野球肘の病態について
今日も柔道整復師、理学療法士、整体師の方、新人の方に向けて、僕の実際行っていることについて書いていきます
今日は野球肘の病態について書いていきます
野球肘とは
投球動作のコッキング後期〜加速期初期では肘の外反により肘関節内側に牽引力、外側に圧迫力が加わる
引き続き加速期では肘の伸展内反により、腕尺関節と肘頭外側に圧迫力が加わる
フォロースルー期では肘頭に上腕三頭筋の牽引力が加わり、肘の過伸展により肘頭と肘頭窩が衝突する
野球肘は症状の部位により、内側型、外側型、後方型に分けられる
内側型 内側側副靭帯に牽引による裂離骨折、靭帯損傷
外側型 上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎
後方型 肘頭疲労骨折・骨棘形成
標準整形外科学 より 引用
と記載がありまして、臨床的には、内側型には前腕屈筋、屈筋付着部の炎症も多いと思います
内側型が圧倒的に多いと思いますので、内側型に関係する内側側副靭帯(MCL)について書きます
MCLについて
肘のMCLは
①前斜走線維
②後斜走線維
③横走線維
から成り立っていて、特に損傷が多いのが、前斜走線維とされています
前斜走線維は表層と深層があり
表層は屈伸軸の前方を通る関係で伸展位で緊張します
深層は屈伸軸の上を走っている線維も存在することから全ての屈曲角度で常に緊張しています
このどこで緊張するのかで、MCLのどこが損傷されるのかの予想を立てることができます
①過屈曲 後斜走線維と前斜走線維の複合損傷
②90°屈曲位〜完全伸展 前斜走線維損傷
③より伸展位 前斜走線維の前方部分損傷
④90°以下の屈曲位 前斜走線維の後方部分損傷
と予想が立てることができ、投球時のコッキング期では肘は70〜80°屈曲位となるので、前斜走線維の後方部分損傷が多いそうです
運動器のなぜがわかる臨床解剖学 より 引用
野球肘の徒手検査について
野球肘が疑われる症例でチェックしているのは
①圧痛(内側、外側、後方)
②バルガステスト(外反動揺テスト)
は必ずチェックしています
バルガスは
①70°屈曲位で外反動揺
②完全伸展位で外反動揺
をチェックして、ここでは痛みと動揺性をチェックします(健側と比較)
伸展位で動揺性が認められる場合は、より重症と言えます
これは、伸展位となると肘頭が肘頭窩にはまりますので、骨性の安定性も高まります
骨性の安定性があるのに、動揺性があるということはMCLの前方部分損傷している可能性が高まります(広範囲の損傷)
外側型について
野球肘の外側型は圧迫型とも呼ばれていて、外反が加わると内側に牽引力、外側に圧迫力が加わります
内側がしっかり制御されていれば、外側の圧迫力はそこまで強くありませんが、例えばMCLが損傷して外反動揺性が高まってしまった場合などは、内側が制御できていないので外側の圧迫力が高まります
そのことにより損傷が発生するとの記載があります
なので、外側型が発症してるということは、内側型の野球肘も存在している(過去にあった)可能性が高いと思われます
外側型は離断性骨軟骨炎になっているケースがあるので、手術の対象になります
見つけたら早急に病院へご紹介しています
外側型でも、圧痛の確認をします
ここで注意が必要で、病巣の部位が上腕骨小頭の後外側にあることが多いので屈曲位と触診が難しいケースがあります
なので肘を伸展位にして、上腕骨小頭を橈骨頭よりも前方に露出させた状態で圧痛の確認を行うようにしています
伸展位 → 前方から上腕骨小頭の圧痛確認
今回は病態把握メインで書きました
いずれ野球肘の施術方法やポイントなども書いていきたいと思います
今日も臨床がんばりましょう
ではまた
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