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若者が飲み会を嫌がる理由
「最近の若いヤツは飲み会に行かない」
若者の「飲み会離れ」が進んでいます。
なぜ行きたがらないのか?
その理由を考えるため、今回は会社の飲み会に潜入してみましょう。
メンバーは私(一番若手)、先輩、部長、社長、の4人です。場所はお好み焼き屋。接待ではなく、仕事帰りの軽い飲み会です。
それでは会社の飲み会へ。行きたくねえけどレッツ・ゴー。
PM7:00
私「ったく、定時5時半やのに、なんで7時始まりやねんアホか……来た来た。お疲れ様ですっ。席とってあります!」
社長「おう。ほな行こか」
一同席に着く。上座にメニューや香辛料などが置いてあるやっかいなテーブルだ。下座に座る私はそれらの物を取るのに気を使いながら手を伸ばさないといけない。
部長「きよさん、とりあえずビールね」
私「わかりました。すいませーん。生4つ」
私は手を伸ばし、おしぼり、箸、皿、灰皿をそれぞれの位置に置く。
社長「ビール来たな。それじゃあ、皆さんお疲れ様です」
一同「お疲れ様でーす」乾杯をする。
社長「きよさん、適当に注文して。なんでもええから」
私「了解です!(『なんでもいい』が一番困るんだよな)じゃあイカ玉と……もんじゃと……」
部長「きよさん、ビール無くなったから。焼酎」
私「あっ、申し訳ないです。気づきませんで。すいませーん、黒霧島」
私は焼酎の水割りをせっせと作る。
PM8:00
先輩「きよさん、注文いい? あのね、キムチとね……」
私「(チッ、なんでワシに言うねん。店員に言わんかい)了解ッス!。すいませーん。キムチくださーい」
注文を聞いた店員が去っていく。
部長「あっ、枝豆も」
私「(店員行ったあとに言うなや~もう~)すいませーん。すいませーん! 枝豆くださーい」
社長「この前の中国出張大変やったわ。あれがこれでな……」
一同「ハハハハハ(愛想笑い)」
私は他の三人のグラスの傾き加減に眼を配る。
「(社長のあのグラスの傾きは、おそらく四分の一くらいに減っているハズだ)、社長、焼酎お代わり入れます」
社長「おう」
私は焼酎の水割りを作りながら、愛想笑いを続ける。
「店員さーん。すいません。氷新しいのください。あと小皿と」
お好みが鉄板に乗せられる。
社長「イカ玉頼んだん? オレ、魚介嫌いやねんけど」
私「す、すみません(ほな『なんでもええ』言うな)」
私はグラスの傾きを気にしながら、お好みを切り分け、それぞれの皿に乗せる。社長の皿にイカ玉を乗せないように注意しながら。
部長が不機嫌そうに黙ってグラスを差し出す。(おそらく『なくなってんの気づけよ』のサイン)
私「あっ、すみません。気づきませんで。(もう、自分で作れよ。水割りくらい)」水割りを作って部長に渡す。
部長「きよさんさ、営業は目立ってナンボだから。もっと面白いこと言わないと」
私「(考え方、古~)はいっ、勉強になります!」キムチを取り分け、さらに水割りを作り続ける。
PM10:00
部長「明日も仕事ですし、今日はこの辺でお開きにします」
私「(やった! やっと帰れる)」会計に向かい、支払を済ませる。(経費で落ちる)
一同、外に出る。私はやっと解放された嬉しさで涙が出そうになる。しかし、社長が気持ちよさそうにまだ話している。悪いサインだ。
先輩「ちょっとちょっと、きよさん」私をツンツンする。
私「??? (まさか、『二軒目誘え』ってこと? いや、もうマジ無理。眠いし) それじゃあ、お疲れ様でした!」
私は一同から離れ、駆け足で駅に向かう。
次の日
私は出社するや否や、社長の席へ向かう。
私「おはようございます。昨日はお疲れ様でした」
社長「おはよう。おう……」
ん? なんか機嫌悪そうやな。
先輩「きよさん、ちょっとちょっと」
私は誰もいない部屋に連れていかれる。
先輩「昨日帰ったよね? 社長が二軒目に行きたがってたの気づかなかった?」
私「えっ、すみません。気づいてませんでした。(本当は気づいてたけど)」
先輩「別に強制はしないけどさ。私が若手のときは自分から誘ってたよ。そういうことできるか、できないかで社会人の質って決まってくるんだからさ」
私「わかりました。以後、気を付けます」
★★★
以上、会社の飲み会はこんな感じです。
若手は店の予約、注文、料理のとりわけ、水を注ぐ、お酒作り、周りのグラスの傾き加減を見ながら絶妙なタイミングでお酒を注ぐ、説教を受ける、箸にも棒にもかからない話に愛想笑いをする、古い考えを押し付けられる、「こんな素晴らしい意見聞いたことない」みたいなフリしてうなずく、次の日の朝に昨夜の失態で先輩からの叱責を受ける。
これらのことを次の若手が入社するまで、毎回行います。
ひと時も気を抜くことはできません。楽しい瞬間は0.1秒も存在しません。毎秒地獄です。
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誰が行きたがんねん、こんなモン。
働きたくないんです。