2024/5 東北旅行記 ep8:ボンネットが開き、スタンド攻撃を受ける(男鹿~能代)
前回のあらすじ
とにかく急いだ1日だった
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本編
●朝から豪華にきりたんぽ
旅行も4日目。本日の目標は青森・八戸。偶然にも旅行記は8回目。特に意識したとか調整したとかはないが、奇遇なこともあるものだ。
目覚めて洗面所で歯を磨く。朝食を用意する、良い香りが廊下伝いにこちらまで届く。
夕飯会場は宿の広間だったが、朝食は宿入り口側にある、亀寿司のお店でいただく。こんな朝早くから寿司店に入ったことがあるだろうか。
朝食の時間は8時。昨晩、夕食のときに例のフレンドリーさと不気味さが同居した満面の笑みをたたえた女将に「明日の朝は8時でもよかったですか?」みたいに聞かれたので、早起きさせるのも酷だし同意したのだった。
朝食はシンプルだが、きりたんぽ鍋があるのがうれしい。鶏のうまみをじっくり炊いたつゆに、久方ぶりのきりたんぽがうまい。焼き鮭に漬け物ももちろんおいしい。変に品目が多いと調子こいて白米を食いすぎるので、これくらいで良い。
ごはんのおかわりは自由。目の前で、若い大将が仕込んでいる刺し盛りもエアおかずにしながら、1杯のみおかわりしてご馳走様。八戸に昼くらいには着きたいので、いそいそとチェックアウトする。厨房では先代と思しき風格のある人が鍋物を仕込んでいた。実は1人1泊12,000円と、民宿ながら今回の旅行で最も高額な宿だったのだが、大満足だった。
●人のラジオを笑うな
本州の西端・男鹿から、東端・八戸へ。道は遠い。まずは給油をしよう。仙台から走りっぱなしで、ルーミーのガソリンタンクもそう大きくないので結構ぎりぎりだったのだ。
その辺のスタンドにピットイン。フルサービスなので「レギュラー満タンで」と伝えたものの、初めて乗った車種であり、これまで乗った車と同じ位置に給油口のスイッチがなく、ちょっとあたふた。
よし、これだと思って待っていても給油が始まらない。違うところだったか。私の手際の悪さにやきもきしたのか、スタッフがドアをあけてスイッチをあけてくれた。
さあ、無事に給油も終えて八戸へまっしぐら。まっすぐな道をかっ飛ばす。
ラジオから流れる、「New Normal Life ~優しさであふれる毎日を」という謎なタイトルで、さらにMCが山寺宏一と野沢雅子というすさまじいタッグの番組。
しかもなぜか沖縄在住の中学1年生をゲストに呼び、山ちゃんが「つくづく沖縄人だなあ、と実感する瞬間はありますか?」みたいな無茶ぶりをしている。わけがわからん。アハハ、と笑っていると、急に車が警告を発し始めた。
何であれ警告というのは焦る。不慣れな車ならなおさらである。どうも半ドアらしい。運転席と助手席のドアを閉めても鳴りやまない。おや、どうやらトランクかしら? 閉め直して走り始めても止まらない。路肩に止めて「まさか」と思ったらそのまさか、ボンネットが開いていた。あほか。
どうやらさっきガソリンスタンドでいろいろスイッチを押しまくった際に、ボンネットを開けていたらしい。危なすぎるし間抜けすぎる。これが高速道路とかじゃなくて良かった。結構スピードも出していたので空力ひとつミスっていたら、ボンネットのわずかなすき間に強風が入り、こじ開けられ、いきなりフロントガラスにボンネットが飛び出してきて事故るところだったかもしれない。
●謎のスタンド攻撃、ないし糞爆撃
まったくバカなこともあるもんだ、なんてまたアハハと笑って走っていたら、雨も降っていないのにフロントガラスをポツ……ポツ……と叩く音。そういえば昨日かおとといも少しあって気になっていた。なにこれ?
虫がぶつかってるのかな。そう思ってやり過ごして走っていても、断続的にフロントガラスを叩く音。何だよ。新手のスタンド攻撃か? 時速数十キロで走っており、並走する車はないことから自動操縦の追尾型スタンドと目される。
いや、そんな馬鹿なことはない。ちゃんと現実を見よう。フロントガラスを見る。よく見る。分かった、鳥が糞してやがる。意識を向けると、フロントガラスの汚さが一気に気になってくる。
それにしても今日の降糞量は異常すぎやしないか。あれか、地域特性的な何かか。そう思って妻に「東北道 鳥の糞 多い」とかで検索してもらうも、めぼしい情報は出ず。
代わりに出てきた情報が、車のガラスの反射か何かが水面のきらめきに似ており、鳥が水場=トイレと勘違いして糞をしてくる説。加えて、一度糞爆撃を食らうと後続の野郎どももトイレと勘違いして、どんどんと糞してきやがる説。
そんなことあるかしら? こちとら時速数十キロで走っている。別に真上、近くに鳥どもが飛んでいるわけでもない。まあだとしても、どんどんと糞が落ちてくるのは事実。はるか上空にいる鳥どもが、恐るべき動体視力とロックオン能力、糞の正確な射出能力によって、私の車に的確に爆撃している、ということなのか。信じられん。
●驚異の菓子・バター餅
糞爆撃を受けつつも八戸に向かう。途中、道の駅ふたついにて休憩。のども渇いたのでコーヒーを買う。亀屋旅館で食べて美味かった茶菓子「もろこし」も買う。
妻はバター餅なる菓子を買った。これが(私的には)アホほど口に合わなかった。
まず、ネーミングからして不穏である。私は過熱してもう跡形もなくなった、香りとほんのうっすらとした風味だけ残ったバターは許容できるが、バターそのもの的なものは受け付けない。じゃがバターとか、あんバターとか、ネオバターロールとか。乳臭さも嫌だし、脂そのものって感じも嫌。
果たしてこのバター餅、餅化したバターという感じでその乳臭さをぷんぷんと残している。それだけならまあ我慢できるのだが、粒状のバター的物質が餅の中に混入しており、舌触りが非常によくない。口の中で転がせば転がすほどバターの粒に当たり、脂と香りが口の中に広がる。とにかくコーヒーで流し込んだ。
さて、長くなったので八戸に入る前に今回はここまで。8回目で八戸は奇遇だなあとかのんきなこと言ってスンマセンっした。