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ゆっくり信号を待つ

信号が変わりそうになると、急にスピードアップする人がほとんどですが、なにをそんな急いどるんでしょうか?

信号待ちの時間ロスはせいぜい「2~3分」。節約するにはあまりに些細な時間です。それでも急ぐアナタは、分単位で動いている来日中のハリウッドスターですか? 今にも子供が産まれそうなんですか? 3分後にM78星雲に帰らんといかんのですか?

「この信号を逃すと、次の信号でまた引っかかり、そして雪だるま式に時間のロスが増える」

とか思っている人もいるかもしれませんが、逆に「この信号を待ったことで次の信号でスッと行ける」ということもあり得ます。

なので、「この信号を逃したら、到着が遅くなる」とは必ずしも言えないワケです。速くなることはないでしょうが、ほぼ同じ時間に到着する可能性大でしょう。

ただ多くの人は「早く到着したいから」ではなく、「待つのがイヤ」とか「反射的に」とかそういった理由の方が多いと思います。

しかし、待つことのメリットは計り知れないのです。

車の場合、待つと色々なモノが見えてきます。綺麗なねーちゃんが歩いてるかもしれませんし、空には虹が見えるかもしれませんし、美味しそうな焼きたてのパンが見えるかもしれませんし、生き別れた兄弟が目の前を歩くかもしれません。

歩きでの待ち時間は絶好のスマホタイムです。これ幸いにまた綺麗なねーちゃんの画像を見て、血の巡りをよくしましょう。走っている車のナンバー見て、イチローのごとく動体視力を養うのもいいですね。

電車に乗り遅れたとしても、次の電車でアラン・ドロンのような素敵な男性との出会いがあるかもしれません。本来乗るべき電車にDr.オクトパスが襲ってきて危険な目にあったかもしれません。それはそれで助けに来た「クモ男」と恋に落ちるかもしれませんが。

ということで、信号で待ったり、万が一電車に乗り遅れても、いいことばかりなのです。というか、そもそも、もっと早く家を出れ。

★★★

逆に「急ぐことのデメリット」はたくさん存在します。

乗り物の場合は急ぐと、とにかく「危ない」。

私は徒歩移動が主です。そしてことあるごとにウロウロしますから、「急いでいる車に轢かれそうになったランキング」ではおそらく日本一位でしょう。だからこんな文を一生懸命シコシコと書いてます。

「2分待つのがイヤ」ってだけで人を轢いて、怪我させてしまうのはなんとも情けない話です。冷静に天秤にかけてみるとわかります。

「2分」と「人の命」です。

余裕で「人の命」の方に傾きますね。その勢いで「2分」なんて空の彼方に吹っ飛んでいきます。比べるまでもありません。

そして「信号を逃したくない」なんて常に思っているような人は、おそらくどこへ行っても常に落ち着きがなくセカセカしているハズです。

「信号で急ぐ」という行為は「時間に飲まれてしまう」直接の原因を作ります。これではどこで「時短」をしようが、自分の理想とする時間に追いつくことは一生ありません。

だからどこかで意識して「スピードダウン」をすることが必要です。

その絶好の機会が「信号をゆっくり待つ」です。

信号が赤になりそうでも、スピードアップしたり、走り出したりせず、ゆっくり「ふんふん♪」とか言いながら、向かいましょう。

そして”ゆっくり”待ちましょう。待つことを受け入れるとイライラすることはなくなり、不思議と気持ちも落ち着いてきます。

★★★

「この道50年」の職人なんかは非常に動きがゆっくりです。常に心が落ち着いており、作業の段取りを冷静に見つめることができます。結局セカセカしている人よりよっぽど速く、丁寧に仕上がります。

タイガーウッズもゆっくり歩きます。急ぎません。心が乱れるからです。

天才外科医なんかも、常にゆっくり動くそうです。

ゆっくり動くと自律神経が安定するそうです。

ゆっくり話すとモテるそうです。(実践済。イケメンに限る)

ゆっくり食べると綺麗になるそうです。(誰か試してください。そして私に画像を送ってください。※黒の下着姿に限る)

この辺のことはこの本で知りました。ええ本です。

これもオススメです。上の本は実践的ですが、こちらは「急ぐこと」への考え方が180度変わります。

とにかく社会は常に「急ぐこと」「便利さ」を要求してきます。人々はさらに消耗しますが、その代わり社会が潤うからです。人々を急がせることで得をする会社が沢山あるからです。皆、揃いも揃って「ゆっくりでええよ~」とか言ってたらリニアもスマホも誕生してないでしょう。

だから普通に生きていて、「急がないといけない」という風になってしまうのは仕方のないことです。

「急ぐこと」がなにより善とされているこの現代で「ゆっくり」動くのは中々難しいです。

現代のスピードに飲まれてしまって常にセカセカしている人は一度、落ち着く時間を持ってみるといいと思います。私の場合は「ゆっくり信号を待つ」ということです。

「瞑想」や「座禅」もいいと思います。

禅宗の坊さんに座禅のコツを聞いてみたことがあります。

「座禅というのは、『なにも考えない』とか、『悟りがどうのこうの』とかではなく、ただただ『一日の中に何もしない時間を作る』という意識で取り組んだ方がうまく行く」と言っていました。

これは結局、「時間に追われない自分を作る」ということでしょう。私の「ゆっくり信号を待つ」と同じことなのではないでしょうか?

現代のスピードに飲まれてしまわないため、今日もゆっくり信号待ちをしましょう。

最後になりましたが、私がこの文で本当に伝えたいことを書きます。

「もう私を轢こうとするのはやめてください」

#エッセイ #座禅 #ゆっくり #信号

働きたくないんです。