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ダイヤモンドの功罪の掘り下げ、考察、本質分析 ~超天才の旅の行く末~

毎週木曜日が最近の楽しみで生き甲斐です。ダイヤモンドの功罪が本当に面白いですね。あんまり深く考えすぎるとネタバレを通り越して、物語の展開やオチまで描いてしまいそうなので、前回記事ではふれなかったのですが、好きすぎてもう我慢できないので、もっとあれこれ本作について書こうと思います。今までで一番長い記事5400文字かもです。







超天才が理解者を求める旅

この作品の中核は見出しの通りです。前回記事でもふれましたが、主人公の綾瀬川は、みんながするようなふつーの努力をしているだけでも1000点を叩きだせてしまいます。圧倒的です。一方のライバル達は70点80点のラインで争っています。この大人と保育園児の勝負みたいな構図で、どこに綾瀬川は勝負の楽しみを見出せばよいのでしょうか。絶対勝つ、勝って当たり前の世界の勝負のどこが面白いのでしょうか。ここが綾瀬川の原点で本質です。

綾瀬川は緊張することもありえません。できるかできないかの不安が緊張を生むわけですから……(世界大会決勝前日すら、もうこのチームとも終わりかと冷めている感じしかみせません。世界大会決勝ですら彼を勝負の世界にひきずりこめませんでした……)

さて、80点90点のやつに、俺と勝負になるように、努力すれば(努力が足りないから)1000点だせよ!といえるわけもありません。かといって、できないふりで手加減しても”みんな”が喜んでくれるわけでもありません。こんな状況で勝つことにこだわる姿勢が生まれるはずもありません。残された唯一の楽しみが、仲間や理解者として認めた人と、一緒に楽しむこと(皆が喜んでくれたら自分の存在を肯定できる)になるわけです。もしできれば、かかわり合う人全員が楽しめるようにという姿勢なわけです。絶対で圧倒的すぎるがゆえの結論です。本気でやれば俺が勝つんだから、勝敗なんてどうでもいいっしょ♪という実に傲慢というか独尊ともいえますが……。





天才の旅の行く末

・天才がよき理解者と巡り合える
・天才がよき理解者と巡り合えるが、やはり絶縁し絶望する

ぶっちゃけてしまうと、この漫画で起きることはこの2つの展開だけなんですよね。毎回絶望期には、できないふりをするでやり過ごそうとする。なんとか思いついたアイディアで綾瀬川は次はどうすれば”人並”にうまくいくのか挑戦するという流れの繰り返しです。

基本的にどこにも居場所のない綾瀬川ですが、折々では、なんとか理解者と出会うことができます。しかし、本作ではというか物語の進行上、彼ら側の打算的、利己的理由。または綾瀬川の同情や見切りによって、絶縁して絶望する繰り返しです。

旅の行く末としては、
1、綾瀬川が凡人になることで、”人並”となり、天才の苦悩が消える。できないふりをしなくてすむ(はなからできない)ようになる。
2、綾瀬川の理解者が現れて、綾瀬川が救われる。
3、綾瀬川の理解者が現れたと思うも、最後の最後は決別する。
4、天才ではない分野で生きる。そこに人生の意味を見出す。

必然的に、天才の旅の行く末は、上記4つのどれかになります。1は物語上あんまりありえないですね。怪我等で本当にボロボロでダメになったとき、天才性が消えた時でも残ってくれた仲間がいて幸せみたいなオチにはなる可能性は0ではないですけども。2は、最高のハッピーエンドですね。しかし、理解者が現れないのが天才であるという作品テーマに真っ向から反する以上、こじんまりしたオチになりそうで、いまいちです。3が一番ありえそうな終わり方です。本当に本当に仲間だと思って理解し合えてた人と最後の最後で違和感ができてしまい、決別する。やはり天才は天才ゆえに理解者が生まれないというテーマに合ったオチで悲痛ながら心に残るオチになります。あとは3の延長で、4まで書くかもしれないですね。陶芸とか絵画とか、誰も傷つけずに自分の好きなようにやれるなにか。結果が出るわけでもない得意でもすごくもない何か。あるいは、同じく結果のない恋人恋愛とか動物と戯れることにしたり。そこに意義を見出す。野球で他人に期待しなくなった淋しい老後人生ですね……。





具体的な旅路

ネタバレ含みます。そういう天才と理解者の遍歴、綾瀬川の具体的な遍歴を追ってみましょう。今後の展開も予測しときます。


1、遠慮なく1000点をだしてみんなに嫌われる

野球をする前の漫画冒頭です。あいつがいるならやりたくない、やっても意味ない!ということで嫌われまくります。本人も居心地の悪さを感じて、なんで自分はふつーにしているだけなのにダメなんだ?と苦悩します。


