわね」とか「ほら、2人でハートを作って」と口を挟みにいく。
才媛コンビは、湖畔の見知らぬテントに近づいて、「焚き火しようよ」とか「ねえ、中を見せてよ」と中の人に声をかける。
エンジニアの青年は夜の10時に急に「キャンプファイヤーをやる」と言い出して、結局12時までみんなで踊り狂った。
声をかけられた人たちは嫌がるそぶりを見せず、何なら一緒になって談笑する。
インド人のおおらかさ、自由奔放さ、奥深さ、人懐こさ、身勝手さを目の当たりにした。
……というわけで、明日はシェアジープでヌブラ渓谷へ行く。
今日は成り行きに任せて、というより陽気なインド人たちに引っ張られる形であっという間に1日が終わったが、何だかインドで旅をしている実感があってとても楽しかった。
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