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進化のダイナミクスを考える愉しさ!

「何の話しします???」

「進化ダイナミクスの話しようかな???」

「進化ってあの進化???」

「そうあの進化!」

「こないだも話しましたよね!」

「ウイルスの話な!」

「もう少し、ダイナミクスの観点から、してみたい。」

「人間の一生の時間のオーダーだと、自然環境などは定常的だし、人間自体も親から子、そして、孫、くらいだと、そんなにダイナミックに変わらないだろ???」

「ええ、定常的なある種の平衡状態な気がしますよね!」

「しかし、こないだ見たように、特に、新型コロナウイルスは、頻繁に変異が起きて、しばらくは新たなVOCが定常状態に見えるけど、ワクチン接種などにより(ウイルスにとっての)環境も変わる。すると、その進化圧に耐えて、生き残りやすいやつが、たまたまできると、それが新たなVOI, そして、VOCとして、認識されていくよね!」

「ある程度長時間の系をエイやっと粗視化して、ある種の平均だけ見てやると、その変動の軌跡は、ある種の放物型非線形偏微分方程式になったりする。」

「ヒトなどの複雑な生命体はヒトの一生程度の時間スケールからみて、めちゃくちゃ長い時間かかりますよね!」

「ウイルスは、そんなに掛からない。SARS_CoV_2(新型コロナウイルス)では、この3年ほどの間に、もう、元のワイルドタイプから見て、6、7個ぐらい有名なやつでも出てるだろ?」

「はい、確か、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、あ、ガンマ、デルタってやつあたりは、結構、怖かった。で、今、オミクロンで、その後、それからのVOI, VOCが取って変わるかという勢い!」

「そうそう、そういう移り変わりの軌跡を進化ダイナミクスっていうんだよ。」

「はあ、一個一個見るんですか?」

「そういうのが有効だったり、必要な系もあるかもしれないが、ウイルスのような自分の意志を持たないで、かつ、大量にあるヤツらについては、分布の変異の軌跡をみて、その上で、分布の平均値や分散といった統計量がある程度”信頼”できるような系なら、エイやっと平均値(期待値)の変動の軌跡を見るだけでも、かなり良い近似になる。」

「そういうのはどうするんですか?」

「昔からの手法では、集団遺伝学というのを使って変異の軌跡を追いかける方法があるんだよね!」

「それは、例の京大の木村資生先生などが、もう、半世紀以上も前に随分と調べられたのでは?」

「木村資生先生、宮田隆先生、そして、巌佐庸先生、などの流れがあって、京大出身の方々が多いけど、進化ダイナミクスを考えるってことが重要なことが様々に理解されてきた!」

「ふう〜〜〜ん、しかし、ウイルスの頻繁な移り変わりを見ていると、平衡状態から、離れたところにある何かトランジェントな状態のうち、適応度の相対的に高いやつがフヨフヨ生き残っているんですよね!」

「その上、ワクチン打つとか、宿主が行動変容を起こす、つまり、危ない時期だなと思うと、あんまり外出しなくなるとか、マスクして、他人に移さないようにするとか、ね!」

「環境自体が、変動する変数みたいなものですね!」

「その中でも、やはり、生き残る奴もいれば、絶滅するのもいる!」

「それと、感染した時の”重症度”というようなものは、関連しているんですか?」

「イントリンシックな関連とエクストリンシックな関連があるよね!」

「エボラ出血熱のように、かかると短時日で死にいたるようなやつは、例えば、娘がかかったら、母親は看病するかもしれないけれど、ほかの人はそこに一切近寄らなくなって、で、2人がお亡くなりになったら、すぐに焼いて埋めたりして、他には映らないから、際生産数が小さくなる。」

「それは外的要因による行動変容などが原因の再生産数の変化ですよね。」

「エクストリンシックと呼んだのはそれだな!」

「一方で、SARS_CoV_2 のようなやつでは、ヒトの免疫機構をすり抜けて感染、発病させていくような機能自体が、ワクチンを射つなどの環境変化に、内的に対応して、変異していくだろ?」

「あーなるほど、そんなのは、一般には、病気の軽重とは独立な方が普通ですよね!」

「なので、SARS_CoV_2 みたいな、感染しても軽症だったり、無症状だったりするやつってのは、変異の繰り返しで症状がどうなるかは、ランダムに変化しても、不思議はないわけだ!w」

