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呼吸2. ~解糖系・ちょっと詳しめ~

こんにちは、狐です。

今日は解糖系を少しだけ突っ込んだ話です。

では図をどうぞ

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動画もよければどうぞ

https://youtu.be/l7HbfbN4J2c

【最初に】

動画の最後でちゃんと話をしますが、大学受験を控えた人は絶対に忘れてほしい部分があります。
高校生物の範囲をかなり逸脱した話になりますし、高校生物って実はウソついてるんだよって部分だからです。
ただ高校で習う内容は、文部科学省が高校範囲では正しいとするとしている内容です。
なので、最後にする話は大学受験が終わるまでは必ず忘れてください。

【解糖系・概要の復習】

解糖系の全体としては、1個のグルコースから2個のピルビン酸ができました。
さらに2個のATPを使って4個のATPができて2個のNADHができました。

ここで大事になってくるのは、全体の反応の6個目と7個目の反応でした。

【解糖系・大事な部分】

結論からいくと、反応6ではグリセルアルデヒド3-リン酸が1.3-ホスホグリセリン酸になります。
途中経過はぶっちゃけどうでもいいです。
ただ少し詳しめに話すと、グリセルアルデヒド―3リン酸が酸化します。
酸化するときに放出されるエネルギーを使って、酵素と一緒に入ってきたNAD+をNADHに、残りのエネルギーはここの高エネルギーチオエステル結合に蓄えられます。余ったエネルギーは熱に変換します。
この高エネルギーチオエステル結合が無機リン酸との結合に置き換えられて、高エネルギーリン酸結合になります。
これで反応6はおしまいです。

反応7ではここにできた高エネルギーリン酸結合のエネルギーを使って、ADPをATPに変えます。
するとここがカルボキシ基に変換します。

つまり反応6と7をまとめてみると、アルデヒドをカルボン酸に酸化してることになります。
ただ、普通に酸化するよりも丁寧に酸化しています。
丁寧に酸化してるから、途中でNADHを作ることができるんですよ。


反応6を触媒する酵素はグルセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼです。
水素が取れてるので、デヒドロです。
グリセルアルデヒド3-リン酸をデ、ヒドロする酵素なのでグルセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ。
単純なので覚えやすいです。

反応7を触媒する酵素はホスホグリセリン酸キナーゼです。
キナーゼはリン酸化酵素の総称でした。
これ発見された時の関係で、ホスホグリセリン酸がリン酸化されてるって解釈されたんで、ホスホグリセリン酸キナーゼって名前が付けられました。
全体の反応の方向としてはこっちに行くので、逆に見た命名やん!って思いますが、まぁしょうがないです。
1.3-ビスホスホグリセリン酸ホスファターゼっていう長々しい名前じゃなくてよかったと思いましょう。

【補足】

さて、ここから補足の話に入ります。
まずNADHに関してですが、これはNADH+H+と同じ意味です。
略して書いてるだけです。
で、ここが皆さん混乱しやすいとこだと思いますが、NADHもNADH+H+も一分子あたり水素を2つ運んでます。なので電子も2つ運んでます。
NADHの化学式を見ると水素が1つしか付加してないようにも見えますが、ニコチン酸アミドのN+が電子によって還元されるので、結果的に水素を2つ運んでるのと同じ状態になります。
ゴリゴリ化学の話なので、とりあえずこいつらは水素2つ運んでるんだなって思ってもらえれば大丈夫です。

補足2つ目の話です。
好気的解糖と嫌気的解糖に関してですけど、これは好気呼吸や嫌気呼吸と同様、酸素を使うか使わないかの違いです。
解糖系で発生するNADHは酸素条件下では電子伝達系に送られてNAD+に戻るよって話を前したと思います。
なので通常の解糖系は好気性解糖と呼ばれるものです。
ただ無酸素環境下では、このピルビン酸を乳酸に変えてNADHをNAD+に戻すって話もしたと思います。これは完全に酸素を使ってないので、嫌気性解糖と呼ばれます。いわゆる発酵ですね。

次に最後補足ですが、大学受験を控えてる方は絶対に忘れてください。
高校生物の範囲では、酸素を使わない呼吸を嫌気呼吸と言って、その代表は発酵だって習うんですね。
ただこれ正しくは違うんですよ。
嫌気呼吸は、電子の最終受容体が酸素以外を使う呼吸法のことです。つまり電子伝達系を使うんです。好気呼吸では電子伝達系で酸素を使いますが、嫌気呼吸では電子の最終受容体が硝酸塩とか硫酸塩だってだけの違いです。
対して発酵は全て細胞質基質で簡潔します。

つまり、嫌気呼吸は酸素を使わないけど、電子伝達系は使います。対して発酵は酸素も電子伝達系も使いません。
なので嫌気呼吸と発酵は全くの別物です。嫌気呼吸の代表が発酵というのは、実はよくわからないことを高校生物では言っています。
ただ高校生物の範囲では嫌気呼吸の代表は発酵ってことにしてるので、大学受験が終わるまではそういう風にしておいてください。

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