「フローを組み立てる」パルクールで心地よく技を繋げるための思考
パルクールにおいて技を繋げて流れるように動くことを「フロー」と呼ぶ。トレイサーが最もパルクールをやっていると感じられるのはこのフローを行うときで、それはフローが組めるようになれば立派なトレイサーであることを示している。
上手なフローには、個々の技の基礎力が高いことがまずは重要だ。基礎力、つまり技自体に無駄がなく洗練された動きをどれだけしているのか?が、技を繋いで動いたときの軽やかさになる。
基本となるフローの組み方
基本となるフローの組み方には大きく3種類ある。
①動きながら組み立てる
②スポットを見て動きを考えて組み立てる
③何も考えず自然に動く
まず初心者は「①動いて組み立てる」がやりやすい。まず目の前のオブジェクトを跳んでみて、跳び終わったら次にできる動きを探す。動いて、止まって、考える。これを繰り返して一連のフローが組めたら今度はそれを繋げて練習する。反復練習して綺麗に流れるようになればフロー完成だ。
次に「②スポットを見て動きを考えて組み立てる」スポットの中に一つルートを想定して、自分のできる技を当てはめてフローを組んでみる。そしたら実際にやってみる。最初はゆっくり、徐々に早く、だがスピードより滑らかさが重要なのを忘れずに。反復練習して綺麗に流れればフロー完成だ。
ストックフロー
フロー組めるようになりたい。フローを組む練習をしたいという人は「ストックフロー」をとりあえず作ってみるといい。最初はパルクール動画を見て真似してもいい。
上手にフローが組める人は持ち技を持っているものだと思う。この持ち技というのは、技を2〜3つ繋いだ短く簡単なフローで、フローがうまい人ははこのショートフローのストックがいくつかある。このストックフローを複数繋げると簡単に素早くフローを組み立てられる。
ストックフローの利点はフローを組みやすくなるだけでなく、フロー中の進行方向を操作することができる。技単体では単純に真っ直ぐ進むだけになるが、2〜3つ技を繋げたショートフローにすることで後ろへ向きを変えたり、横に移動したり、跳び越えるだけなく潜ったりと動きに変化もつけられる。
手持ちのストックフローが増えると臨機応変に動きを変化させることができ、ショートフローに慣れると技を繋げる動きに無駄がなくなる。
ストックフローに飽きる
得意なショートフローをストックし、毎回使っているとなんだか単調な気がして飽きてくる。これはトレイサーとしていい傾向だ。ショートフローへの慣れは、新しいショートフローを考えるチャンスになる。
ショートフローに慣れるというのは、動作自体に慣れることであり、見た目の印象に慣れることでもある。動作の慣れは基礎力向上で、印象の慣れは新しいフローに繋げる隙を与えてくれる。
面白いフローを考える
一番簡単に思いつくフローは直線的なフローだと思う。直線上に並ぶオブジェクトを単純に跳ぶだけでクリアできる。横スクロールゲームのような印象だ。しかし街中にあるスポットはそんないい具合にオブジェクトが並んでいない。だからフローを考えるのが難しい。
空間は広く使ったほうがいろんなオブジェクトを使えて面白いが、オブジェクトとオブジェクトの間隔が広いと技が上手く繋がらず、動きが単調に見えて面白くない。だからトレイサーは合間にフリップを入れたりする。僕はフリップが得意じゃないのでフロアワークでごまかす印象を変えている。
前に進むだけがパルクールではない、横に移動したり、後ろに下がったり、方向転換すると動きのワンパターンさが消えて驚きを与える。動きに緩急をつけるのもいい。ヴォルトだけでなくプレシなど属性の違う技を組み合わせると面白くなる。要は同じような技ばかり使ったり、同じような方向ばかりに進んだりしないよう技を組めばいい。
フロー思考の基礎「インタラクション」
パルクールは周囲にある環境を利用して体を動かす。環境にインタラクションする。自分の体、パルクールの技を使うことで環境に新しいルートが出現する。環境にとってそれは新たな道で、トレイサーにとって新たなフローとなる。
トレイサーと環境は相互作用すると思う。この思考は重要で、トレイサーの思い込み(この環境ならこう動かなきゃ!)を解き、自由なフローの発想につなげる。
フロー思考の基礎「進行方向」
進行方向には空間的方向と身体的方向の2つがある。空間的方向は進みたい方向に対して体正面を向けて進むこと。身体的方向は体の向きは変えずに前後左右に進むことだ。
一人称視点で世界を見たとき、進行方向に体を向けて動くと視界(空間)が変わるから空間的方向。進行方向と体の向きを合わせずに動くと、視界は変わらず身体の位置が動くので身体的方向とした。
通常人は進行方向に体の正面を向けて移動するため、体正面でない方に動き出すとは思っていない。なので体の向きを変えず横や後ろに動く動作は驚きを与え面白く見える。また、体正面を進行方向へ向けるワンアクション準備動作が減るためよりフローになる。
フロー思考の基礎「身体で動く」
手を使って跳びこえる、脚を使って走るだけでなく、膝や肘、腕、お尻、胴などあらゆる部位を使って動けると面白さが増す。技を使うのではなく身体を使って動くのだ。
普通は使わない部位を使う動作は、中心軸の意識や重心のコントロール、バランス力を向上させ、通常動作の基礎力も上げる。
この発想は新しい動き、新しい技、新しいフローを作り出す。また、フロー中にミスが起きても技に囚われず柔軟に対応できる。
普通はヴォルトするところをカート(側転)で越える。普通は歩くところをロールで繋ぐなど、普通はこうだろうという動きを一捻りするとフローが新しくなる。
フローを考えるときの意識
フローは持ち前の技をいかにその場所に合わせるのかより、その場所でどんな技が使えそうか?どんな動きが可能なのか?を考えるのが重要だ。
持っている技を使おうと考えると、持ち技の数しかフローの組み合わせがないが、どんな動きができるか?を考えると場所に応じて無限の組み合わせが生まれる。
フローは柔軟に、自由に、無理なく自然に、楽しく組もう。
入間でパルクール教えてます👇
フローの参考までに👇
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