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トーキングトゥルース、このタイトルにピンと来る人へ

今年ももう12月。2023年の自分の仕事を振り返ってみると、頼まれてないことをけっこうやったような気がする。その最たるものが、レコード作りだ。古舘伊知郎さんがテレビ朝日の社員時代に出した「燃えろ!吠えろ!タイガーマスク」を歌ってアナログ盤を作るなんて、誰にも頼まれていない。自分がやりたいからやった仕事なのである。

ここで何度も書いている通り、僕がフリーアナウンサーという職業を選んだのは、小学生の頃にテレビで知った古舘さんの影響だ。「この人と同じことをやる」と決めて歩んできた結果が、今の自分の仕事である。古舘さんの偉業を挙げればキリがないが、他のアナウンサーと決定的に違うのは、一人で舞台に立つ「トーキングブルース」を続けていることだと思う。いわゆる、喋りで金を取る「喋り屋」をやってきたのである。

古舘さんを見て育った僕はもちろん、こうした舞台での喋りも視野に入れてきた。それは5年前から、他ジャンルの表現者とコラボする形で実況を見せる「実況芸」として形になるわけだが、今年はコラボ相手が見つからなかったこともあり、ついに単独でのイベントを決断したのである。単独。つまり、出演者が自分だけ、というのはまったくの初めてで、音楽で言うところのワンマンライブ、落語や講談で言うところの独演会に挑むときが、ついに来たのだ。

イベントタイトルは「清野茂樹トーキングトゥルース」に決めた。もう、これだけで何がやりたいのか、わかる人には一発で伝わると思う。30年前から何度も足を運んできた(今年も行ってきた)古舘さんの「トーキングブルース」の世界観をお手本としながらも、自分なりの方法でアレンジしてステージに立つつもりだ。

そんなことを言っても「古舘伊知郎は天才だよ。君とは積んでるエンジンが違う」と思う人もいるだろう。わかってますよ。だからこそ、古舘さんとは違った表現とか構成も考えているし、自分にとって最大の技能である「実況」も駆使するつもりだ。トークテーマは「狂った大晦日」。20年前に民放3局が格闘技を中継した異様な大晦日の話を軸にしながら、なおかつ、今年も振り返り、究極は清野茂樹という人格がいかにして出来上がったのかを表現したいと思う。

そう、やりたいのは「これが自分だ」という表現なのだ。そして、言葉だけで聞く人を楽しませる話芸である。当日は全力でやる姿をお見せする、と約束しよう。古舘さんみたいに2時間とは言わないまでも、少なくとも1時間半は喋り続けるつもりだ。極端な言い方をすると、このイベントは僕にとっては生きていることの証明であり、僕を知る人はもちろん「トーキングブルース」のお客さんにも足を運んでもらえれば最高にうれしい。

「トーキングブルース」の歴史は、400人キャパの原宿クエストホール(現在は閉館)で始まった。今回、僕が会場として選んだライブハウスSHIBUYA TAKE OFF 7は100人キャパ。何度も移転はしているものの、若き日のBOØWYやDREAMS COME TRUE、とんねるずが「表現」に磨きをかけた伝統のステージである。あとになって「あの時、観たよ!」と自慢できるのは、チケットを買って会場に行った人だけですよ、と強調するのは大袈裟過ぎるだろうか。

「おっ、客席を埋める満員の聴衆たち!新しいものに対する感度の高い人たち、私の言葉を聞き逃すまいと耳を傾ける、凄まじい熱量だ!!私も負けじと一人喋りで立ち向かう!」

頭の中で12月21日のステージに立つ姿を想像しながら、僕は一人で実況芸の練習をしているのである。

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