正しい情報を手に入れ活用する方法。【忍者の情報収集・分析技術:後編】

戦国・江戸時代の情報収集のプロである忍者に学ぶ、情報収集と分析、活用について。

前編では情報収集のポイントと分析の考え方について書きましたが、後編では分析〜活用についてを説明していきます。

前編こちら『怪しい情報に騙されないで生き抜く方法。【忍者の情報収集・分析技術:前編】』↓

実力を知る比較分析のポイント「七計(主・将・天地・法令・兵衆・士卒・賞罰)」

七計は五事と同じく孫子に出てくる比較こポイントですが、こちらはアクションを起こしたとき、つまり戦争状態になったときに敵軍に勝てるかどうかを計るポイントです。

「主」総理大臣、経営者などトップに立つ人の能力、性格、思考、クセ、好き嫌いなど。

「将」指揮官(上司)、部下を実際的に支配してコントロールする人の能力、性格、思考、クセ、好き嫌いなど。

「天地」時間と空間で、人の意思では大きく変えることができない物事。天はアクションを起こすタイミング、季節、昼夜、天候など人の手でコントロールできない事象・条件。地はアクションを起こす場所、スタート地点、実際にアクションを起こす場所、ゴール地点、地形、自然、建物など。

「法令」法律、規則、ルールの正当性と厳守しているのか?

「兵衆」兵士、部下、実際にアクションを行い目的を達成させる実動集団の能力、性格、思考、クセなど。

「士卒」兵士、部下の個人の能力。教育、練度について

「賞罰」報酬、罰則の正当性と実施されているか?

情報収集から分析、活用する基本プロセス「インテリジェンスサイクル」

インテリジェンスとは雑にいえばスパイのこと。スパイが情報を収集して活用するワークフロー(サイクル)のことです。

忍者は戦国時代、江戸時代のスパイです。その情報収集プロセスはこのインテリジェンスサイクルとほとんど同じだと考えられます。

<インテリジェンスサイクル>
⓪目的
①クライアントからのオーダー
②情報調査
③解析(整理)
④情報分析
⑤生産(アウトプット)
⑥活用
⑦フィードバック

まず情報を集めるには、何のために集めるのか?という目的(インテリジェンスの場合は政策など)が定められていなければいけません。これが⓪番です。

次にこの目的を達成するのに必要な情報を収集せよと①クライアント(インテリジェンスなら政府関係者、忍者なら将軍や主君)からオーダーが来ます。オーダーは具体的かもしれないし、抽象的でこの目的達成に必要な方法を考えて調査しろと言われるかもしれません。

オーダーが来たら、②情報を収集します。インターネットで調べる。本で調べる。実際にその場に行くなど(インテリジェンスなら盗聴、無線傍受、衛星なども含まれる。忍者なら寺に保管されている人別帳の調査、城陣に忍び込み紛れ込みでの諜報)収集方法は沢山ありますが、その目的に合った方法で調査を行います。

調査の次は③解析です。収集した情報を分析しやすいように整理します。(インテリジェンスの場合は無線傍受に紛れたノイズ除去や、暗号文解読などが含まれる)

情報が整理されたら、これを目的達成のために使える情報にするため④分析します。収集した情報はinformationです。分析して、実際に使える情報であるintelligenceにしなければなりません。わかりやすくいえば、天気予報で紹介される今日の天気図はinformationです。これを読み取って、今日は午後から雨が降ると言うのがintelligenceです。

次に⑤生産です。生産は分析した情報をまとめる作業です。この生産によって、informationがintelligenceになります。収集した情報はこの天気図で、この情報からは午後に雨が降ると読み取れるから、傘を持って出かければ、濡れずに帰るという目的が達成できるということです。

そして生産した情報を⑥活用します。実際に作戦を行い目的を達成します。先の例でいえば、傘を持って家を出るということです。

最後に⑦フィードバックを行います。生産された情報(intelligence)を活用して作戦を行った結果、成功したか?失敗したか?何が良かったか?何が悪かったか?を考えて、次の行動に繋げます。

気軽に始める情報収集と分析「簡略インテリジェンスサイクル」

⓪目的
①調査
②分析・生産
③活用

通常のインテリジェンスサイクルは、規模が大きく(国家規模)フローが長いですが、個人が使うには上記の3プロセスで十分だと思います。

⓪目的を定めて、①それに必要な情報を集める(調査)。収集した情報を②分析して活用するための方法を考える。そして、③実際に活用して目的を達成するという流れです。

<例>
⓪隣国が攻めて来そうなので軍事力が知りたい。
①敵国に潜入し侍の人別帳を入手したり、将軍や君主の評判を聞いて回ったり、武器弾薬から兵糧の貯蔵量、生産量などを調査。
②敵の兵数や将軍の能力を鑑みて自軍とどちらが強いか分析。武器や兵糧の量から敵の戦争継続時間を分析。これらから敵国が攻めて来た場合、何ヶ月防衛仕切ればいいのか?また攻性に回った方が有利か?こちらの人的物的損害はどれくらいになるか?を考えて戦略を練る。
③敵国の貯蔵と生産力だと長くて遠征は3ヶ月。将軍の実戦経験は浅く、国民は主君に不満を持っている。兵士の士気は低く攻めて来ても防御は容易である。適度に強弱をつけて攻めて来た敵を防衛線に引き付けておき、敵の軍備が少なくなって来たタイミングで迂回させておいた別働隊を敵国出城にぶつけて奪取。続けて敵の兵站を攻撃して補給ルートを断つ。出城と防衛線で敵侵攻軍き狭撃を仕掛けて殲滅する。

ここでは、諜報活動の基本となる情報の収集、分析、活用の基本を説明しました。どれも当たり前で簡単な内容ですが、当たり前が一番大事で多くの人が忘れているポイントです。

基本に忠実が守れる人は高いクオリティのものを仕上げることができます。基本ばかり守って、奇抜なことが出来ないんじゃないか?と言う人もいるでしょうが、基本を守った上で、初めて基本を離れて奇法が使えるようになります。

型ができた人だからこそ型破りができるのであって、型ができていない人が奇抜なことをすると型無しになります。

基本を守り、情報収集・分析を実際に試してみてください。

🥷忍者の思考と精神を身につけるべく、日々修行を行ってますので見届けてもらえると幸いです。あとお仕事のご依頼もお待ちしております🙇‍♂️。サポートは兵糧(ひょうろう)に使わせていただきます。 WEB:https://shinobi-design-project.com/home