体操とパルクール【技と操作の相違点】
先日体操の先生と練習する機会があったのだが、体操の技とパルクールの技では出力となる部分が大きく違うということに気づいた。
体操の技は競技場のバネ(タンブリングバーン)を利用するので、競技者自らの身体機能で飛ぶことはない。対してパルクールの技はフィールドが固い地面なので自らの身体機能で浮かせる。
技の結果(バク宙やバク転という姿)が同じでも、それを行うためのエネルギーの生成方法が明らかに違っていて勉強になった。
エアーマットの感覚
土曜日、僕は体操クラブにお邪魔してエアーマットで練習させてもらった。エアーマットは空気を入れて膨らませたマットだ。とりあえず前宙をしてみるが、いつもの意識で踏み込むと力が地面に抜けて浮かないで驚く。加えて跳ぶ瞬間に力が抜けることで地面の反発によって姿勢の確認をしていたのにそれができなくなって怖くなる。
エアーマットはトランポリンの様に使わないといけないようで、膝を伸ばして踏み込むことでマットの反発力を借りて宙に浮くことができる。膝を伸ばして踏み込むとマットの反力が腰に伝わり、姿勢の確認もできて体がしっかり浮いた。
体操・パルクールの技の相違点
パルクールのフリップでは、①膝を曲げて踏み込み、②姿勢を把握、③各関節の向きを調整、④跳ぶ。対して体操では①膝を伸ばして踏み込み、②姿勢を把握、③体の発射角度を調整、④飛ぶ。という違いが見られる。
飛んだ後の操作も厳密には違うが(競技場と屋外というフィールドの違いから、着地準備動作が変わる)大方一緒のようだ。
競技のコンセプトの違いが技を変えた
競技におけるコンセプトの違いが技に表れている。
ー体操は演技-
ーパルクールは心身の鍛錬-
体操は演技として美しく見せるため動きは機械のように洗練される(ときに身体を犠牲にする技があるほど)。対してパルクールはメンタルと技術の一致を求めるため、トレイサー個人の思想に沿って動きは自由に決まる。
競技場の違いもまた技を変える
体操の先生は競技場は「器」だと言っていた。選手は器の上で演技をする。タンブリングバーンのバネ、鉄棒のしなりを利用して体操選手は跳躍し演技をする。器と身体を一体として使うことで体操の技は完成される。
パルクールのフィールドは平面ではなく立体で、壁や障害物がスポットごとに形を変える。トレイサーはフィールドにあるオブジェクトを利用してその場に合わせた技を構成する。
体操ではフィールドを身体の一部とし、決まった技を能動的に行う。対してパルクールではフィールドに合わせて自分が実行可能な技を構成し受動的に行う。
パルクールと体操では、似て非なるものが多いがそれぞれの思想(コンセプト)に沿った姿があり学びが多い。
人を知り自分を知るということだろう。
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