属性に当てはめることで、本当の私をみてもらえないことが怖くて
妊娠初期、夫に不満をぶちまけた。
内容は些細なこと。
「家事を手伝ってくれない」
「部屋を片付けて」
夫はわかった、協力する。
といった上で最後にこういった。
「妊娠中はホルモンバランスの影響もあるだろうから、どんな理不尽な要求でも叶えたいと思ってる。だから何でも言ってほしい」
私の返答は
「マタニティブルーで片付けないで。
問題の本質をすり替えるのはやめてほしい」
夫はその意図はない発言で
なんでも協力したい、
ということを言いたかったのだ。
どうやら私は
「属性」のせいにして、
自分を知ることを諦められるのが
とてつもなく嫌なようだ。
●属性にあてはめるとは
カテゴリー分けするということ。
「女」だから
「男」だから
「子ども」だから
「障害者」だから
「独身」だから
「新婚」だから
「妊婦」だから
冒頭のエピソードだと
「妊娠中」(マタニティブルー)だから。
相手の発言が
自分の想像を超えた時、
このようにカテゴリー分けして
その人を属性に当てはめて
自分が納得できる理由を
みつけてしまう。
それは同時に
相手を知ることを諦めてしまうこと
になるのだ。
例えば
女性の上司に怒られた時
「なんか機嫌悪かったよね、
生理でイライラしてるんじゃない?」
と同僚に愚痴をこぼして
しまったことはないだろうか。
新入社員が遅刻した時
「ゆとり世代だからね。どうせ寝坊でしょ」
と理由も聞かずに
決め付けたことはないだろうか。
この「生理」「ゆとり世代」が
「属性」に当てはめる、という行為なのだ。
●属性に当てはめても何も解決しない
相手を属性に当てはめても
問題は何も解決していない。
むしろデメリットの方が
多いように思う。
先述であげた女性上司の例は
自分へのフィードバックを逃しているし
新入社員の例は
相手の異変に気付く機会を逃している。
私は高校生の時、
遅刻をした。
普段からよく遅刻をしていたので、
その日も教室に入った瞬間
「寝坊?」と先生に聞かれた。
私は「はい」と答えた。
真実は違う。
通学中の電車で痴漢され、
精神的につらく電車を降りた後
ホームのベンチにしばらく座っていたのだ。
高校生にとって
「痴漢された」と先生に話すことは
ハードルの高いこと。
その上私は、
最初に「寝坊?」と聞かれたので
痴漢について話すことをやめた。
教室に入るまでは、
学校についたら先生に話そうと思っていたのに。
それを心のお守りにして
ホームのベンチから立ち上がり、
学校に向かったのに。
これは
「普段から寝坊しているあなたの行いが悪いでしょ」という話とは全く別の問題だ。
どんな相手でもまず理由を聞くことは
支援者としてもいつも心がけていることである。
「女ってよくわからない」
「男って何もわかってない」
「若者の思考はよくわからない」
「おじさんってよくわかわからない」
「障害者の考えていることはよくわからない」
そもそも
他人のことはわからないのに。
●私が属性のせいにしてしまう時
とかく私も、
相手を属性のせいにしてしまうことがある。
夫はこだわりが強い。職業はデザイナー
棚をひとつ買うのに
3ヶ月かかる。
ドライヤーひとつ買うのに
10個の候補をだす。
私は、とにかく
早く購入したいので
毎回イライラする。
特に引越しの時は大変だ。
遅い。早くして。棚がないと不便。
なんでそんなにこだわるの...
この会話を何度しても
一向に棚は決まらない。
そして私のイライラも
一日中おさまらない。
そんな自分をなだめるために
「デザイナー」だから、こだわるのも仕方ない。
と、属性に当てはめることで
自分のイライラする気持ちを
一時的におさめている。
これは
自分自身につかうこともある。
朝なかなかベッドがら出られず、
遅刻しかけた日は
「生理」だから仕方ない。
こんなお腹が痛い日に、
遅刻しない時間に家をでただけでも偉いんだ。
と自分を正当化している。
ただこの時、
私が気をつけていることがある。
①「本当に属性のせいだったか」を振り返る
②「自分を納得させるためだけ」に使う
ということだ。
①「本当に属性のせいだったか」を振り返る
理由は、
相手や問題の本質を見逃してしまうからだ。
例えば採用面接をしている時、
「高学歴」だから
「大学生」だから
「主婦」だから
様々な属性に当てはめ、
先入観をもってしまいがち。
そうすると、
その相手の本質を見抜けない。
相手を知る機会を
自ら奪っているのだ。
もちろん、「勘」が当たることもある。
なんか発言が全部 嘘くさいんだよな....とか。
だから私は、面接の後
なぜ自分がそういった印象を受けたのか。
を自問自答する
例えば
「大学生」だから顧客対応が不安だな。
という印象について
自問自答していくうちに
面接中「うんうん」と
相づちを打っていたり
話す時に髪を触って、
目線があわないこと
が「顧客対応が不安だ」という印象を
残したのだと気づいた。
「大学生」だから、ではなかった。
この日から私は
「大学生は、顧客対応が不安」
ではなく
「相づち」「話す時の目線や態度」
を注視するようになった。
②「自分を納得させるためだけ」に使う
自分が属性のせいにされることが
嫌だからだ。
そもそも相手を
属性に当てはめる行為が
よくないことだと思っているが
一方で
自分のストレスコントロール対策としては
有効かつ即効性があったりする。
やむを得なく使ってしまう時は
相手に伝えず自分を納得させるためだけに
心の中でいうことを心がけている。
●「不妊治療」の
属性に当てはめられること
ここまで書いて、私は気づいた。
私が不妊治療を
公表できなかった理由は
「不妊治療」をしているという
「属性」に当てはめられることで、
相手に本当の私を
みてもらえないことが怖かったからだ。
「不妊治療」をしているから
イライラしてる
「不妊治療」で忙しいから
仕事が疎かになっている
「不妊治療」で大変だから
大きな仕事を頼みにくい
そう思われることが怖くて
特に職場では
不妊治療を公表できなかったのだろう。
職場で公表するまでの葛藤については
次回の記事のテーマにしよう。
Next「不妊治療を職場で打ち明けるまで」
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