見出し画像

甘酢あんかけを作る人に与えられた特権

料理を作る人の喜びは、食べた人に感謝されるとか、食材に触れて四季を感じることができる、といった概念的なものだけではない。もっと物質的な喜びがある。
味見である。

特に甘酢あんかけは、サクッと揚げたものにドロっとしたあんをかけてしまう、大いなる矛盾を孕んだ料理なので、調理の途中段階と出来上がりが大きく違っていて、その分特権も大きくなる。

先日、年末に買った栗の甘露煮をどうしてくれようかと思い、見つけたのが「根菜と栗の甘酢あんかけ」なるレシピ。

画像1

甘酢をかける前の蓮根とサツマイモの素揚げたち。ここに塩をパラっとかけてハフハフと食べるのは、料理を作る人の特権。

むしろこの喜びを共有したくないがために甘酢あんかけなる料理が生まれたのでは?(そんなわけない)

と、ここまで書いて気がついたけど、最終的に味を決めるのは「甘酢あん」なわけで、素揚げの時点で食べるのは味見でもなんでもなく、ただのつまみ食いだ。


画像2


画像3

完成形も美味しく食べた


大好きな定食屋さんのメニューのひとつに、黒酢あん定食というものがあるけれど、まさか厨房にたつ人たちはつまみ食いは許されていないだろう。そんな気の毒な。あんをかける前の揚げたてを少しくらい食べてもいいよ、と許可したい。

家で気ままに料理する、野生の料理人だけが許されたつまみ食い。万歳。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?