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江戸時代の忍者が考えていた国防と政治【敵忍者防衛論:万川集海第二帖発売中】

江戸時代の忍者が考えた、対忍者の防衛作戦から知る国防と政治

「敵忍者の術を防ぐには、厳重な国防と正しい政治について考えなければならない」

忍者は戦国〜江戸時代に活躍したスパイであり、潜入、情報収集、謀略のプロです。忍びの手口のプロが考えた、敵の忍術を防ぐための方法について書いていきます。

タイトルを見た方は「あれ?忍術を防ぐ方法?国防と政治じゃないの?」と疑問に思うでしょう。しかし、忍術を防ぐこと=国防と政治に繋がることになります。

忍者の活動は平和な時から始まり、開戦〜戦時中〜戦争終了まで常に行われます。平和な時は忍者が付け込む隙(国民の不満)のない国家作りを心がけ政治を行います。戦時中は軍隊が破られ国家が亡びないように、仲間の秘密を盗み出す敵忍者を警戒します。さらに平時と戦時を通して、敵忍者が行う謀略工作で国というワンチームが分裂しないように警戒をします。

では、ここからは更に具体的に忍者の防衛法について知っていきましょう。(以下本文は、図解忍術秘伝書 万川集海第二帖【防衛編】を元に、敵忍者から国を守る方法について書いていきます。)

『図解忍術秘伝書 万川集海 第二帖【防衛編】』
外敵から大切な国や人を守るためには、 戦争の兆しとなる敵忍者の侵入を阻止しなければならない。 忍術は人々の心の隙を上手につき忍び寄る技。心の隙とは、 国に対する不満、上司への不満、景気が悪い、生活が苦しい などの思い。そのため、国家・指導者は国民や仲間 が幸せで清く正しく過ごせるような環境作りが必要となる。 具体的な警備・警戒や忍計防衛はこれをベースに実施する。
                       ー 万川集海第二帖 表紙帯より

敵忍者の潜入を阻止するには、まずは正しい国家運営が大事

忍者は人の心の隙間に付け込み侵入してきます。心の隙間とは生活が苦しいや、悪い上司がいるなどの不満です。そのため忍者の侵入を阻止するには、国民が幸せに暮らせる国家運営が大事となります。

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万が一敵忍者が侵入してきた場合の対応策

それでも万が一、敵忍者が侵入したと思われたら、忍者は怪しい人物に近づき調査を行います。本当にそいつが敵忍者なのか?国家を揺るがす危険な芽かどうかを判断するため、3つの調査法を使います。

①聞き込み‥‥怪しい人物の関係者に聞き込み。
②酒の席‥‥怪しい人物にお酒を振る舞い自白させる。
③関係者を離す‥‥怪しい人物と関係がある人を離して住まわせて、行動をバレやすくする。

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敵忍者が侵入するのは平時だけじゃない。戦時中の注意点

忍者は平和な時から敵国に潜入し情報を収集します。さらに、戦時の際には敵軍内に潜入し情報収集や放火などの撹乱、武具や食糧の破壊や盗みを行います。

これからいざ戦うというとき、敵忍者に足を引っ張られないように、あげく戦に負け国を滅ぼされないように、軍隊を動かす上での敵忍者の対策が重要です。

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闇に潜む、人に潜む、敵忍者を防ぐ警戒のルール

忍者は情報収集から謀略まで、あらゆる任務達成のため、味方の兵士になりすまして潜り込んだり、商人に変装して堂々と話しかけてきたり、夜闇に紛れて姿を消して忍び込んだりして近づいてきます。

紛れ込んでくる敵忍者を防ぐには、合言葉などを使用して仲間であることを判別する。忍び込んでくる敵忍者を防ぐには出入り口の警備、隠れやすい場所の警備を厳重にし、発見した場合は罠にかけて生きて捕まえる。

敵忍者の潜入を阻止するには、厳重な警戒を行い忍者に忍び込みが難しいと思わせて、気持ちを挫くことがまず第一となります。

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忍者の仕掛ける様々な忍術謀略を防ぎ、国家を守り平和を守る

忍者の使う術、いわば忍びの手口は5種類に大別されます。「謀・佯・紛・隠・帰」これらの手法をタイミングや目的に応じて組み合わせ、使い分けることで忍者は人知れず目的を達成します。

敵忍者の術を防ぐには、5種類それぞれの特性を知ることで、術の効かない環境を作ることが大事です。例えば「謀」は謀略のことで、敵忍者は国民の不満の心に付け込んで術をかけてきます。これを防ぐには国民が幸せに暮らせる環境を作るのが第一です。

また、忍者はさらに先を見据え、敵忍者の術を防ぎさらに逆に利用して罠にかけて戦いを有利に進める工作を行います。「謀」でいえば、国民が誠実であるときに不満を持ったフリを部下の一部にさせて、敵の忍者を誘い込み偽情報を話し敵に信じさせるなどです。

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第2巻にしてなぜ防衛を語るのか?

図解万川集海は、原書「萬川集海」の記載順番を守って図解化しています。これは、原書作者である藤林保武が「忍術を順序正しく並べて編さんした」という言葉に則っての作業だからです。

<図解忍術秘伝書 万川集海 各帖内容>
・第一帖【序・正心編】
巻ノ一「序」、二「正心・第一」、三「正心・第二」、四「将知一 忍宝の事」、五「将知二 規約の編」
・第二帖【防衛編】
巻ノ六「将知三 不入大謀」、七「将知三 不入小謀」
・第三帖【陽忍編】
巻ノ八「陽忍上 遠入」、九「陽忍中 近入」、十「陽忍下 目利見分合見の編」
・以降第四帖と続く…

この意味を要約すれば、忍術で一番大事なのは忍者の心で、次に防御方法。諜報や謀略、忍び込みは二の次だということです。

このことから、忍術は敵国を攻め亡すものではなく、自国を守り平和を維持するためのものということがわかります。

萬川集海の序には「武術は悪党が人から財を奪うものではなく、正義が脅かされそうな危機が訪れたとき、正義を守り大事な人を守るためのもの」と書かれています。

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忍者の国を守る知恵から、今の暮らしを考える

第二帖の冒頭では、忍術書防衛編と言いながら国家運営のやり方、政治について語られています。

国を動かす政治家は正義を守り、万民を家族のように愛し、部下を慕い、善人は褒め、悪人は罰する。財源は節約し、自ら進んで教育を行い、有能な人材を揃え、あらゆる情報を国民に公表する。

これは、現代社会においても必要とされることで、江戸時代から未だ達成されていない目標でもあります。

今よりテクノロジーが劣った江戸時代だからこそ、邪魔な物が省かれ、物事がシンプルに考えられ本質が見える。人間の心の本質は今も昔も一緒で、昔の方がわかりやすかったと思う内容です。

敵忍者を防ぐことは正しい国家、幸せな暮らしに繋がります。本書(図解万川集海 第二帖)は単に江戸時代の忍者が考えた防衛法と思うだけでもいいですが、それだけでなく、現代社会や自分の暮らしにも通じる部分を探して考えてもらえるとより良いと思います。

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『図解忍術秘伝書 万川集海 第一帖【序・正心編】』
忍者は、周囲の空気を読んで世間一般に溶け込み(フリ)ながらも自己の判断を持ち、時には(世間一般とは違っても)義に従い運命を選択する。
忍びの者の基本思想は「和」であり、これを重んじ、忍術は和を大切にする上で生まれた「最小規模の最小戦力」で敵も味方も損失を小さくし、戦いを終わらせるための生存技術である。
                       ー 万川集海第一帖 表紙帯より





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