2、1000点を出しても、気にせず笑って楽しんでくれるライト勢と遊ぶ

バンビーズに出会えました。1000点だしても当初は格好いい!凄い!ともてはやされて楽しめました。しかし、1000点の球をとれないキャッチャーや、1000点よりもっと出せるだろうと迫るこの人たちの勢力(結果を無理やり出そうとしてくる人たち)によつて、結局1000点を出して喜べる素直な自然体ではいられなくなりました。


3、そっちも1000点出せるよね?というガチ勢と1000点で真剣に(できないふりせずに)遊ぶ

ガチ勢の人たちなら、1000点だしても大丈夫だよ相手は日本代表だよ!?といわれて、それならまぁ……と参加しました。しかし結局は、1000点出したら日本代表クラスのガチ勢でさえも、1000点に付き合うことは半分ぐらい?しかできませんでした。各自に遺恨と言うかいさかいというか、わだかまりと言うか、爪痕を残します。綾瀬川的には1000点を素直に出せて幸せだった反面、思ったより周囲の感謝や喜びはなく、じゃあどうすればよかったんだよ!!と憤慨します。



4、20,30点に合わせてもダメだし、1000点でやろうとすれば誰かがのけ者になる、結果に関わらない姿勢。

これまでの旅で、どんな点数を出そうが嫌われることを理解しました。その結果、次は点数を出さない。そもそも試合に関わらない裏方というか、試合にでない野球塾スタイルを選択しました。足立フェニックスに入団するも成長痛とうそぶいて、野球の練習だけほどほどにします。誰の邪魔もしない(試合に出ない)、でも野球はするとなりました。将来は草野球チームをイガと自分で作り、自分の居場所、自分のやりたいようにできる場所は自分で作る!と夢見ています。



5、イガの提案、誰の邪魔もしないで、野球する案で、またも失敗する。(以下予想)

ここから先は予想です。

いがはきっと、1000点だす。でも、一回か二回しか痛みで登板できないことにすればいいよと綾瀬川に提案すると思います。切り札のジョーカー的な立場です。チームのため(まよさんの肩ひじの負担軽減)にもなるし、勝利に貢献して感謝されるし、少ない出番を借りるだけなら誰の邪魔もしないというアイディアです

一見よく見えますが、確実に失敗します。当初はうまく行くことでしょう。でも、正規バッテリーに怪我がでたり、綾瀬川が投げるなら勝てそうだから、もう少しだけ投げてくれ!といつかいわれるに決まってます。なし崩しで、結局チームのエースとして投げざるを得ない状況になります。

全国大会の重要場面でで、マヨさんのポジションを奪うことになり、そして、慶応?高校の推薦やスカウトマンもマヨではなく、綾瀬川を選ぶ展開になります。まよさんはなにも言わないでしょうが、綾瀬川はその事実をイガから知り傷つきます。そうして、イガ発案は信頼しているマヨも綾も、すべてをダメにしてしまいます。ショックでイガと綾瀬川の仲も微妙になります。

もしかしたら、イガとバッテリーを組んで綾瀬川が投げる展開もありそうですね。さらに速くなった綾瀬川の球をいがは全くとれないことでしょう。綾瀬川にできないふりをさせてしまうのは、いが自身も一緒という事実にうちのめされます。二人で草野球チームを作る!の話も、綾が俺とじゃ真剣にできないから……と、辞退してたち消えになることでしょう。つまり、イガという理解者も失います。これで小学生のリトル編は終わりでしょう。




6、綾瀬川の絶望をどん底までおとす中学時代。野球から離れる 

イガも失いました。どう野球と関わってもダメじゃんと絶望します。中学時代は野球を一切しないみたいな展開で、高校になってからなつおや新メンバーや大和との再会で、もう一度だけこいつらのために野球をやろうと奮い立つ展開にるのかなと思います。

ここの中学時代の絶望時期にもっと、綾瀬川を叩きのめすのも楽しそうですよね。

例えば、野球塾にちゃんと入り直してもう絶対試合は出ない、練習だけしている内に、打撃もすごくなって、本当にお前ただ一人がいればそれでいいじゃん状態になってしまい、孤独感がなおのこと際立たったり。

