
味変でワンランク上がる“ズルい”すき焼き
日本の国民食、すき焼き。
でも8ヶ月前まで、好きではありませんでした。
わたしは鳥羽周作率いるsioのすき焼きレストラン『㐂つね』で女将をしている高橋です。初の投稿は、㐂つね式!美味しいすき焼きの食べ方しかないと思い、noteに綴ります。
ハレの日の定番をもっと美味しく
弊社代表の鳥羽も、鹿猿狐ビルヂングを運営している中川政七商店さまの代表 中川さんのご実家でも、ハレの日にはすき焼きを食べることが多かったそうですが、皆さまはいかがでしょうか?
わたし自身も子供の頃を思い返すと、お正月などハレの日は‟すき焼き”が定番の家庭でしたが、冒頭でお伝えしたようについ最近まで、すき焼きが嫌いでした。
そう、奈良に来るまでは‥。
わたしが奈良に引っ越してきたのは今年の3月です。
そして㐂つねのすき焼きに出会い、今まで抱いていたすき焼きに対する概念が覆ったし、もっとたくさんの人に食べてもらいたいと180度気持ちが変わった瞬間でした。
3回の味変で楽しむ㐂つねのすき焼き
一人分の材料の目安はこちら。
・ 肉 ・・・3枚(1枚50グラム程度)
・野 菜 ・・・絹揚げ、えのき、しいたけ、にんじん、たまねぎetc
※季節のお野菜7種類程度
・大根おろし・・30g
調味料
・鮎魚醤 ・・約2ml
・バルセート・・約4〜5ml
・割 下 ・・・お醤油50ml、米飴50g、お砂糖50g、水125gを火にかけて溶かす
・さし水 ・・・適量
㐂つねのすき焼きは鉄鍋を使い、お肉3枚、あいだにお野菜を2回挟みながら、最後までスタッフがお客様の目の前で調理をしています。
鉄鍋をしっかりと予熱して、牛脂をまんべんなく引いたらスタート。
1回目はスタンダードに!
まずはお肉から焼いていきましょう。
鍋一面にお肉を広げたら、上からサッと割り下をひとまわしします。画像のようにブクブクと泡が立つくらいの温度がベストです。
すき焼きは五感を刺激してくれるお料理! お肉が焼けていく音や割り下の甘じょっぱいかおりなど、食欲がそそられるポイントも楽しみのひとつ。
割下は和歌山県堀河屋野村さんの三ツ星醤油と、㐂つねと同じ‟ならまち”にある砂糖傳増尾商店さんの米飴で作っていて優しい甘じょっぱさが特徴です。
米飴にはみりんが入っていてコクも出るため、お酒を入れなくても大丈夫だし、お肉本来の味や香りを損なわないように計算された割下なんです!
ちなみに砂糖傳さんでは壺に入った米飴も販売しているので、奈良土産にもおすすめです。
まずは溶いた生卵で、シンプルにお肉の旨みを味わってください。
㐂つねでは赤身とサシのバランスがよく、甘みのある奈良県の大和牛と熊本県天草市の黒毛和牛の2種類をご用意しています。
一枚目のお肉を食べ終えたら、野菜の中でもすぐに焼ける絹揚げとえのきを入れてもう一度、割り下をサッとひとまわししていきます。
この二つの食材は、今では㐂つねのすき焼きになくてはならない食材となりました。
㐂つねでお出ししている山崎商店さんの絹揚げは、奈良県産の大豆100%で作られていて、濃厚な豆の味わいとなめらかな食感が口の中に広がります。
小さなお子様からご高齢の方まで年齢問わずご好評で、購入先を聞かれることもしばしば。
高知県の極みえのきはシャキシャキと歯ごたえがよく、きのこが苦手な方でも「これは食べられます!」とか「美味しい!」というお声をいただくほどです。
絹揚げは割り下の色がついてきたら上げ時ですし、極みえのきはサッと火が通るくらいが食べ頃です。火を入れすぎると絹上げは崩れてくるのでご注意を。
また絹揚げとえのきを焼いている時に、おさえておきたい重要なポイントがひとつ!
それは2回戦目でお出しする野菜も一緒に焼いておくこと。玉ねぎ、しいたけ、にんじんなどの野菜は、割り下とお肉の旨味がしっかりと染み込むくらい丁寧に焼くと間違いなく美味しく仕上がりますよ。
2回目はすき焼きの立役者、極上七味で味変!
2回戦目は、生卵に七味をかけてお肉と野菜を食べていきます。
この七味は大阪のやまつ辻田さんからお取り寄せしている極上七味。しかも㐂つねオリジナルの配合で作られていて、奈良県産の鷹の爪をはじめ、実生の柚子、山椒、青のりなど風味豊かな7つの香辛料が合わさり、すき焼きの味わいをより奥深くアップグレードさせてくれます。
割下は食べ進めるにつれて、少しずつ濃くしていきます。1回戦目より割下を濃くからめたお肉と七味のコンビはご飯との相性も抜群で、日本の御馳走という名に相応しい美味しさです。
素材の味を引き立ててくれる極上七味は、お肉だけじゃなくシンプルな野菜とも相性がよく、一度食べるとヤミツキになること間違いありません。
㐂つねオリジナルブレンドの極上七味は店頭販売もしていますが、販売数を限定するほどの人気商品。はいばらの千代紙を使用した可愛い七味缶もご用意しているので、奈良土産ならぬ、㐂つね土産としてセットでどうぞ。
ラストは卵黄と大根おろしでさっぱりと。
㐂つねのすき焼きが、最後まで美味しく食べられる秘訣は最後の卵にも隠されています。
卵黄と一緒に入れている大根おろしは、バルセートと鮎魚醤で味付けしています。
割り下が一番よく絡まっているお肉を最後の一口まで心地よく食べられるのは、まさにこの味付けのおかげ。大根を鬼おろしで粗くおろしているので、食感も後味も爽やかです。
子供の頃から単調な味付けで嫌いだったすき焼きが、ちょっとした味つけの変化で最後まで美味しく食べられるようになり、わたし自身が㐂つねから食の幸せを受け取りました。
この感動体験を生みだすから、㐂つねはすき焼き屋ではなく、すき焼きレストランなんです。
美味しいと感じるポイントは人それぞれですが、どこに美味しさを感じてもそれを超えた感動体験を人それぞれに、今度は私がたくさんの人へ伝えていく番になりました。
「明治時代の文明開化からほぼ変わっていないすき焼きが、いま㐂つねというフィルターを通して進化し続けていることを、たくさんの人に体験して欲しい!」
そう思いながら日々焼いています。
そして100年後、
『奈良にすき焼きあり』という新しい名言とともに、奈良の食文化が塗り替えられることを期待して、今日もわたしは奈良から㐂つねのすき焼きで幸せの分母を増やして参ります。
㐂つね
奈良県奈良市元林院22 鹿猿狐ビルヂング1階
0742‐27‐5023
予約サイトはこちらから
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