上手な嘘のつき方:忍術「蛍火の術」の心理戦【忍者の技と知恵 #351】
敵軍に頭のいい軍師がいるとき、忍者は敵軍師と自国が内通している偽の手紙を作って送り、軍師を陥れる謀略を仕掛けます。これを忍術では「蛍火の術」といいます。自国を裏切り、敵国に寝返った人がいれば、この人と味方が内通している偽手紙を持った敵忍者を敵城に送り込み、わざと捕まらせて内通している偽情報を流します。
敵国に寝返った裏切り者は、敵の視点ではもしかして忍者ではないか?…という拭いきれない疑いを常に背負っています。その疑心を利用し、偽手紙という物的証拠と、それを運ぶ忍者という協力者(証言者)の姿を敵に見せることで、忍者ではないか?という疑いを忍者だった!という嘘の真実にすり替えます。
忍者のような上手な嘘つきのポイントは、はなからわかる嘘をつかないことです。はっきりと嘘の話(偽情報)を伝えるのではなく、組み立てていくと偽情報にたどり着くようなピースを散りばめて、相手が自ら偽情報を手に入れるように仕向けます。それは推理マンガの中に犯人に近づくピースが散りばめられており、読者がピースを拾って犯人を予想する楽しみに近いかもしれません。人に言われた正解ではなく、自ら導き出した答えという分、本当だと思い込みたい気持ちも乗っかるのでタチが悪いです。
【忍者の技と知恵】は毎週 月・水・金曜 朝8時ごろ更新!『図解 万川集海』を元に、忍者の技と知恵をお届けします。
🥷忍者の思考と精神を身につけるべく、日々修行を行ってますので見届けてもらえると幸いです。あとお仕事のご依頼もお待ちしております🙇♂️。サポートは兵糧(ひょうろう)に使わせていただきます。 WEB:https://shinobi-design-project.com/home