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かつての上司は言った。「新聞は取らない。情報過多だから」と。

私は朝日新聞を購読している。

悪名高い朝日をなぜ取るのか? それは今回スルーするとして、「なぜ新聞を取るのか?」という話である。

だってネットあるし、SNSあるし、ニュースアプリあるし、いくらでも情報がタダで手に入るじゃん。非正規なのに新聞なんかに金払うの? バカなの? 老害なの? と思うかもしれない。

私が新聞を取る理由。それは「情報が限られているから」である。

スマホ、テレビ、パソコン……なにもしていなくても、情報は山のように入ってくる。これらひとつひとつ見ていったら、キリがない。時間がいくらあっても足りない。

だから私は普段の情報を新聞のみにし、テレビやネット、SNS(noteはちょっと見るけど)は一切見ない。

大嫌いだった前の上司は、私が「新聞を購読している」と知るや否や、

「お前、新聞取ってんの? 無駄やで」と言ってきた。

「なんでですか?」と私。

「新聞って情報過多やからな。ニュースアプリで自分の見たいモンだけ見ればいいんや」とドヤ顔で上司は言う。

ニュースアプリは日に四回更新。その都度、何百個のニュースが表示される。

…………そっちの方が情報過多なんじゃないの?

新聞だって全部読めば、本一冊分の文字数がある。でもいちいち全部に目を通していたら2~3時間くらいかかるので、興味のあるものだけ読めばいい。

限られた情報しか載っていない新聞だけでもしっかり取捨選択していかないと、時間がいくらでも取られるのである。ネットの情報なんてもっとそうだ。

皆、スマホをいじり倒して色々見てはいるが、なんか有意義な情報は手に入りますか? その有意義な情報もすぐに別のものに上書きされて、どんどん忘れていくのとちゃいますか?

その上司も”意識高い系ニュース”を見て、色々なことを私に強要してきた。「毎朝一時間早く出社して、掃除をする」というのが最たる例だ。「掃除は心を綺麗にする」というのをネットで見たのだろう。自分の時間を取られてイヤイヤする掃除が心を綺麗にするワケねえのです。

次の週も、そのまた次の週も……違うことを言う。部下に強要する。

情報の取捨選択が出来てないからこうなる。思考錯誤は必要だけど、その”思考”の段階でもしっかり取捨選択しないと。ネットの情報に振り回される部下の身にもなってみろ、という話である。

ネットというのは「閲覧数を増やすため」だけに書かれた中身のない記事がホントに多い。検索トップあたりに出てくる記事はどこかの業者がクラウドサービスなどを通じて、素人に書かせたものが多い。その素人だってどうやってその記事を書くのかと言うと、「他のネットの記事を参考にする」のだ。

そんな情報をいくら見たって、正直時間の無駄にしかならない気がする。

それだったら、限られた情報である新聞などだけを見て、それ以外は一切情報を遮断する方がいいのではないかと思う。これくらいしないと情報にいくらでも時間をかけてしまう。

世の中すっごく便利なのに、おっとり暮らしている人はネットに無縁な老人くらい。若い人は皆、急いでいる。ネットのせいだ。もっと言えば情報のせいだ。

情報源を少なくすれば、もっと落ち着いて生活できると思う。自分を煩わすものが少なくなり、生活がシンプルになり、本当に大切なことだけが見えてくる。

今や現実は、さまざまな形態のメディアから生活に流し込まれる、途方もない量の情報に操られている。不思議なことに、現実が消えかけているとしても、それは情報が「足りないからではなく、多すぎるからだ」。
~社会学大図鑑 ジョン・ボードリヤールの項目から~

情報は大事だけど、取り過ぎると間違いなく身体に悪い。

私はネットを見ない時間で、美味しいお味噌汁を作って、ゆっくりすすってます。

#エッセイ #新聞 #情報 #ニュース

働きたくないんです。