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映画的写真とは (1)

まだ僕が子供の頃にふと気付いたことがあった。それは「テレビの画質」と「映画の画質」が全く異なるということ。テレビドラマの画質と映画の画質はどうしてこんなに違うのだろう。そんなことをぼんやりと感じていた。80年代から90年代にかけての時代。

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そしてその違いを感じながら、同時に僕は映画の画質をなんとなく好ましく思っていた。テレビの画質は現実的で味気ない。一方で映画の画質はどこか非現実的だ。東京の見慣れたはずの景色でも、映画の中ではどこか違和感がある。目に見えない膜が張られているような感覚。

この感じ方が、僕のイメージする「映画的」の原体験なのである。

それは言い換えれば「映画的なイメージ」の対極に「テレビ的なイメージ」があるということでもある。今の時代、もしかしたらそれほど「映画」と「テレビ」の画質は違いが無いのかもしれないけど(もう久しくテレビを真面目に見ていないのでわからない)、少なくとも僕が幼い頃は明確な違いがあった。

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テレビが当時どのような記録メディアを使用していたのかは知らないけど、僕は映写技師の仕事を通じて 16mm/35mm のフィルムに触れることができた。そして「ああ、そういうことだったのか」となんとなく納得したのだった。フィルムで撮るから美しいのだ、と。

けれど、それは僕がデジタル一眼で写真を撮り始めるよりもずっとずっと前のこと。約20年の時を経て、僕は奇しくもデジタルの一眼カメラを手にすることになった。そしてその時には「映画的な写真を撮りたい」なんてことは考えていなかったのである。

この話、長くなりそうな気がするので一旦ここで切らせていただきます。

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