AI(ChatGPT)と向き合う人生、本当に必要な資質とは何か


以前にこんな記事を書いた。要約すれば、AIがあろうがなかろうかそう変わらない。イラストやらを自動で生成できるならば、みんな60点のイラストを作れて平均点最低点はあがる。しかし、結局その中で差を出すには、今と同様、もっといいイラストとは何か?を突き詰めていくことが必要となり、AIがあろうがなかろうが、本質は変わらないのだ。つまり、”完成図を描ける””何かを突き詰めていく”思考作業は、変わらない。

と、まとめたつもりだったが、この思考作業はもう少し細分化でき、重要度の差がある事に気づいたので、AI環境下において、より重要性の高い脳の使い方部分とはなにかを整理してみようと思う。





ある生産活動における具体的思考例

AIやChatGPTのプラグラムに詳しいわけではないので、実際の処理は知らない。しかし、人間の思考を追随するトレースするというのが人工知能なのだから、自分(人間)の思考と同じような動作をしているのだろう。

例えば、劇場版名探偵コナンの次回最新作20数作目の物語のプロットを作る!!としよう。ChatGPTに質問すれば、それらしい答えが返ってくるはずだ。物語のプロットという完成品が提供され、なんだこれ等と質問者は出来不出来を判断するだけかもしれない。そこから深堀して、その奥の人間やAIがそこに至るまでの思考を整理してみる。

1、面白い物語とは何か。どこからどう組み上げていくこと、なにを重要視することか
2、その視点に沿って、過去の類似作品の分類分別体系化という分析
3、どの変数によって、良成功の結果成果にばらつきが生まれたのか詳細の分類分析
4、3を考慮しつつ、2を参考にした亜種を複数生成
5、現在の条件指定状況に一番合う4を選択

詳しく見ていこう。


1、面白い物語の、各人の理論化定義づけ領域

面白いコナン映画とは何か?? 人によりその条件や定義づけは様々だろう。例えば、新一と蘭のラブ要素は盛り上がりに必須で、時計仕掛けの摩天楼みたいに、ラストに二人が背中合わせで語り合うような緊迫感と緊張感と穏やかなラブが混ざるシーンが必要だという人もいるだろう。あるいは、昨今の映画のように、コナン映画はアクションだ!犯人とコナンの一騎打ちとそれに付随するアクション(破壊鎮圧)のクライマックスをどう描くかが最重要で、あとはそこから全て逆算していくべきだという人もいるだろう。あるいは、これまでにない斬新性・真新しさこそ話題も人気もでる良作になる。これまでやったことない系統の物語にしていくべきだ。赤井一家を起用しよう等の見方もある。様々だ。

より勝ち成功に近づく手、決められたルール状況の中での最善手、一番良い○○は何か??という定義理論化問題は、いずれ決着する。チェスや将棋がいい例だろう。最初こそ、そこそこなよくない手、人間の方がよりよい手を考えるのに有利であったが、もはやその定義理論化が目まぐるしくのび、今や追い抜かれてしまった。

今後、AIはどの分野でも、いずれはそこに辿り着くのだろう(ある条件状況の時、人間にとってどちらがよいかを理論定義化できて提示できてしまうようになる)ので、コナン映画における面白い物語とはなにか?もいつかは明確に答えられてしまうと思う。




2、1を基にした、各データの分類体系化領域

その最終段階に辿り着くまでは、当面はユーザーの指定するある視点(面白い物語とは??)により切り取られた見方で、過去作品を分類整理する2の作業を繰り返すことになる。ラブ要素と、最後の盛り上がりと、其処に至るまでの事件の道筋という条件で過去のコナン作品を分類整理したり。あるいは、これまでの最後のド派手なアクションシーンを類型化したり。これまで使った事件やアクションやキャラを網羅して、これまで未使用の題材素材を提示したり。





3、2のデータの詳細分析、解析、成功方程式の探究発見

2の作業はあくまで粗データの抽出といえる。そこからできるだけ成功や面白い作品を作りたいので、その中でも、面白さに繋がる公式関数を導き、面白さに繋がる変数を見つけ出す作業が3となる。

例えば、ラブの中でも、片方が片方を助ける場合よりも、どちらかと言えば、二人で協力して助かるようなケースの方が、観客の反応が良いと気づいて、2に戻り助け合い状況のさらなるデータ分析を作ったり。ド派手なアクションであっても、必然性や犯人の動機との密接な関連性がなければ、絵空事で説得力がなくつまらなくなる・・・となれば、破壊する対象とそれに見合うだけの事件と動機の類型化で再度検索をかけたり。あるいは、新要素がいいとは言っても、原作+αのラブや格好いい展開が必須であるとわかれば、京極さんと園子にKissさせちゃう?とか。この2と3を行き来しながら、大筋やキーポイントを固めていく。




4,5 最終調整、詰めの段階

2と3を言ったり戻ったりしていく中で、微妙な所で迷っているA A”” A”””パターンみたいな数種類が生まれたり。Aもいいけど、全然毛並みが違うB、B”も思いついたという事態になる。どのプランで最終決定するか迷っている段階だ。

最後に、1つの作品や答えに落とし込むのが4や5の作業である。ここで重要視される基準も時と場合によるが、これもAIにいつか追いこされるだろう。極論を言えば、その人が望むように即座に作品を作り替えることすらできる。その人が求める映画になるよう映像を流しながらの調整すら可能になる未来もあるだろう。





結論と終わりに

1=5>>>>>>>>>>2,3,4

というわけで、上記が結論である。

”完成図を描ける””何かを突き詰めていく”思考作業は、変わらない。しかしその中における分類分析、変数の洗い出しに関してはAIで代用したり、AIに任せることが技術的に容易である。よく聞くところのAIに資料集めデータ集めを任せることで、生産活動を効率化できるとはこのことだろう。

一方で、1や5の領域はまだまだ人間にAIが追い付かない領域である。(理論的というより、感情的多種多様な振れ幅が大きすぎて、定式化が曖昧過ぎて難しいだけかもしれない。)○○とは何か?どうすればよいのか?この問いの答えの条件理論定義化問題とも言い換えられる。コナン映画の話でなくても、3年目の結婚記念日のプレゼントをどうするかでもいいし。付き合って1回目の旅行先のプランでもなんでもいい。奥さんや相手が喜ぶものを準備すればいいのはわかる。じゃあ喜ぶって何だ?相手の好みにもよるし・・・、うーーーん………と。

あなたの中に、結婚記念日のプレゼントとは○○であるべきの答えがないと悩むし、1回目の旅行先とは○○であるべきという答えがないとただただ悩むのである。

その喜ぶ条件を見つける原理追求型のなぜ、どうやって、どうあるべきかという原理原則を解明しようとする思考 = 1

あるいは、AIが作ったり提案された作品を見て、今の状況ならば、相手や今の状況に合致するのは何番目の意見であると判断できる、状況判断力 =5である。

良いイラストとは何か?とイラストありき、上から落とし込んでいくのが1であり。一方で、絵の良し悪しなんてわからないけど、今売れるのはどうみてもこっちだろ。万人受け7するのは、あるいは玄人受けするのは5だろみたいなエンドユーザー側の下から落とし込んで判断するのが、5の視点である。

AI(ChatGPT)と向き合う人生、本当に必要な資質とは何かといわれれば、徹底的に、物事の原理原則を追求して条件定義理論化できる頭の使い方か、あるいは、今目の前の人間や社会や状況を踏まえて、その時最善の手を提案された中から選べる、現実的に今するべきことを選べる状況判断決断力のどちらかだろう。


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