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楠本奇蹄
2024年5月29日 00:31
ひどい風雨だった。今も轟々と風が暴れている。身の危険を感じる帰路だったが、なんとか帰り着いた。激しくフロントガラスにぶつかる雨粒は、ひっきりなしに働かせたワイパーが何とかしてくれた。ただアスファルトに叩きつける雨は地面を波のように這ってこちらに迫り、あるかなしかの感覚で繰り返しタイヤを呑み込んでいく。ライトに照らされる雨は不器用なタップダンスのようで、雨脚、ということばが浮かぶ。車道上には街