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中学受験には「運命のいたずら」が待っている

前回のnoteに、今年の入試で2月3日まで合格ゼロだったこと、受験校の組み方により子どもを必要以上に苦しめてしまったことを書きました。

その後、どうなったか。

2月4日の朝、子どもは初めて荒れました。

前日の結果を知らされ、泣いて泣いて、「今日は受けたくない!」とベッドに潜りました。私が近づこうとすると、「向こう行って!」と追い払われます。

胸が痛くて痛くて抱きしめたいのに、どうすることもできませんでした。

ただ子どものすごいところは、その後、気持ちを立て直し、新たな受験会場へ向かったことです。

正直に言うと、私だけが学校説明会に参加し、子どもは足を踏み入れたことのない学校です。

それでも「絶対この学校に入って、この教室で勉強するんだ」という強い気持ちで臨んだといいます。

その気持ちが通じたのか、この学校(D校)から合格をいただくことができました。

D校との関係は、ホームページを見て、その校風や歴史や教育方針を知ることから始まりました。

活躍している生徒さんの記事、先生方のインタビュー記事を片っ端から探し出し、前向きな情報とあれば子どもに伝えます。

「楽しそうだね」「◯◯って部活が強いらしいよ」と言いながら、親子共に気持ちを盛り上げていきました。

制服の採寸日、学校からの帰り道に子どもがこんなことを言いました。

「繰り上げ合格って来ないの?」

えーっ、今さら何を言う? 
この学校が気に入らなかったのか?

…と憂鬱になりましたが、「さすがにもう来ないよ、来ない」とあっさりと答えました。

マンガ『二月の勝者』で、子どもは「繰り上げ」の存在を知ったようです。(私は読んでいない場面)。中学受験の表も裏も描く大人向けのマンガゆえ、子どもがいろいろ知りすぎているなと焦りました。

が、子どもなりに、こういう質問をすることで、心に抱いてきた志望校から「卒業」しようとしたのかもしれません。


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こうして、また忙しい日常に戻っていたある午後、私の携帯が鳴りました。

非通知着信です。

少しばかり警戒して電話に出ると、なんとなんと、「◯◯中学です」との声。それは、子どもの志望校のひとつでした。

さらに、「繰り上げ合格となりました」と――。

もう何が何だかわからなくなりました。

子どもは横でぴょんぴょん跳ねまわるし、私は呂律がまわらなくなるし。

「繰り上げ」なんて、マンガの中だけ、ネットの中だけのお伽噺と思っていました。
いやあ、こんなことってあるんだ。

その夜は、眠ることができませんでした。
眠ってしまったら、朝起きて「やっぱり夢だったよね」となりかねません。

翌日、学校へ書類を受けとりに行くことになっていましたが、書類を手にするまで「繰り上げ合格詐欺」を疑っていました。お金の介在しない詐欺。いったい何を目的にこんなマネをするのか。

合格証明書と入学許可証を受け取って、ようやく一息つきました。

ああ、ウソじゃなかったんだーー。


そんな出来事から数週間経ちますが、今も夢なのか現実なのか時々わからなくなります。

合格を勝ちとったというより、天から降って来た合格切符をたまたま受けとった、そんな気分です。ちょっと油断したら、切符が手からこぼれ落ちていってしまうような。

ご縁をいただいたD校には感謝を込めてその旨を伝えました。今もD校にはあたたかな、手を合わせるような気持ちです。

中学受験は過酷だと前回のnoteにも書きましたが、こんな運命のいたずらもある、ということも含めて過酷です。

「子どもががんばって勉強した結果」とひと言でまとめられない、運や縁などの力が大きく関わってきます。

たまたま病気になってしまったら?

たまたま緊張しすぎてしまったら? 

たまたま最も得意な分野が出題されたら?

そんな「たまたま」に左右されて、運命がどんどん変わっていく。

子どもには、たまたま手にした合格切符を大切に、思う存分使っていってもらいたいと思います。

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