しゅんかん とけこみ

顔を洗い
あたたかな水が
ひふを緩ゆるめてくれるのを
感じる

タオルが顔をおおい
ふわっと
まだ微かすかに残っている
お陽さまが香り
からだがホッとし
よろこび
さっきまであった
顔の水かげんが
しゅるしゅると
消えていくのを
感じる

ふぅーっと
ひと息が飛び出て
サッパリが
やってくる

気持ちが
いい

コーヒー豆が
湯気とともに
するするとお湯に出会い
ふわぁんとふくらみ
ポコポコと音が踊り

ふわぁんふわぁんに
呼吸を合わせて
いっしょにふくらみ
湯かげんを
豆に教えてもらう

たのしい

くるくるに絡まった
洗われホヤホヤの洗濯ものを
せっかく一緒なのに
ごめんなさいねと
ひとつずつほどき出し

ぎゅーっと
かしこまった端をつまんで
パタパタとあおぎ
ひと振りひと振り
ゆるんで伸びてくサマに
こちらもユルみ
振る　と一緒にいてみて
一緒に　振るわれ
ゆるみ

空気という魔法が
すべてのカシコマリを
ほどく頃
ゆるまれほどかれた身体も
いい加減に
ほころぶ

うれしい

日常のひとこまひとこまを
ゆっくりとスローにし
まるで
その瞬間しかないように
そこに
ぜんぶが詰まっているかのように
その　瞬間　に
まかせて
瞬間　を味わってみると

はやさ　の中では
感じられない
不思議なものが飛び出してきて

はて
今まで何をやってきたのだろう
と
感じてしまう

スローにしたから
何かが遅れるとかなく
むしろ
すべてがジャストに
ちょうどいい塩梅あんばいに
流れていく

この
不思議さ

週末やって来たアネモネは
「寒いととじて　暖かだとひらくんですよ」
とお店の人が教えてくれた通り

気がつくと
閉じてて
また見ると
開いてて

一緒におとずれたチューリップの
そこにしか現れてない
パープルかげんが
不思議で
愛おしくて

いま
この瞬間にあるものに
こきゅうを合わせてみると

あたかも
生きています　と
わたくしガンバッテおります　と
やっている
この纏まとわりついてる
ナニカが

ちょっと
静かになって

その

不自然さ　に

あれ？　っと
なったりする

ここ　にあるものと
何となくでも
混じりあい
その
不思議さかげんに
ふれたときの
安らぎ

愉快　が
やってくる