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bosyuのチーム機能を無料化した背景とプロダクトにおけるプライシングの考え方

bosyuには、チーム機能と呼ばれる複数人でbosyuを便利に利用するための機能が提供されています。これらはもともと月額5,000円(税別)で提供していた機能なのですが、先日のメッセージ機能のリリースに合わせる形でこっそり無料化されました。

今回のエントリでは、bosyuのチームプランを無料化した背景と共に、プロダクトにおけるプライシングの考え方を記します。

チーム機能が提供している価値

bosyuのチーム機能は、採用用途でbosyuを利用する際に、効率よく応募への対応していただくことを目的に設計されています。コアな提供価値は、通常であれば一人で全ての応募対応を行う必要があるところを、複数人で応募の対応が出来るようになるといった部分です。

これらを応募対応の効率化を目的にしたbosyuのチーム機能では、大きく4つの機能が提供されています。

・複数人で募集を管理することができる(複数人で応募の対応ができる)
・応募のステータス管理ができる
・職種ごとに募集/応募の管理 ができる
・応募に対してメモをつけられる

プロダクトの変化による提供価値の低下と無料化の判断

チーム機能では上述の様な価値を提供していたのですが、プロダクトの変化によって相対的な提供価値は徐々に低下していっていました。

例えば、「職種ごとの募集の管理」機能は、タグ機能で代替可能なものであったため、タグ機能のリリースによって実質的な提供価値が失われてしました。

さらには、前述のメッセージ機能は実質的な応募のステータス管理機能を備えているため、チーム機能の相対的な提供価値を引き下げていく形となりました。

とすると、複数人で応募を管理することができる機能といった基本機能のみがチーム機能のコア機能として残るだけであり、これだけで見るとユーザー視点ではあまり大きな価値がなく、大きな価値提供ができない状態での有料プランの継続は、ユーザー観点で考えた際には望ましくないとの判断にいたりました。

無料化の判断に至った後は可能な限り早いタイミングで対応すべきと考え、メッセージ機能のリリース前である11月中旬に、既存のチーム機能利用者のみに事前告知する形で無料化されました。

注)チーム機能をご利用されていたユーザー様においては、11月分の利用料金の支払いが最後の支払いとなっております。該当するユーザー様には個別でメール連絡させていただいております。

プロダクトにおけるプライシングの考え方

ここからはひとりのプロダクトに関わる人間として、プロダクトにおけるプライシングの考え方を記していきます。(bosyu社としての公式な見解ではなく、あくまでも個人の意見としてお受け取りください)

継続的な価値提供を行うためのプライシングを常に意識する
単純な利用者数を増やすだけであれば、ユーザーから見れば無料であるに越したことはありません。とはいえ、無料で何かを提供することは長期的に見れば歪みを生む行為です。もちろん、実際に利用するユーザーとお金を支払ってくれるユーザーが異なるビジネスモデルの場合などは問題ありません。とはいえ、利用者=お金を支払う人の場合、無料提供を撒き餌とする行為はビジネスの成長を阻害し、結果として継続的な価値提供ができない状態へとプロダクトの価値を低下させてしまいます。

また、無料の状態から有料化していくためには相応の「言い訳」を用意する必要があり、この言い訳をユーザーに理解してもらうためには多大な労力を必要とします。そのため、フリーミアムモデルがもてはやされ続ける現在においても有料での価値提供を中心に考え、無料での価値提供はあくまでも飛び道具に留めるべきだと考えています。

闇堕ちすれば稼ぐ方法は無数にあるが、それを選ぶことによる虚無感に作り手側の人間は耐えられない
古き時代のスマホ占いサイトなどの多くは、退会フローをいかに複雑にするかという点に心血を注ぎ、退会し辛くさせることによって売上を稼ぐというビジネスを成立させていました。

結果だけ見れば未だに多くの幽霊会員を保持しており、一定のビジネス的な成功は得られたのは事実です。とはいえ、何の価値も生み出さない行為に対しての作り手側からの反発は強く、虚無を抱えて退職していった知人を多く見てきました。

お金を生み出せることは大切ですが、継続的なプロダクトの発展のためには作り手の気持ちの継続も大切であり、それらを虚無にしてしまう施策は中長期的なプロダクトの成長には寄与しないと考えています。

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プロダクトのプライシングには、作り手側の思いが多く反映されています。bosyuの場合はユーザーに価値提供できない場合は料金をいただくべきではないとチームとして考えており、その思想をプライシングにも反映した形です。

プライシングを見て、ただ単に料金が安い・高いといったことだけを考えるのではなく、プロダクトの背景に流れる思想を読み取ると、一つ違った視点でプロダクトを考えるきっかけになるかもしれません。

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P.S. プロダクトの話くらいができるアカウントがこちらです。お気軽にお呼び出しください。


まいにちのご飯代として、よろしくお願いします。