吃音を深める会について

皆さま、こんにちは。吃音を深める会主催者のぽんと申します。
この度「吃音を深める会」の専用アカウントを作成しました。

以前は個人アカウントで、会の告知や振り返りを共有させていただいていたのですが、私個人の記事と混ざって、やや見にくかったかなと思ったので、新しくアカウントを作りました。

こちらのアカウントでの初投稿ということで、会のコンセプトや展望について、再度、共有させていただきます。

会の目的

この会の大きな目的は、大きく分けると次の2つです。

1 吃音に関する語り合いを通じて、マイノリティ(少数派/社会的弱者)と社会についての理解を深めること。

2 マイノリティという視点を吃音界隈に取り込んでいくことで、吃音界隈の視野を広げることを目指す。

なぜ吃音を深めるのか

まず、なぜ吃音をテーマにするのかと言いますと、シンプルに私が吃音だからです。でもこれって大事なことだと思っていて、自分が最も当事者性を感じている事柄について考えることが、人間や世界に対する深い理解に最も繋がりやすいのではないかと僕は考えています。なぜなら、当事者性が濃いということは、体験から人や社会との関わりを想像しやすいということだからです。例えば、経験していない戦争のことを深めようとする場合、知識や伝聞情報に頼らなければならない上、体験談がないため、「どこか遠い世界のお話」に陥りやすい(これはこれで大事な議論ではありますが、こういう議論は僕にはまとめられないです笑)のかなと思います。私の場合、吃音なら、自分の経験を語るだけでも重要な情報となりますし、まして参加者が複数名いれば、それぞれの経験を語り合うことで、深い対話をすることができるのではないかと期待しています。
あと、シンプルに自分にとって救いになる、というのも大きいです。自分が悩んでいることについて考えることで気持ちが整理され、苦しみが少しでも軽くなることもあると思います。また、これは私だけかも分かりませんが、深掘りして考えるのって凄く楽しいんですよね。私にとって吃音というのは過去には苦しいものでしかありませんでしたが、大学で研究していたときは、吃音について考えるのってこんなに面白かったのかと驚いたものでした。まあこれを楽しいと感じるかは個人差だとは思いますので、楽しいと感じる方に参加していただけたらなと思います。
また、2つ目の目的(吃音界隈の視野を広げる)については、これまで私自身が実際に自助会に参加して思ったこととして、時間が経つと吃音について深めきる前に語り飽きてしまう当事者の方が多いのかな、という実感がありました。その原因としては、直接的に吃音で苦しんできた経験ばかりが話し合われ、その背景となる社会や環境の話があまり出てこないからなのかなと思いました。そのため、背景の部分に目を向けた語り合いをすることで、今まで見えてこなかった吃音の姿を見つけ出し、より深いところで人や社会と向き合えるような自助のあり方を見つけていきたいと考えています。

どういう会を目指すか

1 ''閉じた''会にする

今回の企画は、あえて「吃音」という一つのマイノリティ性に絞り、それについて深めていく会としています。そういう意味では、''閉じた会''であると言えます。そして、この会は、なるべく''閉じている''ことを重視して行いたいと思っています。どういうことかと言いますと、なるべく人数を絞り、なるべく同じメンバーで行いたいなと思っています。
なぜ、''閉じる''のか。それは、''閉じる''ことで、参加者間での対話が深まると考えているからです。お互いのことがよく分からないうちは、どうしても表層的な部分で話が終わってしまいがちですが、よく知った者同士なら、ある程度突っ込んだ話もしやすくなるのかなと思います。なので、会員制とまではいきませんが、極力同じメンバーでできるように声かけをしていきたいです。
ただ、メンバーについては、吃音者に絞らなくてもいいのかなと考えています。吃音がない人との比較もしてみたいので、吃音あるいはマイノリティに興味がある方なら誰でも結構です。


2 吃音を通じて''何か''を考えるのではなく、''何か''を通じて吃音を考える。

多くの自助団体で、吃音を通じて家族や恋愛、就職について考える、という取り組みがされていると思いますが、この会ではむしろその逆に挑戦してみたいと思います。つまり、家族や恋愛、就職というものを考えることを通じて、最後に吃音と結びつける、という取り組みです。
吃音を入口にした語り合いも、それはそれで大事ではありますが、あえて違ったところを入口にすることで、吃音に対する見え方も変わってくるのではないかと思います。一見吃音と関係のないように思っていたことが、案外関係していた、みたいな発見があるかもしれません。
とはいえ、これってかなり難しいのではないかと思いますので、各回、こちらで参考図書を紹介するようにします。(参加者の方から紹介していただいても構いません。)難易度的にはあまり難しすぎないようにはしたいと思っています。高度な哲学的議論がしたい、というよりは、身近なところから視野を広げていきたいと思っています。位置付けとしては、学習会の要素も含んだ当事者研究会という感じにしていけたらなと思います。

3 語り合った内容を公開する

会自体は閉じたものを意識しますが、そこで出た語り合いの内容については、個人が特定されない範囲で整理し、当ブログで公開したいと思います。
これは、会の中で出てきた新たな視点を、いろんな人と共有したいからです。吃音という問題の根深さと幅広さについては、多くの人に開かれたものにしていきたいと思っています。この会で得られた視点をもとに、またいろんな語りが引き出されることを、僕は期待しています。


テーマの案

今考えているテーマは以下の通りです。

・家族と吃音
・学校と吃音
・労働と吃音
・恋愛と吃音
・ジェンダーと吃音
・障害者差別と吃音
・身体と吃音
・当事者団体と吃音
・吃音との向き合い方
・社会変革と吃音

他に意見があればどんどんお願いします。

主催者について

私がどういう人間か、についても簡単に説明させていただきます。
物心ついた頃には吃音があり、そこから20年以上、ずっと症状が残り続けています。吃音に苦しむ中で、人との関わり方そのものについても悩むようになり、どこか孤独感を感じながら学生時代を送ってきました。大学院に入り、社会学や哲学を通じて、マイノリティについて考えるようになり、吃音というものも、社会的に不利な位置に“立たされている”一つのマイノリティ性であることに気付きました。そこから、マイノリティ同士の連帯というものに関心が湧き、自助会や当事者研究会に参加するようになりました。現在は、自分にとって、仲間と呼べるような人たちと出会う中で、少しずつ、自分を取り戻していっているような感覚です。
現在では吃音を深める会の他、ユニバーサル哲学カフェ(https://yunitetsu.hatenablog.com/)や名前のないつどい(https://note.com/namehamadanyai)といった会も、仲間と一緒に開いています。

最後に

楽しい会になるよう、頑張ります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?