中学時代は野球に絶望しているので、U15の代表に応募しない。しかし、並木監督から声がかかって、選考会に行くことになる展開もあるかもしれません。今なら、こいつらとなら1000点だしても大丈夫じゃないか?という流れですね。そこでは、U12のメンバーはほぼ全員消えていて(綾瀬川を目の当たりにした少なからずの影響もある)、新しくもっとうまい野球少年相手と野球をすることに。でも、やはり同じく圧倒してしまう。誰相手でもまだ、真剣にできないので、選考会を選ばれた後に、嘘怪我で辞退する展開とかもいいですよね。今度こそうまくいくか?ともがいてやっぱり駄目も面白いですけどね。


7、高校から再スタート

綾瀬川がいるとみんなつまらない。だから、本人はみんなを楽しませようとする。

要は、この問への解が綾瀬川の心から欲しい答えであり、言葉を変えると、負けても楽しいって言ってもらえるにはどう振る舞えばいいのか?というのが綾瀬川の根幹の願望です。

並木監督、もっと教えてあげればよかったのに……。答えを書いてしまえば、

みんながつまらなくなるのは、みんなが未熟だからであり、綾瀬川側の問題ではありません。綾瀬川がどうこうしようとしても、みんなの問題なのだから解決できるわけありません。

みんなが(負けても)楽しい、楽しくなるためには、全力を出し切る事が鍵です。自分の持てるすべてを出しきっても負けたなら、完敗だ。俺はこれでもうやめるけど、悔いはねぇよお前すげぇな!!!となりますし。これまでが限界だと思っていたけど、まだ先があるなら、新しい何かを掴んで、次はお前に勝つ!!!と爽やかに言えます。綾瀬川も楽しい事でしょう。

しかし、挫折経験がない少年達、まだ体も心も成熟しきっていない少年達。そもそもその競技に長年向き合ってはいない少年達。彼らには、のびしろがあるといえば聞こえがいい反面、今後将来どう体が成長するかわからない状況であり、”全力を出し切る”を行うことが難しい状況です。

言い換えるならば、体が大人になってこれ以上成長しないという状況ならば、あとは練習量や筋肉をひたすらつけるとか、自分の限界まで追い込むことができ、全力を出し切ることもできます。しかし、体の未発達を言い訳に、俺はまだ本気を出していないだけというか、本気を出せないだけと、本当の自分に向き合うことができないわけです。

というわけで、高校生頃になり、体の成熟が終わったら、綾瀬川の抱える問題は意外とあっさり解決します。あとは相手の野球への姿勢次第、全力を出し切ったかどうか、次は負けないぞ!と向かってきてくれるかの話となり、それらをすべて兼ね備えた、大和というライバル?常に自分と向き合ってくれる相手を見つけて、綾瀬川は1000点を素直に出すことに喜びを感じることでしょう。





おわりに

的外れかもしれないエンディングを予想しておわりにしようと思います。高校生になり、みんなが全力で向き合ってくれる状況まで成熟して、で、綾瀬川も全力をだせるようになり、野球に再度向き合います。楽します。で、甲子園をけがなく優勝するまで至る。

綾瀬川にしてみれば甲子園優勝を喜んでくれて、心から感謝されて、本当に欲しいものが手に入った気がした反面、これじゃない感に綾瀬川は打ちのめされます。

つまり、みんなが喜んでくれる野球をするは、二番目で、やはり一番は自分の全力を出してそれが素直にありのままに、みんなに理解されて喜んでもらえる。が一番だと気づき絶望するのかなと。優勝を喜んでくれるけど野球への関わり方の温度差で、なんか違う……と綾瀬川がおもいつめるというか。あの○回の球は、こうでこうでと話したいのに、もういまはそんなこといいよ優勝したんだから!と流されるとか。喜んでもらうだけじゃなく、やはり理解されたいことに気づくのです。

綾瀬川はプロにはいきません。結局同じ展開になるのが目に見えているからです。プロですら綾瀬川の1000点を受け止められません。さて、何度も居場所を失くした綾瀬川の最後に辿り着くのは、指導者として、自分と同じ天才、あるいは天才ではない凡人にも上手に寄り添って指導して、”みんなが楽しく理解されるチームを作る”の指導者になるエンドかなと思います。

こう書いていてあれですが、孫悟空エンドですね。うーぶを育ててやるぜ、強くなったらおらと勝負してくれよな!的な。最期は、その綾瀬川が作った草野球?野球塾?チームで、1000点の球を投げて、次は打てるように頑張るよ!!と素直に返答する次世代?の子との絡みで、綾瀬川の居場所がようやく見つかったエンドになるかと思います。


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