ベテランの人も一緒に考えよう!
「ここはひとつ、若い人の脳で……」
アイデア出しの会議で、歳の食ったベテランはすぐこういうことを言って、若い人の脳に現れるであろう”独創的なひらめき”に頼ろうとする。
「独創的なアイデアは経験の浅い若者の脳からしか、生まれない」。この思い込みに縛られているからだ。
だからベテランはハナから考えることをしない。若いヤツにアイデアを出させて、それを批判するだけだ。
なんでもそうだが、生み出すより、批判する方がずっと楽。「キミは経験が浅いからわからないのだろうけど、そんなことをしたら……」
いやいや、お前が出せ言うたんやないか、経験の浅いフレッシュなアイデアが欲しい言うて。
こうして、若い人が一生懸命考えたアイデアは、日々潰されていく。考えることをとっくの昔にやめてしまったズルンズルンのオッサンの脳みそとガラスのように砕けやすいプライドによって。
私も20代の頃、行く先々で、「若いんだから、バシッと輝くひらめきはないの?」と何回も言われてきた。
そんなこと、急に言われても、ない。
私自身も「オッサンの脳なんて下半身と共に衰えてくるものだから仕方ないか」なんて思ってたら、ある本でこんな文言を見つけた。
課題への創造的な解決策を見つけようとすれば、知識はあればあるほどよく、知識は友人であり、敵ではないということだ。
~『究極の鍛練』より~
ん? オッサン共は「知識はあり過ぎるとひらめきの邪魔になる」みたいなこと言ってたけど? だから経験の浅い若い脳に頼ってくるんだろう。
この本はさらにビートルズの偉大なアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』やピカソの『アビニヨンの娘たち』という独創的な作品を例にあげ、このようなことを言っている。
もっとも傑出したクリエーターはいずれも自分が選んだ専門分野で全身全霊仕事に打ち込み、自分の人生を捧げ、膨大な知識を蓄積し、常に自分自身をその領域の最先端に置くよう努力した者たちだ。
~『究極の鍛練』より~
要は「知識や経験の多いベテランの方が、独創的なアイデアを出しやすい」ということらしい。
たしかにスティーブ・ジョブスもビル・ゲイツもまったくの素人から、あれほどの商品を創り出したワケじゃない。学生時代、何万時間とパソコンを触り続けてきたから、アイフォンとかウィンドウズとかいう発想が出てきたんだろう。
ビートルズも「天才」だと思われがちだが、デビューまでにドイツのハンブルクでガラの悪い酔っぱらい相手に何百回とコンサートをしている「努力の人たち」だ。その末、生まれたのが名盤の『サージェント・ペパーズ』であり『アビーロード』だったりする。
やっぱり経験や知識があればあるほど、独創的なアイデアは生まれやすい、ということ。
たしかにオッサンの脳は衰えているが、それは「自分の脳は衰えている」と決めつけ、早々に考えることをしなくなるからだろう。脳に限らず、使わないと衰えてくるのは当然のこと。
考えるのって疲れるもんね。誰だってイヤだよね。だから若い人に押し付けるんだよね。
でも、良いアイデアが出たら出たで、おもしろくないから、そのときだけベテラン風吹かせて、批判して潰すんですよね。どーしようもないですね。
ベテランの脳には宝が埋まってるかもしれない。でも、探さない。面倒くさいから。しんどいから。そして、若い人の脳を探させる。しかし、宝は出てこない。そこには存在しないから。
変化の激しい時代です。アイデアなしでは生き残れません。楽したい気持ちはわかりますがベテランも一緒に考えましょー。
働きたくないんです。