世界一の金持ち、ジェフ・ベゾスが立ち向かった相手とは
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世界一の金持ち、ジェフ・ベゾスが立ち向かった相手とは

アマゾン創業者で現在はワシントン・ポスト紙のオーナーでもあるジェフ・ベゾスは世界一の金持ち。その彼がアメリカ時間の木曜日夜、ミディアムに投稿したブログがアメリカメディアと政界を揺るがす騒ぎになっている。

簡単に言うと、アメリカを代表する暴露記事専門のタブロイド、ナショナル・エンクワイアラー紙を出版するアメリカン・メディア・インク(AMI)社が、ベゾスに、「要求」を飲まなければ彼の「プライベート(要するにハダカ)写真」を掲載すると脅してきた。ベゾスは脅迫には応じないと、AMI社からのメール二通を、「プライベート写真」の描写もそのまま公表した。

要求とは何か、その背景は。

ベゾスは今年1月9日に、アマゾン創業を助け、初期の仕事に深く関わった糟糠の妻で小説家のマッキンゼー・ベゾスとの離婚を発表。円満であることを強調した。住んでいるワシントン州では、結婚中の資産は夫婦間で均等に分けるため、マッキンゼーは世界一の金持ち女性になるだろうと話題になった。その直後に、離婚の原因は元テレビアンカー、ローレン・サンチェスとの不倫関係だとすっぱぬいたのがナショナル・エンクワイアラー紙。この件について四ヶ月も取材をしていたそうで、ベゾスと愛人の間の親密なメッセージのやりとりも含まれていた。

ベゾスは、個人的なメッセージがどうしてエンクワイアラー紙に渡ったのか、なぜ自分がターゲットにされたのか調査をさせた。その過程でローレン・サンチェスの兄、マイケル・サンチェスが漏洩に関与したのではとの疑惑が浮上した。マイケル・サンチェスはトランプ大統領支持者で、また、大統領の元顧問ロジャー・ストーン(先月、トランプ大統領のロシア疑惑関連で起訴された)との付き合いもあると報道されている(本人は漏洩の犯人であることを否定)。

有名人の暴露記事で知られるエンクワイアラー紙だが、その親会社、AMIのデービッド・ペッカーCEOはトランプ大統領の熱烈な支持者。大統領選挙中にもトランプ候補(当時)と関係があったと主張するプレイボーイ誌モデルの体験談を買い取って口封じをしたり、トランプ大統領を讃える記事を書くなどして手助けしてきたという。

一方、トランプ大統領はロシア疑惑などの取材を続けるワシントン・ポスト紙をフェイクニュース新聞と決めつけ、また、そのオーナーであるベゾスを執拗に嫌っている。

AMIがトランプ大統領にゴマをするために、身内の新聞を使って大統領が忌み嫌うワシントンポスト紙のオーナー、ベゾスのスキャンダルをすっぱぬいたのでは?という、これは単なる金持ちのゴシップではなく政治的なものだという仮説が出るのも当然というかまあ普通だろう。

ところがAMI側はそれを否定、ペッカーCEOが激怒していると伝えられた。ベゾスのブログポストによれば、関係者からベゾスの弁護士に口頭で、調査をやめないとプライベートなメッセージと写真を掲載すると脅してきたという。

ベゾスが折れなかったので、AMIは次に今週の火曜日、掲載する用意のある「プライベート写真」の内容を詳細に書いたメールを、そして水曜日には、AMIの取材・記事に政治的な背景があったとは思えないという声明を出さなければ写真を掲載する、とはっきり書いた、つまり脅迫状にしか見えないメールを送りつけた。ベゾスはその翌日つまり木曜日、ミディアムでこれら二通のメール全文を含めて背景を公表した。

弁護士と練り上げた文章には違いないが、特に印象深いフレーズをひとつ。

 If in my position I can’t stand up to this kind of extortion, how many people can?

「私のような立場の者がこうした脅迫に立ち向かうことができなければ、立ち向かえる者がどれだけいるだろう」

恐喝に負けなかったベゾスの言葉は立派だと思う。立派だとは思うがひとこと言わせていただければ・・・、「プライベート写真」、なぜ撮る?なぜ送る?

参考にしました




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ライター・翻訳家・元アメリカ雑誌記者。ずっとアメリカのカルチャーに関わる仕事をしてきました。たいてい東京、ときどき上海。英米の映画やドラマを見ていて、「この人どこに出てたっけ?」と追求するのが趣味。#どこでた