たかが捻挫されど捻挫
今日も柔道整復師、理学療法士、整体師の方、新人の方に向けて、僕の実際行っていることについて書いていきます
今日は足関節外側靭帯損傷(足関節捻挫)について書いていきます
臨床で遭遇する機会が多い外傷だと思います
固定法などもたくさんあり、それぞれの院で工夫がなされていると思います
距腿関節と足関節外側靭帯について
距腿関節についてです
側方に外果と内果が存在するため側方安定性が高い
外果は内果より10mm程度長い、なので側方安定性は外側の方が高い
ただ、立位の際の重心線は足関節の内方を通過するので内側ストレスが多くかかる
普段から多くストレスがかかるため、その分、内側靭帯が発達している
外側靭帯は骨性の支持に依存しているため内側靭帯ほど発達していない
運動器のなぜがわかる臨床解剖学より引用
前距腓靭帯 約2mm
踵腓靭帯 約6mm
後距腓靭帯 約6mm
ということで教科書上も、前距腓靭帯損傷が多いとされています
前距腓靭帯損傷の発生機序
前距腓靭帯の役割
距腿関節の底屈位で内反を制動する機能を持っている
前額面 約45°内方傾斜 内反制動に作用
水平面 約25°内方傾斜 内反制動に作用
矢状面 約47°前方傾斜 距骨前方移動制動に作用
そして距腿関節を構成する距骨滑車は前方が5mm広い扇型になっているので
背屈位で内果、外果に距骨滑車がハマり、骨性の安定性が生まれます
底屈位だと骨性の支持があまりない状態になり、その底屈状態を薄く脆弱な前距腓靭帯が制動することになるので、前距腓靭帯損傷が圧倒的に多いんですね
なので前距腓靭帯損傷の発生機序は足関節底屈位での内反強制ということでした
足関節捻挫で注意したいこと
前距腓靭帯損傷が疑われた際に注意したいことは、骨折の有無です
ここでいう骨折は外果先端の裂離骨折です
特に小児の外果先端の裂離骨折は見逃さないように気をつけています
小児(10歳以下)の前距腓靭帯腓骨付着部の骨構造が13歳以上と比べて脆弱であって、裂離骨折の頻度が多いとされています
また接骨院で、骨折を施術する場合は医師の同意が必要ですので疑われる場合は病院に行っていただいた方が良いと思います
外果先端の裂離骨折は、関節内骨折で骨癒合が得られにくく、偽関節となった場合には、裂離骨片が余剰骨として残存して前距腓靭帯の機能不全を起こし、捻挫を繰り返してしまう可能性が高まります
ただ、外果先端の裂離骨折は特殊なX線撮影(内旋斜位)でしか病変が抽出されないことがあるので病院で骨折線が映らなくても注意が必要かなと思います
なので外果先端の圧痛は必ずチェックするようにします
そして固定ですが、炎症が収まり、軟部組織の治癒に要する3週間はギプスやシーネやテーピングの固定は必要だと考えて実施しています
捻挫が癖になると、足根洞症候群や衝突性外骨腫(フットボーラーズアンクル)といった様々な病態を引き起こします
外傷は最初の対応や施術がかなり重要だと思っています
なので正直、慎重すぎる位でいいのかなと思います
固定する、固定しないで迷う時は固定します
やらなかったことに後悔したくないのでそういう選択をするようにしています
しっかり病態を把握して、患者に正しい説明をして、信頼される治療家になりたいですね
頑張りしょう
じゃあね
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