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【短編小説】涙の日

ぼろぼろ
ほろり
はらはら
ぽろ

ぼろぼろと零れ落ちる涙は
美しいとはとても形容できない

だってこれは自分のためのものだから
しんどい心を浄化するために
わざとかなしい物語を読んで涙を誘発する
邪な気持ちで誘引した涙でも、浄化の効果は多少なりとあるらしい

心の澱を
辛い気持ちを
どうにもならない日々へのやるせなさを
はらはらと零れ落ちる涙に乗せて押し流す

現状が変わる訳でもない
やるせなさが消えるはずもない
置かれた環境が変わる事もなく

それでも

涙を流す事で
確かに心は晴れていく

かなしい気持ちを認めてあげることで
整理が付くのかもしれない

まだ次の一歩を踏み出すには辛いけれど
それでも、ぼろぼろと零れ落ちる涙のおかげで
確かに癒された心と冷静になった頭

無理矢理にでも泣いた方が良いというのは本当なんだな、なんて乾いた笑いを添えて
また捨てられない日常へと帰っていく

溢した涙を無駄にしないために
前よりも、ほんの少しだけ力を抜いて


 本日は「涙の日」だそうです。日本記念日協会様より。

 本来はドライアイに気を付けようらしいんですが、まぁキーワードとしてお借りするということで、涙で書きました。
 泣くことの自浄作用はバカにできないですよね。心にたまっていたごちゃごちゃとした感情がスッとおさまって、すっきりして、しょうがないなって次へ向かう一歩をくれる気がしています。
 どうしようもなくしんどい時に、必ずと言っていいほど悲しいお話を読み涙を流してリセットする私です。曲を聞くこともありますが、悲しい曲というと大抵がラブソングの悲恋ものだったりするので、好きではあるんですけど、今じゃないとかまぁいろいろと…でもそんな曲をチョイスする日もありますね。要はいくつか泣くための手段を持っていて、ここぞという日にお世話になるのです。そうすると、余計な事を考えていた頭がすっきりして、気持ちの整理がつきやすい、気がしています。
 どうしても辛い、しんどい、悲しい時には、ためらわず涙を流す事をおすすめします。

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