湯王に仕え夏を滅ぼした中国忍者「伊尹」忍者中国史③【忍者の技と知恵 #64】

忍術秘伝書『万川集海』によると忍術の起源は古代中国まで遡さかのぼるとされます。紀元前1600年、殷いんの国の湯王とうおうには伊尹いいんという忍者が仕えていたそうです。

伊尹は敵国の夏かの桀王けつおうを滅ぼすため夏の国に潜入、伊摯いしと名乗って住み、殷と夏の間を５回も行き来しながら間者（忍者）としての働きを行いました。

夏は中国最古の王朝で、桀王の時代には国の弱体化が進んでいました。伊尹は元は湯王の義父の奴隷でしたが、湯王が結婚する際に彼の料理人になり、料理人から時勢を分析して湯王を支える間者になりました。

『万川集海』では忍術の発祥を古代中国としていますが、話に登場する伊尹という間者は日本の忍者とは姿が少し違うようです。情報収集や工作活動が主任務で、その技を修行で身につける日本忍者とは違い、能力のある人間を見抜き忍者のように働かせるのが中国忍者・忍術なのかもしれません。忍術の起源は中国かもしれませんが、忍者の起源は日本オリジナルといえます。

【忍者の技と知恵】は毎週 月・水・金曜 朝8時ごろ更新！『図解 万川集海』を元に、忍者の技と知恵をお届けします。

図解忍術秘伝書 万川集海 第一帖: 序・正心編 （図解 万川集海）

万川集海とは
『万川集海（ばんせんしゅうかい／まんせんしゅうかい）』は伊賀甲賀49流派の忍びの術、古代中国や日本の謀略家・名将軍の技と知恵を結集し、悪しきものを捨て良いものを厳選し集大成した全21巻に及ぶ忍術秘伝書である。
万の川が集まり大海となるように、数多の術を結集したことから名付けられる。

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