「今のオミクロンは、たまたま、症状が軽そうだけど、次にくるやつがもっと軽くなるって結論は導けないってことですね!」

「その通り。そもそも関係ないってことだな。」

「遺伝子レベルの変異自体は、ランダムですよね!そこに、環境変容などからかかる進化圧に耐えたもが、ポジティブに生き残るだけなのですね!」

「だから、この新型コロナウイルスは、オミクロンで終わったみたいになってるけど、今一度、用心はした方が良い。」

「いつヤッバい変異がくるかは、全く予測できませんよね!」

「マスクは、個人の判断ということだけど、頻繁に外出したり、人と会うような仕事の方々は、嫌でなければ、なるべくヒトの多いところでは、不織布マスクした方がいいね!」

「それは、自分が感染しないってよりは、自分から移さないためですよね!」

「不織布マスクの特性を、プロが調べたページなどは、いくらでもあるので、見てみて欲しいね!」

「確か、自分から人に移す確率は、結構、低くなるんですよね!」

「そうそう!だから、ぜひ、考えていただきたい!例えば、」



「スシローのお醤油差しを”チューチュー”吸うとか、言語道断ですね!w」


「それは、違う意味でも、ダメ!w」

「絶対!!」

「ま、今回はそういうお話ってことでね!」

「なんとなく重複も多いけど、大事なことなので、繰り返しました!w」

「うむ、科学的に正しいことがわかってるときには、なるべくそれに従った方が良い!」

「そうでない政治判断があるんなら、説明責任が伴いますよね!」

「特に、責任ある立場の政治家の方、首相など、は、心して判断されたい!!」


Remark:


⒈   巷では、「ワクチンが、ウイルスの凶悪な変異を産んでいる」というようなニュースとも言えないニュースがあるわけですが、進化生態からは間違った見解です。なんて言いますか、因果関係が逆と言いますか?変異は常にあるわけで、例えばですが、ある環境では、ガンマ株が適応していて、広範に広がっていたわけです。例えばね。しかし、他の変異株の”タネ”みたいなものは常に、生まれては、消えていたと思われます。その時の環境で、一番、適応していたのがガンマだったからです。

しかし、それに対応したワクチンなり、治療薬ができて、それがかなり広く行き渡ると、ウイルスから見れば、生存環境が変化したわけで、今まで、ガンマに負けて消えていたやつのうち、ワクチンが広まったという環境の元で、たまたまそれをすり抜けることができるやつがいて、それは、元の環境では、ガンマに負けていたけど、変化した環境では勝ちまして、VOCとなって、さらに、デルタ株、って呼ばれたというふうなのが、進化生態の考え方だと思います。つまり、”ワクチンが凶悪な変異株を産んだ”わけではありません。

ワクチンは、今流行ってるやつをもとに作るので、それで抑え込まれると、そいつに負けていたやつのうち、その免疫機構をすり抜けるやつが優勢になって行きます。これは全ての進化に当てはまる考え方だと思います。”進化自体に合目的性はない”って言われるところのモノです。


2.  ”病状の凶悪性”と”免疫機構すり抜け”は、ウイルスの別の場所の機能発現ですので、一般的に考えれば、独立です。このSARS_Cov_2 では、ガンマからデルタでは、凶悪性が増しましたが、さらにオミクロンになると減りましたよね。なので、独立のような気がします。

一般に遺伝現象は、デジタルのように言われますが、それを担っている物質はアナログですから、本当に独立かは、個々の現象について、個別に確かめないといけないことも事実です。実際、二つの形質に関する遺伝情報が同じ染色体上の近くにあって、そのプロモーター領域が近いとか、様々な理由で、相関を持つことはいっぱい知られています。例えば、ショウジョウバエの羽の形と体色は有名で、高校の生物の教科書にも取り上げられていますよね。(純粋なメンデルの法則から外れる例)植物でも、アサガオの花の色と葉っぱの色も同じ染色体上にあり、やはりリンケージしています。(他にも様々、例が知られているそうです。下にかく本に書いてあった!)

前に、紹介して、こちらで余興的にやった、集団遺伝学の講義の元になった木村資生先生(この先生は、京大理学部植物学教室の”知の巨人”のお一人です。故人。)の

”集団遺伝学概説”



でも、練習問題で扱われています。ある程度詳細な情報を与えると、親から子、孫と伝えられる時、その比がメンデルの法則からずれてどうなるかっていうのが(突然変異を除けば)キチンと計算できますから。ただし、突然変異はあって、1%程度の確率で、該当部分の組み換えが起こったりみたいなこともあると、書かれています。

SARS_CoV_2 では、スパイクタンパク上のフーリンって呼ばれているものがこのような”病原性の悪化”と”免疫機構のすり抜け”との間の独立性を保つのに働いているようです。こないだのレビューにそんなふうなことが書いてありました。この辺、専門性が高く、私の誤読の可能性もありますが、ただ、ガンマーデルターオミクロンと流れてきた変異で、病原性が悪化したり軽快したりしているようなので、事実はそうなのだ(独立なのだ)と思います。



参考文献:





 






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